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勘違い。

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2人が帰ってきたのは、次の日の朝のことだった。
これが所謂、朝帰りってやつね。

というか、夫が妻以外の女性と朝帰りするのって…結構な大事よね?
のはずだけど、使用人の誰も動揺してないのよね。

…そうか。
2人は、公爵家公認の間柄だったのね。
私はまだ来たばかり…当然だわ。

2人は、事情があって別れたのね。
それで、キースは私と結婚。
だけどレイさんは、キースを忘れられなくて…

レイさんが突然観光したいと言ったのも、キースと真剣に話す時間を作りたかったのね。
そして昨日、隠していた想いを打ち明け合った2人は復縁…勢いのまま燃え上がって…
だから、朝帰りなんだわ。
なら…もう、私が入る余地はない。

彼とは別れることになる。
なら、その前に…自分の想いを伝えたい。
たとえ実らなくても、私と向き合ってくれたキースにお礼を伝えたい。

「2人とも、お帰りなさいませ。」

「アリシア、ただいま。
昨日はすまない…実は」

「いえ、気にしないで下さい。
私、キースと話したいことがあります。
…レイさん。
彼と少し、話してきてもいいですか?」

そう聞くとレイさんは、緊張したようにコクッと頷いた。
レイさん…大丈夫よ。
2人の邪魔はしないから、安心して。

ーーーーーーーーーーー

「アリシア。
話したいことって…」

「私…キースとレイさんの関係について知ってました。
というか、勝手に盗み聞いてしまったんです。
それで、考えました。」

「ちょっと待って下さい。
…僕とレイの関係って、何ですか?」

「元恋人同士だったんですよね?」

「…はい?
元恋人同士、じゃないです。
なにか勘違…」

「あ、そうか。
昨晩、復縁されたんでした。
だから今は…恋人同士ですね。」

私がそう言うと、彼は困ったような表情をした。
 
「…違います。
僕とレイは、アリシアが想像している関係ではありません。」

「…え?
いや、でも今さっき…朝帰りしましたよね?」

「…全然違います。
朝帰り、してません。
昨晩は事情ができて、レイの実家に泊めてもらったんです。」

事情…?
朝帰りじゃないなら、逆に何だというの?

「そもそも、レイは男です。
レイとは同じ学校出身で、長い付き合いの友人です。
そして事情というのは、アリシア貴方です。」

レイさんが男…?
私が事情って…

「…どういうことですか?」

「レイは、アリシアと僕の関係が縮まるよう協力してくれたんです。
…でも逆に、アリシアとギクシャクした気がします。」

「失礼しま~す…」

その時、突然レイさんが入ってきた。

「レ、イさん?
えっと、どういう…」

「奥様…すいません。
俺の悪ふざけが過ぎました…
さっきは本当に、ヒヤヒヤしました。
奥様がそんなに、思い詰めていたとは。」

なんか、話し方が違う…
え、本当にレイさんって男性…

「…俺、男です。
奥様が、俺の性別勘違いしてるのを利用したんです。
その、実はですね…」
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