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メカタニア戦記 君が為に捧げる花
ベオウルフ
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アネモネ姫のビームソードの刃が、闇騎士の鎧を貫いた。
補給を受けた『メカタニア王国』派遣軍は『ローゼンブルグ』へと進軍し、敗走したスターゼンの貴族連合軍の軍勢を追いやる。
『ローゼンブルグ』は、長閑な田舎町であったが、貴族連合軍の敗走部隊によって街が占拠され、実質的な支配下に置かれてしまい、ヒューマノイドロボットたちのエネルギーの源でもある飲み物『チャージエナジー』を徴収するなどの暴挙が繰り広げられた。
アネモネ姫は、すぐさま派遣軍を進軍させ、敗走部隊の討伐を決断する。
「怯むな!やつらはすでに大した戦力を有していない!このまま押し切って、スターゼンを捕らえろ!」
アネモネ姫の威勢に、歩兵たちは付き従う。
誰もがアネモネ姫を尊敬し、貴族連合軍を憎んでいる。
「うわああああああ!」
そんな時、歩兵の1人が巨漢の鎧を着用しているヒューマノイドロボットにビームトマホークで切り裂かれてしまう。
皮肉な笑みを浮かべる男を見て、アネモネ姫はその人物が誰かを察した。
「ベオウルフ!」
アネモネ姫も聞いたことがある。
人を切り裂くことを快楽にする野蛮人の思考を持ったヒューマノイドロボットの存在を、貴族連合軍から『処刑人』の異名で呼ばれている闇騎士がいることを。
「まさか『メカタニア』の王女様が自ら前線に現れるとはな!」
荒々しい口調で話すベオウルフ、頭は悪そうだが怪力では向こうが上手なのは明白だ。
「貴様を打ち破る!『メカタニア』の名誉のためにも!」
「バカは休み休み言うんだな!」
アネモネ姫のビームソードの刃がベオウルフに襲い掛かる。
ベオウルフは右腕に握っているビームアックスで簡単に受け止めてしまう。
特に苦しい表情も浮かべていないところを見ると、アネモネ姫の攻撃をまったく苦にしていないようだ。
「くっ!」
アネモネ姫はすぐさま一歩下がろうとする。
しかし今度はベオウルフがビームアックスを振り回す。
「おりゃっ!」
威勢よくビームアックスを振るうベオウルフ、アネモネ姫は必死に回避する。
あの一撃が直撃すれば、スクラップになることは避けられない。
しかも相手は怪力で上手、どんなヒューマノイドロボットさえも殴り殺すことを躊躇わないだろう。
「何か術はないか?」
このまま逃げ続けてばかりでは、決着が付かない。
アネモネ姫は脳裏にベオウルフの両足を思い浮かべる。
「やってみるしかないか・・・・・・」
ベオウルフの一撃が襲い掛かる。
「うおおおおおおおお!」
その一撃を数秒で回避したアネモネ姫は、ベオウルフの右足の踵に足を引っ掛け、ベオウルフを転倒させる。
「なんだとお?」
ベオウルフは驚く間もなく、転げてしまった。
どんな巨体の持ち主も、足元がおろそかになれば、立ってはいられない。
転げた瞬間をアネモネ姫は逃さなかった。
すぐさまビームアックスを蹴り飛ばし、ベオウルフから切り離し、すぐさま左足でベオウルフの右腕を踏みつける。
「猛獣も牙を削いでしまえば、もはや何もできないだろう」
アネモネ姫はビームソードの刃をベオウルフの喉に突きつける。
「歩兵部隊!ベオウルフを捕らえた!残りは生かしたまま捕らえるもよしとする!とにかく闇騎士たちを追い払うか討伐するかして、『ローゼンブルグ』を解放しろ!」
歩兵たちは、勢いを付け、貴族連合軍の闇騎士に立ち向かう。
「姫様!」
サーラが駆けつける。
「遅くなり申し訳ございません」
「いや、よく追い払ってくれた。敵の数はおそらく2万人以下まで低下しているはずだ。それより公爵を呼んでくれ。ベオウルフを『アルターブルグ』要塞へと送り返す」
サーラはアネモネ姫の意外な対応に驚く。
「その男を送り返すのですか?」
「ああ、こいつにはメッセンジャーになってもらう。ルシファーに伝えたいことがある」
「伝えたいこと?」
アネモネ姫は倒れ苦い表情を浮かべているベオウルフに剣より鋭い眼差しを向ける。
「原始人、ルシファーに伝えろ。実力の伴わない自尊心は捨てて投降しろと。無能なお前たちが生きていけるだけの財産は残してやるとな!」
この後、ベオウルフと10人の闇騎士は、アネモネ姫の命令で釈放されることになった。
ベオウルフは、1万人の兵士とともに敗退したスターゼンと合流し、『アルターブルグ』へと逃げ込む。
しかし密偵の話によれば、逃げ込んだスターゼンとベオウルフに激怒したルシファーは強力な闇魔法によって彼らを殺害してしまう。
貴族連合軍に綻びが生まれ始める。
アネモネ姫をはじめとする派遣軍は、『ローゼンブルグ』の住民から歓迎された。
