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死の大陸編 青年期
第116話. 光線
しおりを挟むバウスの進化系である魔物もアースの一言で頭にきたんだろう
「ウオオオォォォーーーーー!!!!!!」
割れんかばかりの雄叫びが響き渡り、辺り一面に波打つような振動が伝ってくる
そして、タツノオトシゴかと思われたその姿は、実は両翼で自分の身体を包み込んでいただけだった
両翼を広げた事で、この魔物の身体全体が露わになる
すると周りにいた魔物達が急に怯え、我先にと逃げ出そうとする魔物で溢れかえる
瞬く間に僕達の周りには何もいなくなり、視界が開け見晴らしが良くなる
同種族とあって流石に身の危険を感じたのか、慌ててこの空間から逃げ出だしたので、相当コイツに怯えているのが分かる
足がない蛇みたいな奴はクネクネと逃げていたが、他の魔物に踏まれ、その魔物も、また大きい魔物から踏まれ、出口は大渋滞になっている
逃げ遅れた魔物は壁際でジッと身を震わせていたり、何故か仰向けになって動かないのもいるが、案外これが死んだふりしていて1番被害がなく安全なのではないだろうか
いや、ひょっとしたら既に死んでいるのかもしれない
とにかく此処から離れようと出口は我よ我よと大渋滞となり、かなりの魔物の数が犠牲となっている
アース君、いくら頭に来たからと言って相手を怒らせてしまっては駄目でしょう
二次災害が起きているよ!
いや、元々その前からアイツは怒っていたね
しかしながら責任を取りなさい!責任を……
……と言うか、そもそもアイツの名前は何ですか⁉︎
「フェンリルともあろう者がヒト族の飼い犬に成り下がり、調教でもされたのか!この犬っコロめが!」
「お前、黙れ!」
「おまえら神獣は、いつの間に珍獣に成り下がっっていたんだ!!ワーハッハッハッ!!」
あぁ、コイツはどうやら自殺志願者か!!
アースと僕は繋がっているので、僕の中に怒っているアースの感情が流れ込んでくる
「アース君、あんな事を言われているんですけど、どうしましょうか?………いっそ食材にしてしまう⁉︎」
「そうだねぇ、すごく目障りだから早く始末してしまおうよ」
「では、アイツのことはアースにお任せします」
「オッケー」
「もうよい、どちらにせよ我を怒らせてしまったお前達はここで滅びるがよい!」
僕達の前にいるなんとも不快にさせる魔物は、バウスの進化系でその姿は八足ワニの巨大バージョン
15m位はあろうか、巨大な尻尾で身体全体を支えて立っており、ワニと言うよりもどちらかと言えばドラゴンに近く2本の大きな角と翼が生えている
ドラゴンと言えばドラゴンなんだが、それでも見た目からして、かなりかけ離れている
様々な条件があるんだろうが、進化の過程でコイツは特殊な環境の変化に特化して、別の個体に変異したのだろうか
この巨大な魔物の進化名はハイバリウス!!
四足ワニ、六足ワニ、八足ワニからの進化を経てハイバリウスになるそうだ
まぁどうでもいいや!
「それではアース君、やっつけちゃってください!」
「うん!行ってくるね!」
すでにハイバリウスは戦闘態勢に入っており、8本の手に光りが灯る
直後、光る手の場所から黒い光線が放たれアースに襲いかかる
難なくアースは躱すが、ハイバリウスは次から次へと立て続けの連射攻撃を仕掛けてくるが、この光線が高速で放たれるので、なかなか難儀させられそうだ
それでも高速で襲い来る光線をアースは難なく掻い潜り、ハイバリウスに近づき避ける際には竜巻を繰り出している
ハイバリウスが放つ黒い光線は最初のうちだけだったが、途中から新たに白い光線も加わり、四方八方に白黒2種類の光線が入り混じって炸裂する
逃げ遅れてしまった魔物達がいる、案外セーフティーゾーンかと思われていた魔物にも悲劇が起きる
壁際の窪んだスペースにいたワニ達が被害を受け、ハイバリウスが無闇矢鱈と放つ光線で、そこにいたワニ達に直撃する
その瞬間、ワニ達が消えて消滅してしまった!
んっ?なんだ今の?光線が当たった魔物が消えたよ!
消えたと言うより、爆ぜた?
あの光線は一体なんだ⁉︎
ハイバリウスの8本ある手の4本から黒いシールドの様なものが展開され アースの放つ竜巻がことごとく防がれている
4本の手が攻撃担当でもう4本の手は防御担当といった攻守の取れた戦い方をしている
攻撃担当をしている4本の手は絶え間なく黒い光線と白い光線の2種類を、アースに向けて放ち続けている
全く当たらないアース君だが、あちこちにいる四足ワニや六足ワニの被害はかなり出ており、それを僕はずっと観ていて思った
白い光線に当たると消滅しているが、黒い光線に当たると消滅しないで、そのまま倒れている
2つの効果が違う!なんだろう⁉︎例えるなら、白は光魔法で黒は闇魔法って感じなのかなぁ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
バウスは進化の過程上で二足、四足、六足、八足と表現していますが、六足でガンバリウスに進化が進み、八足でジンバリウスになり、そこから角と翼が生えてハイバリウスとなり、八足だったものは手の様な形態になっ為、足から手へと表現を変えています
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