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命ある言葉
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私は大隊長を任されている。そして、私の隊は最前線。いつも士気を上げる為に言葉選びをする。私の言葉で、彼らを失う。そう思うと私は自害したい気持ちで、毎日がいっぱいだ。
「今回も厳しい前線である。家族や友人、愛した者の為に我々はここに立っているを忘れるな。そして、立つだけでは駄目だっ!!! 戦いっ!!! 生きろっ!!!」
歓声が全身に響く。
「勝った先だけを想像しろっ!! 負けなど無い!! 神のご加護で我ら無敵と知れっ!!!」
皆が鼓舞をする。
言い終わった時、私はドッと汗を掻く。鎧がいつもより重たく感じた。剣を天に捧げるのも苦労する。今日は何人…。そんな事が頭に過ぎる。この士気を保って戦いに臨みたい。
「ご報告致しますっ!! 第二小隊全滅っ! 第二小隊全滅ですっ!!!」
「同じく第一小隊全滅でありますっ!! ご指示を!!!」
血を浴びながら、助けたかった仲間を横目に私の報告を優先した彼らは正しい行動である。私は昨日の自分を恨む。もっと良い作戦があったはずだと。
「後方の小隊に支援を仰ぎ、前線を緩めるなっ!!」
何人など関係無いのだ。私は誰一人失ってはならない。夢物語と言われるかも知れないが、私の作戦はそこで失敗なのである。私の言葉で彼らは、糧となったのだから。
「私の護衛などいらぬっ!!! 各自他の小隊へ支援に当たれ。これ以上の糧は許さぬぞっ!!」
剣には、拭うのもやっとの血が付いている。振り払う時間も与えない手数。切り捨てても、また視界は敵で埋まる。
「昇格首を探している者は、私の所へ来いっ!!! この首を切り落とせば、高みへの近道になることを保証するっ!!!」
失った者の名前を一人づつ想いながら、私は一振りする。そんな悲しい剣は、存在してはいけない。私の代で無くすのだ。
「戦意が無い者は今すぐ立ち去れっ!! そんな者を切り捨てても、この剣の糧にもならん!!!」
この世を恨むぞ。
私の言葉で、私の刀で、後何人失えば無くなるのだ。
振るいながら、何度でも願おう。
この世に血が、触れることなど無い事を。
「今回も厳しい前線である。家族や友人、愛した者の為に我々はここに立っているを忘れるな。そして、立つだけでは駄目だっ!!! 戦いっ!!! 生きろっ!!!」
歓声が全身に響く。
「勝った先だけを想像しろっ!! 負けなど無い!! 神のご加護で我ら無敵と知れっ!!!」
皆が鼓舞をする。
言い終わった時、私はドッと汗を掻く。鎧がいつもより重たく感じた。剣を天に捧げるのも苦労する。今日は何人…。そんな事が頭に過ぎる。この士気を保って戦いに臨みたい。
「ご報告致しますっ!! 第二小隊全滅っ! 第二小隊全滅ですっ!!!」
「同じく第一小隊全滅でありますっ!! ご指示を!!!」
血を浴びながら、助けたかった仲間を横目に私の報告を優先した彼らは正しい行動である。私は昨日の自分を恨む。もっと良い作戦があったはずだと。
「後方の小隊に支援を仰ぎ、前線を緩めるなっ!!」
何人など関係無いのだ。私は誰一人失ってはならない。夢物語と言われるかも知れないが、私の作戦はそこで失敗なのである。私の言葉で彼らは、糧となったのだから。
「私の護衛などいらぬっ!!! 各自他の小隊へ支援に当たれ。これ以上の糧は許さぬぞっ!!」
剣には、拭うのもやっとの血が付いている。振り払う時間も与えない手数。切り捨てても、また視界は敵で埋まる。
「昇格首を探している者は、私の所へ来いっ!!! この首を切り落とせば、高みへの近道になることを保証するっ!!!」
失った者の名前を一人づつ想いながら、私は一振りする。そんな悲しい剣は、存在してはいけない。私の代で無くすのだ。
「戦意が無い者は今すぐ立ち去れっ!! そんな者を切り捨てても、この剣の糧にもならん!!!」
この世を恨むぞ。
私の言葉で、私の刀で、後何人失えば無くなるのだ。
振るいながら、何度でも願おう。
この世に血が、触れることなど無い事を。
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