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第1話 高貴な身分に転生ですよ
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「おんぎゃあ! おんぎゃあ!」
最初に耳にしたのは自分の産声だった。そして、次の瞬間、不思議な感覚に包まれる。何故なら前世の記憶があり、自由に動けない事にもどかしさを感じるのだ。
目を開けると、視界はうすぼんやりとしている。
「〇〇〇〇〇〇」
「〇〇〇〇〇〇」
さらには周りに人が何人かいるようだが、何を喋っているのか分からない。どうやら日本語ではないようである。
少し不安に思うが、猛烈な睡魔が襲ってきたので、その眠りの欲求に素直に従って眠りにつく。
赤ちゃんの一日の活動時間はほんの僅かしかない。
それでも不思議な事に、半年もすると、周りの人達が何を言っているのかが徐々に分かるようになってきた。
その頃には視界がクリアになって周りの景色を認識できるようになってきたのだ。
そして、どうやら俺はかなり高貴な身分として生まれてきたのではないかと内心喜んでいた。
母親と寝るベッドはかなり大きなもので、天幕すら張られていた。そして、極めつけはメイドがいる事である。俺の体を拭いたり、身の回りのことをしてくれるメイドがいるのだ。それも1人ではない。最低でも5人はいる。それも一部ではないかと思われる。
まだ自分で動きまわる事ができないので寝室からほとんど出ないのだが、それでも部屋の作りや家具は豪華なつくりであることから、相当な金持ちの家である事が窺える。
俺は今日もゆりかごの中でうとうととまどろんでいた。
「本当に可愛いわね。そう思わない? ヨハン」
「そうですね。お母様」
そのゆりかごを覗き込むように2つの顔があった。
1人は俺の今の母親、アンネローゼ=ハイゼンベルク、そしてもう1人は兄であるヨハネス=ハイゼンベルクである。愛称はヨハンと呼ばれているようだ。歳は8才も離れているっぽい。
2人は金髪に碧眼ですごい美形である。兄の顔を見ていると自分の将来がこんな顔になるなんて嬉しくてたまらない。どう転んでもモテる未来しか想像できない顔立ちに成長できるんじゃないだろうか……
それに母親も綺麗である。2人も産んだとは思えないプロポーションで、まだ20歳くらいなのではと思えるほどだ。母親の年齢は、会話の中で母親の年齢に関する会話がなかったので推測する事しかできない。
「それにしもなんでジークの目は黒いんですか? お母様」
えっ? 俺の目は2人の碧眼と違って黒いのか…… 今まで自分の姿を見る機会がなかったので初耳である。
「多分、お祖父さんの血を受け継いだんじゃないかしら」
「そうなんですか……なるほど。そういうものなんですね」
2人はにこやかに会話をしている。
こうして、俺は徐々に周りの事や自分の事の情報を集めていった。
自分の名前はジークフリート=ハイゼンベルク、愛称はジーク。母と兄とは違い黒い目をしており、どうやら髪の色も艶やかな金髪ではなくくすんだ茶色をしているようである。
最初に耳にしたのは自分の産声だった。そして、次の瞬間、不思議な感覚に包まれる。何故なら前世の記憶があり、自由に動けない事にもどかしさを感じるのだ。
目を開けると、視界はうすぼんやりとしている。
「〇〇〇〇〇〇」
「〇〇〇〇〇〇」
さらには周りに人が何人かいるようだが、何を喋っているのか分からない。どうやら日本語ではないようである。
少し不安に思うが、猛烈な睡魔が襲ってきたので、その眠りの欲求に素直に従って眠りにつく。
赤ちゃんの一日の活動時間はほんの僅かしかない。
それでも不思議な事に、半年もすると、周りの人達が何を言っているのかが徐々に分かるようになってきた。
その頃には視界がクリアになって周りの景色を認識できるようになってきたのだ。
そして、どうやら俺はかなり高貴な身分として生まれてきたのではないかと内心喜んでいた。
母親と寝るベッドはかなり大きなもので、天幕すら張られていた。そして、極めつけはメイドがいる事である。俺の体を拭いたり、身の回りのことをしてくれるメイドがいるのだ。それも1人ではない。最低でも5人はいる。それも一部ではないかと思われる。
まだ自分で動きまわる事ができないので寝室からほとんど出ないのだが、それでも部屋の作りや家具は豪華なつくりであることから、相当な金持ちの家である事が窺える。
俺は今日もゆりかごの中でうとうととまどろんでいた。
「本当に可愛いわね。そう思わない? ヨハン」
「そうですね。お母様」
そのゆりかごを覗き込むように2つの顔があった。
1人は俺の今の母親、アンネローゼ=ハイゼンベルク、そしてもう1人は兄であるヨハネス=ハイゼンベルクである。愛称はヨハンと呼ばれているようだ。歳は8才も離れているっぽい。
2人は金髪に碧眼ですごい美形である。兄の顔を見ていると自分の将来がこんな顔になるなんて嬉しくてたまらない。どう転んでもモテる未来しか想像できない顔立ちに成長できるんじゃないだろうか……
それに母親も綺麗である。2人も産んだとは思えないプロポーションで、まだ20歳くらいなのではと思えるほどだ。母親の年齢は、会話の中で母親の年齢に関する会話がなかったので推測する事しかできない。
「それにしもなんでジークの目は黒いんですか? お母様」
えっ? 俺の目は2人の碧眼と違って黒いのか…… 今まで自分の姿を見る機会がなかったので初耳である。
「多分、お祖父さんの血を受け継いだんじゃないかしら」
「そうなんですか……なるほど。そういうものなんですね」
2人はにこやかに会話をしている。
こうして、俺は徐々に周りの事や自分の事の情報を集めていった。
自分の名前はジークフリート=ハイゼンベルク、愛称はジーク。母と兄とは違い黒い目をしており、どうやら髪の色も艶やかな金髪ではなくくすんだ茶色をしているようである。
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