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第二章:明らかになっていく真実
第28話 遺跡2日目とお宝
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イスタ王国からの依頼で遺跡を捜索中に、サトルたち4人はマサノリが設置した魔方陣によってバラバラに強制転移させられた。
ただ、これはあくまでも他のパーティーと接しないよう調整したマサノリによる時間稼ぎの意味合いが強く、彼ら4人に害はない。
実際に彼らが滞在している部屋は、安心・安全・安眠・快適・回復と至れり尽くせりで、しかもいい夢が見られるように、マサノリによって夢見の魔法が仕組まれている。
サトルは学生時代の夢を見た。
結局告白はできなかったが、思いを寄せていた女性がいた。その女性は自分に合わせてソーマジック・サーガを始めたが、初心者だったこともあり、ここで会うことはないだろう。それでもあの人と過ごした時間は自分に安らぎを与えてくれた。いつかまた逢えたらいいな、と。
エリは娘ミナの夢を見た。
ミナはなぜかドラゴンの背中に乗って笑顔で空を飛び回っている。「ママお仕事頑張ってね!ミナはいい子にして待ってるから!」そんな声が聞こえてきた。あり得ないことだが、エリは勇気をもらった気がした。
マッキーは自分が頂点に立つ夢を見た。
サトルもスカーレット王女も自分にひれ伏し、俺がエスタ王国の国王になった。いずれは日本も、地球も宇宙も征服してやる。夢の中だからこそ言えるものであった。
ワカナはサトルとデートする夢を見た。
二人でユーエスニーランドに行く。おそろいのシャツと帽子を身に着け、ジェットコースターや乗り物で一日中楽しむ。ささやかな夢だったが、ワカナにとってはそれで十分だった。
それぞれが束の間の幸せを感じていたのである。
翌朝、4人は快適な気分で目を覚ました。もちろん夢のことはしっかりと覚えている。
しかし現実は決して安閑としている状況ではない。4人が合流し、無事にこの遺跡を脱出しなければならない。
まずは目の前にある4つの扉だ。戻る選択肢はなくこの先に進むべきだろう。
サトルはすでに4つの扉を確認しすべての扉が開くことがわかっている。
「ボン。みんなに状況を確認してくれ。そして扉が開くかどうかも」
“わかりましたラ”
ボンが念話を使って3人の召喚獣を介して状況を確認し、サトルに伝える。
“全員が、どの扉も開くと話していますラ”
「ここと同じか。ならこう伝えてくれ。
俺の探索では一番右の扉が安全で、他の3つは途中に罠らしきものを感じる。まずは俺とボンがその中を見てくるので30分待ってくれ。
もし戻らなければ、3人でどうするか決めてほしい。
ただこの遺跡は俺たちに危害を加えるようできているとは思えない。安心はできないが、脅威に感じるほどではない、と」
サトルはボンとともに右の扉から中に入りその先に進む。
すると1㎞ほど先に木々が茂る森のような空間が現れた。空はよく見えないが、明るく光が差し込んでいる。そして魔物の気配はなく、小鳥のさえずりが聞こえてきた。
「1kmぐらい先に森が出てきた。かなり広いようだ。現時点では危険な要素はない。みんなも問題なければ先に進んでくれ」
ボンはサトルのメッセージを3人に伝え、了解と返事が来たことをサトルに伝えた。
すると20分後にサトルの探索に人が映った。
ワカナだ。
「あ、サトルさん!良かった、良かった…」
ワカナは涙ぐみながらサトルに顔をうずめた。
「なんとか大丈夫そうだな。ほかの2人は見かけなかったか?」
“エリさんはマッキーさんと合流したようですが、この森ではなく、別の場所にある草原のようです”
ボンが2人の状況を教えてくれたが、こことは違う場所のようで現時点ではサトルの探索にも見当たらない。
(まずは2人を探すのが先決だが、この森も調査しておくべきだろう)
「ボン、エリとマッキーには、その草原を可能な範囲で調査するよう伝えてくれ。こっちもこの森を調査しながら、2人と合流する方法を考える」
「ワカナ、落ち着いたか?とりあえず座って休もう。まだ何も食べてないなら、軽く食事にしよう」
「はい。安心したらお腹が空いてきました」
何気ないワカナの笑顔だったが、一瞬ドキッとしたサトルは慌てて後ろを向いて食事の準備を始めた。
小鳥のさえずり、そして穏やかな日の光、まるでデートのようだとワカナは内心穏やかではない。しかしこの時間を大事にしなければと、必死にサトルとの会話を楽しんだ。
「もう、なんであんたなのよ。どうせならサトルと2人が良かったわよ」
「ガハハ。まぁそう言うなよ」
「ワカナが抜け駆けしないか心配だわ」
「あの子はそんなタイプじゃないな。この状況でそんな余裕もないだろ」
「さっさとここの調査を終わらせて合流しないとね」
エリとマッキーは昨晩の夢がよほど良かったのか、ご機嫌な様子で草原を歩いていく。すると丘を越えた先に大きな岩を見つけた。
