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第一章 ルード皇国 編

淡い恋の予感

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フレイとの一戦でいろいろと落ち込んでいたのだが、ウェンディーが魔法の習得にやる気を見せる姿をみて、俺も頑張らねばという気持ちを持った。

 そして、どうやら、イグニスは感覚的にやってみたら魔法が使えたから、どうやったら魔法を使えるのかをウェンディーに説明できずに困っているようだった。

「じゃあ、もう一回さっきの炎の魔法を見せてよ。」

「危ないんじゃないかな・・・」
イグニスは魔法を撃つのをためらっているようだった。

「いいじゃん、この砂場には私たち以外誰もいないし。火が燃え移りそうなものはないし。」

イグニスはあたりを見回して、
「・・・一回だけなら・・」
そう言うと、俺達2人を砂場の外に出し、その反対側へと大きく炎を吹き出した。

その炎はさっきの2倍くらいありかなりの熱量を持っていそうだった。
それを見た俺はすごくびっくりした。

『さっきのは本気じゃなかったのか。』

「すごい。」
そう言ってウェンディーは、イグニスの腕へと飛びつきはしゃいでいた。

すると、イグニスがウェンディーの顔から視線をそらし、照れたような顔をしていた。
『おや。おやおや。もしかして・・・』
いつもクールな表情なイグニスの顔なだけに、その一瞬の表情はウェンディーに恋しているのではと俺に勘付かせた。

「私もはやく使えるようになりたいなぁ。アギラも魔法を使えたりするの?」
俺の方に振り向いて、聞いてきた。

「いや、俺も魔法は使えないよ。」

「そっかー。」

「アギラは魔力の使い方は俺よりかなり優れてるぞ。魔力の量もたぶんかなり多い。」
イグニスがそんな事を言った。
『えっ。そうなの?』
俺は心の中で思ったが、代わりにウェンディーが発言した。

「えっ。そうなの?魔法は使えないのに魔力は使えるの?


「まぁ、魔力は使えるけど・・・イグニスより上手いかは分からないよ。それに、魔力が多いかもよく分かんない。本当に多いの?」
イグニスに聞いてみた。

「常に魔力で体を包んでるみたいだけど、俺が同じことをしようと思えば、すぐに魔力切れをおこして倒れてしまうと思う。」
そう言われると、今までやってきた事が意味があるんだと実感できて、嬉しかった。

「今も体の周りを覆ってるの?」
ウェンディーが不思議そうに僕の体を、目を凝らして見たり、遠くから見たり、後ろから見たりしていた。

どうやら、ウェンディーには魔力を見ることができないようだった。
「そうだね。ヒトの体はかなり脆いみたいだからね。」

「いやいや、結構丈夫じゃない。昔に比べて体型がかなりシュッと引き締まってきてるじゃない。」
そう言って、肩をバンバンと叩いてきた。

『多分魔力でガードしてなきゃ、骨くらいはいってそうだな・・・』口には出さないが・・・

「あっ、じゃあアギラが教えてよ。魔力の使い方!」

「えっ。」

「イグニスの言ってる意味がなかなか理解しづらいんだよね。」
イグニスの方をみると、ちょっとへこんでいるようにも見えた。

そして、俺はアギリスに教わったように、魔力操作についてウェンディーに教えた。
それから、ヒトと竜人とで微妙に扱い方が違う部分はイグニスが修正していった。

ウェンディーは飲み込みが早く3時間くらいもすれば、魔力を扱えるようになっていた。
「あー、見えるよ。アギラの周りに黒い光と白い光が纏わりついてるのが。」
その後イグニスが、その魔力を体内にある魔力結晶に注ぎ込んで、外に出す方法を教えていた。そして、さらに1時間くらい時間が経った。

「じゃあ、行くよ。」
俺とイグニスは砂場の外に出て、その反対側に向けてウェンディーは息を吹き出した。
すると大きな竜巻が出現し、砂場の砂を大きく巻きげた。

ウェンディーの魔力結晶の属性は風だったのだ。

魔法を発動させたウェンディーはすごく嬉しそうに俺達の方に向き直りはしゃいでいたが、ふいに膝が折れて、その場に座り込んでしまった。

「おかしいな。すごい疲れて眠くなってきちゃった。」

「魔力切れだから大丈夫だ。寝れば治る。」
イグニスはそう言うとウェンディーを自分の背中に背負った。

『確かに、魔力を使ったらしょっちゅう寝てたもんなぁ。にしても、自然とおんぶするなんて、惚れてまうやろ。』

ウェンディーを見ると、イグニスの背中でスヤスヤと眠っていた。

ウェンディーも寝たし、すっかり夕方になってしまっていたので、俺たちは、公園を後にした。

その帰り道、学校についてイグニスに聞いてみると、6歳になると同年代の子が集まり12歳まで学校で勉強するらしかった。「アギラも来るのか?」と尋ねられたが、
「わからない。」とだけ返事をした………
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