上 下
119 / 260
死の大陸編 青年期

第116話. 光線

しおりを挟む


 


 バウスの進化系である魔物もアースの一言で頭にきたんだろう

 「ウオオオォォォーーーーー!!!!!!」
 
 割れんかばかりの雄叫びが響き渡り、辺り一面に波打つような振動が伝ってくる

 そして、タツノオトシゴかと思われたその姿は、実は両翼で自分の身体を包み込んでいただけだった

 両翼を広げた事で、この魔物の身体全体があらわになる

 すると周りにいた魔物達が急に怯え、我先にと逃げ出そうとする魔物で溢れかえる


  瞬く間に僕達の周りには何もいなくなり、視界が開け見晴らしが良くなる

 同種族とあって流石に身の危険を感じたのか、慌ててこの空間から逃げ出だしたので、相当コイツに怯えているのが分かる

 足がない蛇みたいな奴はクネクネと逃げていたが、他の魔物に踏まれ、その魔物も、また大きい魔物から踏まれ、出口は大渋滞になっている

 逃げ遅れた魔物は壁際でジッと身を震わせていたり、何故か仰向けになって動かないのもいるが、案外これが死んだふりしていて1番被害がなく安全なのではないだろうか

 いや、ひょっとしたら既に死んでいるのかもしれない


  とにかく此処から離れようと出口は我よ我よと大渋滞となり、かなりの魔物の数が犠牲となっている

 アース君、いくら頭に来たからと言って相手を怒らせてしまっては駄目でしょう

 二次災害が起きているよ!

 いや、元々その前からアイツは怒っていたね

 しかしながら責任を取りなさい!責任を……

 ……と言うか、そもそもアイツの名前は何ですか⁉︎


 「フェンリルともあろう者がヒト族の飼い犬に成り下がり、調教でもされたのか!この犬っコロめが!」

 「お前、黙れ!」
 
 「おまえら神獣は、いつの間に珍獣に成り下がっっていたんだ!!ワーハッハッハッ!!」


 あぁ、コイツはどうやら自殺志願者か!!

 アースと僕は繋がっているので、僕の中に怒っているアースの感情が流れ込んでくる
 
 「アース君、あんな事を言われているんですけど、どうしましょうか?………いっそ食材にしてしまう⁉︎」

 「そうだねぇ、すごく目障りだから早く始末してしまおうよ」

 「では、アイツのことはアースにお任せします」
 
 「オッケー」



 「もうよい、どちらにせよ我を怒らせてしまったお前達はここで滅びるがよい!」

 僕達の前にいるなんとも不快にさせる魔物は、バウスの進化系でその姿は八足ワニの巨大バージョン

 15m位はあろうか、巨大な尻尾で身体全体を支えて立っており、ワニと言うよりもどちらかと言えばドラゴンに近く2本の大きな角と翼が生えている
 
 ドラゴンと言えばドラゴンなんだが、それでも見た目からして、かなりかけ離れている

 様々な条件があるんだろうが、進化の過程でコイツは特殊な環境の変化に特化して、別の個体に変異したのだろうか

 この巨大な魔物の進化名はハイバリウス!!

 四足ワニ、六足ワニ、八足ワニからの進化を経てハイバリウスになるそうだ


 まぁどうでもいいや!

 「それではアース君、やっつけちゃってください!」

 「うん!行ってくるね!」

 
  すでにハイバリウスは戦闘態勢に入っており、8本の手に光りがとも

 直後、光る手の場所から黒い光線が放たれアースに襲いかかる

 難なくアースは躱すが、ハイバリウスは次から次へと立て続けの連射攻撃を仕掛けてくるが、この光線が高速で放たれるので、なかなか難儀させられそうだ

 それでも高速で襲い来る光線をアースは難なく掻い潜り、ハイバリウスに近づき避ける際には竜巻タイフーンを繰り出している

 ハイバリウスが放つ黒い光線は最初のうちだけだったが、途中から新たに白い光線も加わり、四方八方に白黒2種類の光線が入り混じって炸裂する

 逃げ遅れてしまった魔物達がいる、案外セーフティーゾーンかと思われていた魔物にも悲劇が起きる

 壁際の窪んだスペースにいたワニ達が被害を受け、ハイバリウスが無闇矢鱈と放つ光線で、そこにいたワニ達に直撃する

 その瞬間、ワニ達が消えて消滅してしまった!
 

 んっ?なんだ今の?光線が当たった魔物が消えたよ!

 消えたと言うより、爆ぜた?

 あの光線は一体なんだ⁉︎

 ハイバリウスの8本ある手の4本から黒いシールドの様なものが展開され アースの放つ竜巻タイフーンがことごとく防がれている

 4本の手が攻撃担当でもう4本の手は防御担当といった攻守の取れた戦い方をしている

 攻撃担当をしている4本の手は絶え間なく黒い光線と白い光線の2種類を、アースに向けて放ち続けている

 全く当たらないアース君だが、あちこちにいる四足ワニや六足ワニの被害はかなり出ており、それを僕はずっと観ていて思った

 白い光線に当たると消滅しているが、黒い光線に当たると消滅しないで、そのまま倒れている

 2つの効果が違う!なんだろう⁉︎例えるなら、白は光魔法で黒は闇魔法って感じなのかなぁ

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 バウスは進化の過程上で二足、四足、六足、八足と表現していますが、六足でガンバリウスに進化が進み、八足でジンバリウスになり、そこから角と翼が生えてハイバリウスとなり、八足だったものは手の様な形態になっ為、足から手へと表現を変えています

  
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話

ルジェ*
ファンタジー
 婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが─── 「は?ふざけんなよ。」  これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。 ********  「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください! *2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!

異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました

ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。 会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。 タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。

聖女にしろなんて誰が言った。もはや我慢の限界!私、逃げます!

猿喰 森繁
ファンタジー
幼いころから我慢を強いられてきた主人公。 異世界に連れてこられても我慢をしてきたが、ついに限界が来てしまった。 数年前から、国から出ていく算段をつけ、ついに国外逃亡。 国の未来と、主人公の未来は、どうなるのか!?

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

処理中です...