岩まで近づくとそこにはこう記されていた。
~古の力、ここに託す。なんじ欲すれば、その意を示せ~
「遺跡3日目と合流」へつづく
ただ、これはあくまでも他のパーティーと接しないよう調整したマサノリによる時間稼ぎの意味合いが強く、彼ら4人に害はない。
実際に彼らが滞在している部屋は、安心・安全・安眠・快適・回復と至れり尽くせりで、しかもいい夢が見られるように、マサノリによって夢見の魔法が仕組まれている。
サトルは学生時代の夢を見た。
結局告白はできなかったが、思いを寄せていた女性がいた。その女性は自分に合わせてソーマジック・サーガを始めたが、初心者だったこともあり、ここで会うことはないだろう。それでもあの人と過ごした時間は自分に安らぎを与えてくれた。いつかまた逢えたらいいな、と。
エリは娘ミナの夢を見た。
ミナはなぜかドラゴンの背中に乗って笑顔で空を飛び回っている。「ママお仕事頑張ってね!ミナはいい子にして待ってるから!」そんな声が聞こえてきた。あり得ないことだが、エリは勇気をもらった気がした。
マッキーは自分が頂点に立つ夢を見た。
サトルもスカーレット王女も自分にひれ伏し、俺がエスタ王国の国王になった。いずれは日本も、地球も宇宙も征服してやる。夢の中だからこそ言えるものであった。
ワカナはサトルとデートする夢を見た。
二人でユーエスニーランドに行く。おそろいのシャツと帽子を身に着け、ジェットコースターや乗り物で一日中楽しむ。ささやかな夢だったが、ワカナにとってはそれで十分だった。
それぞれが束の間の幸せを感じていたのである。
翌朝、4人は快適な気分で目を覚ました。もちろん夢のことはしっかりと覚えている。
しかし現実は決して安閑としている状況ではない。4人が合流し、無事にこの遺跡を脱出しなければならない。
まずは目の前にある4つの扉だ。戻る選択肢はなくこの先に進むべきだろう。
サトルはすでに4つの扉を確認しすべての扉が開くことがわかっている。
「ボン。みんなに状況を確認してくれ。そして扉が開くかどうかも」
“わかりましたラ”
ボンが念話を使って3人の召喚獣を介して状況を確認し、サトルに伝える。
“全員が、どの扉も開くと話していますラ”
「ここと同じか。ならこう伝えてくれ。
俺の探索では一番右の扉が安全で、他の3つは途中に罠らしきものを感じる。まずは俺とボンがその中を見てくるので30分待ってくれ。
もし戻らなければ、3人でどうするか決めてほしい。
ただこの遺跡は俺たちに危害を加えるようできているとは思えない。安心はできないが、脅威に感じるほどではない、と」
サトルはボンとともに右の扉から中に入りその先に進む。
すると1㎞ほど先に木々が茂る森のような空間が現れた。空はよく見えないが、明るく光が差し込んでいる。そして魔物の気配はなく、小鳥のさえずりが聞こえてきた。
「1kmぐらい先に森が出てきた。かなり広いようだ。現時点では危険な要素はない。みんなも問題なければ先に進んでくれ」
ボンはサトルのメッセージを3人に伝え、了解と返事が来たことをサトルに伝えた。
すると20分後にサトルの探索に人が映った。
ワカナだ。
「あ、サトルさん!良かった、良かった…」
ワカナは涙ぐみながらサトルに顔をうずめた。
「なんとか大丈夫そうだな。ほかの2人は見かけなかったか?」
“エリさんはマッキーさんと合流したようですが、この森ではなく、別の場所にある草原のようです”
ボンが2人の状況を教えてくれたが、こことは違う場所のようで現時点ではサトルの探索にも見当たらない。
(まずは2人を探すのが先決だが、この森も調査しておくべきだろう)
「ボン、エリとマッキーには、その草原を可能な範囲で調査するよう伝えてくれ。こっちもこの森を調査しながら、2人と合流する方法を考える」
「ワカナ、落ち着いたか?とりあえず座って休もう。まだ何も食べてないなら、軽く食事にしよう」
「はい。安心したらお腹が空いてきました」
何気ないワカナの笑顔だったが、一瞬ドキッとしたサトルは慌てて後ろを向いて食事の準備を始めた。
小鳥のさえずり、そして穏やかな日の光、まるでデートのようだとワカナは内心穏やかではない。しかしこの時間を大事にしなければと、必死にサトルとの会話を楽しんだ。
「もう、なんであんたなのよ。どうせならサトルと2人が良かったわよ」
「ガハハ。まぁそう言うなよ」
「ワカナが抜け駆けしないか心配だわ」
「あの子はそんなタイプじゃないな。この状況でそんな余裕もないだろ」
「さっさとここの調査を終わらせて合流しないとね」
エリとマッキーは昨晩の夢がよほど良かったのか、ご機嫌な様子で草原を歩いていく。すると丘を越えた先に大きな岩を見つけた。
岩まで近づくとそこにはこう記されていた。
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