5 / 71
第5話 魔法の才能?
しおりを挟む
俺は一人で部屋にいる時に、どうにか【ライト】ができないか試行錯誤していた。
「【あいお】!!【あいお!!】」
発音の練習をするがやはりこちらの言葉の発音はまだ完璧ではないようである。しかし、こんなところで諦める俺ではない。あの楽園を楽しむことができる時間はほんの僅かしか残っていないのである。そう、俺が赤ちゃんと呼ばれる状態でしか潜り込めないし、許されないのである。
俺の執念がなしたのか、はたまた俺の祈りが通じたのか……
俺は心の中であたりを照らす光を想像しながら強く念じてみた。心の中でなら言葉にすることができるのである。
『【ライト】!!』
そう念じると俺の人差し指から、眩いばかりの光が生じた。その光は凄まじく、不意を突かれた俺は目に深刻なダメージを負った。
「えあ~、ううう、えあ~」
俺はム〇カ大佐ばりの悲鳴を上げた。
「どうしました?」
俺の声に気付いたメイドのマーレが部屋に入ってくる。
「えあ~、えあ~」
「ジークフリート様。おしっこですか~?」
全然ちげーよ。目だよ。目を傷めたんだよ。マーレはそういうところ、あるよね。俺は首を振って、再度ムス〇大佐ばりに目の痛みを訴えた。
「えあ~、えあ~」
「何です? ご飯ですか? でもさっき食べたばかりですよね? ジークフリート様は食いしん坊ですね」
何でだよ。俺が今までご飯をねだったことがあるか? マーレよ。メイド失格ですよ。俺が苦しみを訴えていると兄のヨハンが部屋に入って来た。
「どうしたんだい?」
「あっ、ヨハネス様!! ジークフリート様がご飯をねだられて……」
ちげーよ!!
「えあ~、えあ~」
俺は目の痛みを訴える。お兄様は俺の顔を見ると、俺の顔の前に手をかざした。
「وأنا على ضوء الروح قبل أن تلتئم 【聖なる癒し】」
お兄様が俺に手をかざしながら何かを呟くと、俺の体はぽかぽかと温まり、目の痛みがひいていく。
「ヨハネス様? 【聖なる癒し】なんて魔法をどうして?」
どうやらお兄様は俺の訴えを感じ取って、魔法を使って目を治してくれたらしい。流石はお兄様です。駄メイドのマーレとは全然違います。
「ジークが苦しんでいるように見えたからね」
「本当ですか? それにしても、その御歳で【聖なる癒し】が使えるなんてヨハネス様は本当に凄いですね。確か上級神官クラス以上しか使えないって聞いたことがありますよ。それに、その魔法で治療をお願いするには金貨一枚は必要って聞いたことがありますよ」
金貨一枚!! だいたい前世の価値でいうところの100万円くらいじゃないですか。そんな高価な魔法を使ってくれたのか。
どうやらお兄様の魔法技術は凄いようだな。気軽にそんな魔法を使ってくれるなんて、なんて優しいお兄様だ。
……でもですよ。魔法も遺伝が関係しているのであれば、俺の魔法技術も期待が持てるという事ではないだろうか。
何せ、念じるだけで【ライト】の魔法を発動できたのだから。詠唱せずに魔法を発動するなど、どう考えてもチート。何でできるのかは不明だが、そんな事はどうでもいい事だ。詠唱せずにできるのは面倒臭くなくていい。そんな事ができるというのは俺にもお兄様と同じ優秀な血が流れているという何よりの証拠である。今からワクワクが止まらないな。俺が妄想の世界へと旅立っても2人の会話は続いていた。
「ジークに何かあったら大変だからね。ジークの健康はお金には代えられないよ。それに魔法は使ってこそ上手くなるからね。こういうのは平時ならどんどん使っていった方がいいんだ」
「素晴らしい考えですね。ヨハネス様に愛されているジークフリート様が羨ましいです」
本当に流石ですよ。お兄様。お兄様の愛は確かに受け取りましたよ。
「マーレも、もし怪我等したら言うといいよ。僕が治してあげるよ」
「そ、そんな。恐れ多いですよ。ちょっとした怪我なら、薬草を塗っておいたら治りますから。ヨハネス様のお手を煩わすなんて」
マーレは必死に手を顔の前でぱたぱたさせて遠慮する。
「さっきも言ったけど、魔法を使うのは僕の訓練にもなるからね。何かあったら、気にせずに言ってよ」
「ありがとうございます。じゃあ、何かあったらその時はお願いします」
「ああ」
う~ん。本当に9歳かと思うような対応力である。
それに見た目も9歳のそれには全く見えない。マーレの身長が小さいのもあるが、お兄様の身長はマーレとほとんど変わらないから、15歳のマーレと同い年のようにも見えてしまう。
もう少し大きくなったらお兄様はどうなってしまわれるのか。将来が末恐ろしい限りである。
そこで俺ははっと重要な事実に再度気付いてしまう。
俺とお兄様は血のつながった兄弟なのだ。
俺もお兄様のような容姿が手に入るという事ではないだろうか。これはモテる予感しかしないですな。
俺はマーレの手の中からゆりかごに戻され、再びすやすやと眠りについた。希望に満ちた将来を考えると自然と寝顔は安らかな笑みに満ち溢れていた。
「【あいお】!!【あいお!!】」
