上 下
5 / 22

新事実

しおりを挟む

私が屋敷に戻ってくると両親は心配そうな表情で出迎えた。

「リーラ!
貴女どこにいっていたの?」

「どうしたんだ?
誰かに何かされたのか…」

お父様が私の泣き腫らした顔を見て怒ったように言った。

「いいえ、違いますわ。
大したことではないんです。」

「そんなわけないだろう。
何があったんだ?」

そんなことより私は2人に伝えたいことがあった。

「お父様、お母様にお願いがあります。
今回の縁談は破棄させてください。」

私はそう言って頭を下げる。

「どうして?
相手の方に何か不満が?」

お母様にそう言われ私は首を横に振った。

「いいえ、これは私の問題です。
だから相手方にと私の都合での破棄だと伝えてください。
お願いします。」

私は真剣な表情でそう伝える。

「…分かったわ。」

「相手方には伝えておくから リーラは自室で休みなさい。」

そんな私に両親は渋々といった様子で納得してくれた。
ありがとうお父様、お母様。






部屋に戻ってきた私はすぐにベッドに寝転がった。

これからどうしましょう。
この先エリックのいない人生で私は幸せになれるだろうか。



数日後


「リーラ。
町へお出かけに行かない?」

気持ちの整理がついた私にお母様がそう言った。

きっと私のことを気遣っているんだわ。

私はお母様の優しさに胸がいっぱいになる。
久しぶりにお母様と出かけたい。

「行きます。」

私はそう言って仕度を始めた。





町へ着いてから馬車を降りて歩くことにした。

お母様が新しい服を新調するらしいので私もその店に付いていくことにした。
しかし店までの道中 町の喧騒の中で聞き覚えのある声を聞いた。

振り向くとそこには令嬢と仲良く歩くエリックの姿。

エリック…

あの令嬢はどんな人なんだろう。

ダメだと分かってはいたが…
私は彼が未来を約束した相手が気になってしまった。

「お母様 先に行ってて。
私は忘れ物とりに戻るわ。」

「え?
リーラ…!?」

お母様にそう声をかけた私は急いでエリック達を追った。

ガヤガヤ…ガヤガヤ

ガヤガヤ…

少しずつ町の喧騒が消えていく。
エリック達はどこか脇道を抜けていく。
私も見失わないように付いていった。

ある建物まで来たところでエリック達は止まった。
私は気付かれないようこっそりその建物を覗く。

『休憩所』

そう書かれた看板。
あれ、ここって…

「エリック 入りましょう?」

その時 聞こえてきた女性の声。

え…?

その女性を見て私は呆然とした。

なんでここに…?

女性の正体は義理の娘アイだった。

私が驚いている間に2人は建物の中に入っていく。
2人がいなくなった後 私は建物の前に行った。

そして看板を見てハッとする。

『休憩所
1時間~

男女の睦み合い歓迎!』

そうだ、ここはそういう場所だわ。

どうしてその場所へエリックとアイが入っていったの?

まだアイは生まれてもないはずなのに…どうしてアイがここにいるの?

私はこの状況に混乱した。

息子がアイを紹介しにやってきた時 2人は既に知り合いだったってこと?
そんなわけない。
だってそれならアイは私と同い年くらいのはず。

訳が分からない。
だけどその中で1つハッキリすることは…

私が義理の娘に夫を寝取られたって事実。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼馴染同士が両想いらしいので応援することにしたのに、なぜか彼の様子がおかしい

今川幸乃
恋愛
カーラ、ブライアン、キャシーの三人は皆中堅貴族の生まれで、年も近い幼馴染同士。 しかしある時カーラはたまたま、ブライアンがキャシーに告白し、二人が結ばれるのを見てしまった(と勘違いした)。 そのためカーラは自分は一歩引いて二人の仲を応援しようと決意する。 が、せっかくカーラが応援しているのになぜかブライアンの様子がおかしくて…… ※短め、軽め

愛しき我が子に捧ぐ

夜瑠
恋愛
政略結婚だと分かっていた。他に愛する人が居ることも自分が正妻に選ばれたのは家格からだとも。 私だって貴方の愛なんて求めていなかった。 なのにこんな仕打ちないじゃない。 薬を盛って流産させるなんて。 もう二度と子供を望めないなんて。 胸糞注意⚠本編3話+番外編2話の計5話構成

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

ガネス公爵令嬢の変身

くびのほきょう
恋愛
1年前に現れたお父様と同じ赤い目をした美しいご令嬢。その令嬢に夢中な幼なじみの王子様に恋をしていたのだと気づいた公爵令嬢のお話。 ※「小説家になろう」へも投稿しています

婚約者を借りパクされたの…

しがついつか
恋愛
サリーは10年来の友人であるクレアに誘われ、いつもの居酒屋で飲んでいた。 「…私、この間あの子に借りパクされたのよ」 「へえ、そうなん。何をパクられたのさ」 クレアはため息を1つ吐くと、うんざりした顔で言った。 「婚約者」 「…え、何て?」

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

旦那様、私は全てを知っているのですよ?

やぎや
恋愛
私の愛しい旦那様が、一緒にお茶をしようと誘ってくださいました。 普段食事も一緒にしないような仲ですのに、珍しいこと。 私はそれに応じました。 テラスへと行き、旦那様が引いてくださった椅子に座って、ティーセットを誰かが持ってきてくれるのを待ちました。 旦那がお話しするのは、日常のたわいもないこと。 ………でも、旦那様? 脂汗をかいていましてよ……? それに、可笑しな表情をしていらっしゃるわ。 私は侍女がティーセットを運んできた時、なぜ旦那様が可笑しな様子なのか、全てに気がつきました。 その侍女は、私が嫁入りする際についてきてもらった侍女。 ーーー旦那様と恋仲だと、噂されている、私の専属侍女。 旦那様はいつも菓子に手を付けませんので、大方私の好きな甘い菓子に毒でも入ってあるのでしょう。 …………それほどまでに、この子に入れ込んでいるのね。 馬鹿な旦那様。 でも、もう、いいわ……。 私は旦那様を愛しているから、騙されてあげる。 そうして私は菓子を口に入れた。 R15は保険です。 小説家になろう様にも投稿しております。

処理中です...