派遣軍は、王国から派遣された補給部隊の支援を受けて、ついに『アルターブルグ』への攻略に至る。
恐ろしい力を持つルシファー、アネモネ姫は少しでも早く、あの邪知暴虐な魔王を滅ぼさなければいけないと誓った。
補給を受けた『メカタニア王国』派遣軍は『ローゼンブルグ』へと進軍し、敗走したスターゼンの貴族連合軍の軍勢を追いやる。
『ローゼンブルグ』は、長閑な田舎町であったが、貴族連合軍の敗走部隊によって街が占拠され、実質的な支配下に置かれてしまい、ヒューマノイドロボットたちのエネルギーの源でもある飲み物『チャージエナジー』を徴収するなどの暴挙が繰り広げられた。
アネモネ姫は、すぐさま派遣軍を進軍させ、敗走部隊の討伐を決断する。
「怯むな!やつらはすでに大した戦力を有していない!このまま押し切って、スターゼンを捕らえろ!」
アネモネ姫の威勢に、歩兵たちは付き従う。
誰もがアネモネ姫を尊敬し、貴族連合軍を憎んでいる。
「うわああああああ!」
そんな時、歩兵の1人が巨漢の鎧を着用しているヒューマノイドロボットにビームトマホークで切り裂かれてしまう。
皮肉な笑みを浮かべる男を見て、アネモネ姫はその人物が誰かを察した。
「ベオウルフ!」
アネモネ姫も聞いたことがある。
人を切り裂くことを快楽にする野蛮人の思考を持ったヒューマノイドロボットの存在を、貴族連合軍から『処刑人』の異名で呼ばれている闇騎士がいることを。
「まさか『メカタニア』の王女様が自ら前線に現れるとはな!」
荒々しい口調で話すベオウルフ、頭は悪そうだが怪力では向こうが上手なのは明白だ。
「貴様を打ち破る!『メカタニア』の名誉のためにも!」
「バカは休み休み言うんだな!」
アネモネ姫のビームソードの刃がベオウルフに襲い掛かる。
ベオウルフは右腕に握っているビームアックスで簡単に受け止めてしまう。
特に苦しい表情も浮かべていないところを見ると、アネモネ姫の攻撃をまったく苦にしていないようだ。
「くっ!」
アネモネ姫はすぐさま一歩下がろうとする。
しかし今度はベオウルフがビームアックスを振り回す。
「おりゃっ!」
威勢よくビームアックスを振るうベオウルフ、アネモネ姫は必死に回避する。
あの一撃が直撃すれば、スクラップになることは避けられない。
しかも相手は怪力で上手、どんなヒューマノイドロボットさえも殴り殺すことを躊躇わないだろう。
「何か術はないか?」
このまま逃げ続けてばかりでは、決着が付かない。
アネモネ姫は脳裏にベオウルフの両足を思い浮かべる。
「やってみるしかないか・・・・・・」
ベオウルフの一撃が襲い掛かる。
「うおおおおおおおお!」
その一撃を数秒で回避したアネモネ姫は、ベオウルフの右足の踵に足を引っ掛け、ベオウルフを転倒させる。
「なんだとお?」
ベオウルフは驚く間もなく、転げてしまった。
どんな巨体の持ち主も、足元がおろそかになれば、立ってはいられない。
転げた瞬間をアネモネ姫は逃さなかった。
すぐさまビームアックスを蹴り飛ばし、ベオウルフから切り離し、すぐさま左足でベオウルフの右腕を踏みつける。
「猛獣も牙を削いでしまえば、もはや何もできないだろう」
アネモネ姫はビームソードの刃をベオウルフの喉に突きつける。
「歩兵部隊!ベオウルフを捕らえた!残りは生かしたまま捕らえるもよしとする!とにかく闇騎士たちを追い払うか討伐するかして、『ローゼンブルグ』を解放しろ!」
歩兵たちは、勢いを付け、貴族連合軍の闇騎士に立ち向かう。
「姫様!」
サーラが駆けつける。
「遅くなり申し訳ございません」
「いや、よく追い払ってくれた。敵の数はおそらく2万人以下まで低下しているはずだ。それより公爵を呼んでくれ。ベオウルフを『アルターブルグ』要塞へと送り返す」
サーラはアネモネ姫の意外な対応に驚く。
「その男を送り返すのですか?」
「ああ、こいつにはメッセンジャーになってもらう。ルシファーに伝えたいことがある」
「伝えたいこと?」
アネモネ姫は倒れ苦い表情を浮かべているベオウルフに剣より鋭い眼差しを向ける。
「原始人、ルシファーに伝えろ。実力の伴わない自尊心は捨てて投降しろと。無能なお前たちが生きていけるだけの財産は残してやるとな!」
この後、ベオウルフと10人の闇騎士は、アネモネ姫の命令で釈放されることになった。
ベオウルフは、1万人の兵士とともに敗退したスターゼンと合流し、『アルターブルグ』へと逃げ込む。
しかし密偵の話によれば、逃げ込んだスターゼンとベオウルフに激怒したルシファーは強力な闇魔法によって彼らを殺害してしまう。
貴族連合軍に綻びが生まれ始める。
アネモネ姫をはじめとする派遣軍は、『ローゼンブルグ』の住民から歓迎された。
派遣軍は、王国から派遣された補給部隊の支援を受けて、ついに『アルターブルグ』への攻略に至る。
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