発音の練習をするがやはりこちらの言葉の発音はまだ完璧ではないようである。しかし、こんなところで諦める俺ではない。あの楽園を楽しむことができる時間はほんの僅かしか残っていないのである。そう、俺が赤ちゃんと呼ばれる状態でしか潜り込めないし、許されないのである。
俺の執念がなしたのか、はたまた俺の祈りが通じたのか……
俺は心の中であたりを照らす光を想像しながら強く念じてみた。心の中でなら言葉にすることができるのである。
『【ライト】!!』
そう念じると俺の人差し指から、眩いばかりの光が生じた。その光は凄まじく、不意を突かれた俺は目に深刻なダメージを負った。
「えあ~、ううう、えあ~」
俺はム〇カ大佐ばりの悲鳴を上げた。
「どうしました?」
俺の声に気付いたメイドのマーレが部屋に入ってくる。
「えあ~、えあ~」
「ジークフリート様。おしっこですか~?」
全然ちげーよ。目だよ。目を傷めたんだよ。マーレはそういうところ、あるよね。俺は首を振って、再度ムス〇大佐ばりに目の痛みを訴えた。
「えあ~、えあ~」
「何です? ご飯ですか? でもさっき食べたばかりですよね? ジークフリート様は食いしん坊ですね」
何でだよ。俺が今までご飯をねだったことがあるか? マーレよ。メイド失格ですよ。俺が苦しみを訴えていると兄のヨハンが部屋に入って来た。
「どうしたんだい?」
「あっ、ヨハネス様!! ジークフリート様がご飯をねだられて……」
ちげーよ!!
「えあ~、えあ~」
俺は目の痛みを訴える。お兄様は俺の顔を見ると、俺の顔の前に手をかざした。
「وأنا على ضوء الروح قبل أن تلتئم 【聖なる癒し】」
お兄様が俺に手をかざしながら何かを呟くと、俺の体はぽかぽかと温まり、目の痛みがひいていく。
「ヨハネス様? 【聖なる癒し】なんて魔法をどうして?」
どうやらお兄様は俺の訴えを感じ取って、魔法を使って目を治してくれたらしい。流石はお兄様です。駄メイドのマーレとは全然違います。
「ジークが苦しんでいるように見えたからね」
「本当ですか? それにしても、その御歳で【聖なる癒し】が使えるなんてヨハネス様は本当に凄いですね。確か上級神官クラス以上しか使えないって聞いたことがありますよ。それに、その魔法で治療をお願いするには金貨一枚は必要って聞いたことがありますよ」
金貨一枚!! だいたい前世の価値でいうところの100万円くらいじゃないですか。そんな高価な魔法を使ってくれたのか。
どうやらお兄様の魔法技術は凄いようだな。気軽にそんな魔法を使ってくれるなんて、なんて優しいお兄様だ。
……でもですよ。魔法も遺伝が関係しているのであれば、俺の魔法技術も期待が持てるという事ではないだろうか。
何せ、念じるだけで【ライト】の魔法を発動できたのだから。詠唱せずに魔法を発動するなど、どう考えてもチート。何でできるのかは不明だが、そんな事はどうでもいい事だ。詠唱せずにできるのは面倒臭くなくていい。そんな事ができるというのは俺にもお兄様と同じ優秀な血が流れているという何よりの証拠である。今からワクワクが止まらないな。俺が妄想の世界へと旅立っても2人の会話は続いていた。
「ジークに何かあったら大変だからね。ジークの健康はお金には代えられないよ。それに魔法は使ってこそ上手くなるからね。こういうのは平時ならどんどん使っていった方がいいんだ」
「素晴らしい考えですね。ヨハネス様に愛されているジークフリート様が羨ましいです」
本当に流石ですよ。お兄様。お兄様の愛は確かに受け取りましたよ。
「マーレも、もし怪我等したら言うといいよ。僕が治してあげるよ」
「そ、そんな。恐れ多いですよ。ちょっとした怪我なら、薬草を塗っておいたら治りますから。ヨハネス様のお手を煩わすなんて」
マーレは必死に手を顔の前でぱたぱたさせて遠慮する。
「さっきも言ったけど、魔法を使うのは僕の訓練にもなるからね。何かあったら、気にせずに言ってよ」
「ありがとうございます。じゃあ、何かあったらその時はお願いします」
「ああ」
う~ん。本当に9歳かと思うような対応力である。
それに見た目も9歳のそれには全く見えない。マーレの身長が小さいのもあるが、お兄様の身長はマーレとほとんど変わらないから、15歳のマーレと同い年のようにも見えてしまう。
もう少し大きくなったらお兄様はどうなってしまわれるのか。将来が末恐ろしい限りである。
そこで俺ははっと重要な事実に再度気付いてしまう。
俺とお兄様は血のつながった兄弟なのだ。
俺もお兄様のような容姿が手に入るという事ではないだろうか。これはモテる予感しかしないですな。
俺はマーレの手の中からゆりかごに戻され、再びすやすやと眠りについた。希望に満ちた将来を考えると自然と寝顔は安らかな笑みに満ち溢れていた。
0
お気に入りに追加
681
あなたにおすすめの小説
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる