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メカタニア戦記 君が為に捧げる花
来訪
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「魔王ルシファー?」
城に戻ったアネモネ姫は玉座で構える父、シャルル・リ・メカタニア王より、魔王の噂と『ウスターランド』の親書の件を説明された。
「ああ、その魔王は数多くの国を滅ぼした凶悪な魔王である。悪逆非道の限りを尽くし、私利私欲のためなら闇騎士を利用して、数多くの国を奪った邪悪そのもの、情などない悪魔だ。『ウスターランド』は今やルシファーの脅威に脅かされている。我が国もできるだけの支援をしたいのだが・・・・・・」
アネモネは許せなかった。
平民の安寧を脅かす魔王、暴虐の限りを尽くす暴君を許せない感情に支配される。
「『ウスターランド』の親書の中身は?」
「魔王の手下たちの侵攻から国を守るために物資の支援をしてほしいとのことだった」
「父上、我々も救援に向かいましょう!」
「いや、もう少し様子を見て、『ウスターランド』の支援を考えよう」
アネモネ姫は今すぐにでも援軍を向かわせたかった。
「父上、どうして?!」
「ルシファーの動向を探るのじゃ。姫、くれぐれも軽率な真似はするなよ」
父の威厳ある言葉に、彼女は口を噤んだ。
「その心配はありませんな。国王陛下・・・・・・」
不気味な低い声が城内に響く。
玉座の前で急に雷が落ちた。
閃光の中に、大きな人型の魔物らしき巨体が浮かび上がる。
消えた閃光、そこにいたのは禍々しい妖気を全身から放つ巨漢の男のヒューマノイドロボットであった。
「私は魔王、ルシファー!」
魔王の名乗りに城中のヒューマノイドロボットたちは凍り付いた。
あのルシファーが直々に王国に乗り込んできたのだ。
「貴様!使者も送らず、直接乗り込むとは!」
アネモネ姫は剣を構えようとする。
「姫!」
シャルル王は彼女を静止させた。
「ルシファー殿、我が国に何の用かね?」
国王の質問に「お願いがあるのです」と返す。
「私は世界を手に入れ、貴族主導の国家連合体を構成したいのです。ぜひとも、『メカタニア王国』にも重大プロジェクトに加わっていただきたいのです」
「我が国にできることはないが?」
国王が表情を苦くすると、ルシファーは不気味な笑みを浮かべた。
「簡単なことです。『メカタニア王国』の領土を一部分割をしていただくか、特定地域の平民の参政権を法的に制限していただきたいのです。他は連合体のルールに従うだけ。簡単でしょ?」
「仮に従わなければどうする?」
今度はアネモネ姫が質問する。
「その時は『メカタニア王国』を敵と見て、我が門閥貴族連合軍が貴国を壊滅することになるでしょう」
アネモネ姫は激怒した。
「武力と暴力で民を脅すか!」
「平民の自治や政治参画はいずれ脅威になる。それを掣肘する役割が必要なのです」
「だが強すぎる力は、新たな火種を生むことになる!」
「いいえ、姫。私と国家連合があれば、どんな国の諸問題も解決できましょう」
アネモネ姫は容認できなかった。
貴族主導の連合に組して、領土を明け渡し、挙句に民の政治参画を法的に制限しようという要求を簡単には受け入れなかった。
そして要求を受け入れなければ、国を壊滅させるという横暴に出るのだから、許せない。
「断固反対する!たとえ国王が許しても、私が許さない!」
アネモネ姫は自らの意思をルシファーにぶつける。
ルシファーは皮肉な笑みを浮かべる。
「アネモネ姫、あなたは今、ご自身がかなり国の趨勢を左右する大変な一歩を歩みつつある。それが何を意味するか?」
「黙れ!」
アネモネ姫の怒りは頂点に達していた。
「『ウスターランド』の民を恫喝している貴様はただの賊軍の長でしかない!」
ルシファーは「大口を叩きましたな」と口にして、嘲笑する。
どこまで馬鹿にすれば気が済むのか。
「我々の連合体を『賊軍』と申しましたね。つまり、『メカタニア王国』の方向性は我らとは別にあるということですな。国王陛下?」
ルシファーの眼差しはシャルルに向けられる。
「連合体の加盟に関してはもう少し様子を見たい。しかし、領土分割と民の参政権の制限には反対である。たとえ如何なる理由があろうともな」
シャルルは冷静に毅然と回答する。
「どうやら、『メカタニア王国』とは物別れになりますな。まあいいでしょう。しかし、『メカタニア王国』が火の海のなったとしても、それは国王陛下のご意思、アネモネ姫のご意思、何より『メカタニア王国』の平民のご意思と言うことになりますからな・・・・・・」
魔王ルシファーは捨て台詞を吐いて、姿を透明にした。
どうやら自らの拠点に帰ったらしい。
「許せない!民を暴力で支配しようなどと!」
「アネモネ、お主の正義は熱い。だが、それは時には民衆の脅威にもなる。落ち着くのじゃ」
シャルルの警告にアネモネ姫は、「失礼しました」と詫びる。
「しかし父上、このままでは『ウスターランド』が危ない!救援を向かわせましょう!」
「そうだな。アネモネ、いつでも軍を出陣できるようにしておけ!」
「はい!」
国王たるシャルルは軍の派遣を決意する。
そんな時、赤い服の貴族のヒューマノイドロボットと絵本に出てくるような魔女風のヒューマノイドロボットが姿を現した。
中年男性のような容姿のガントレット公爵は「私も討伐軍の指揮を担わせていただきたい。一応軍人ですからね!」と胸を張って、威張り散らす。
「ガントレット公爵?!どうしてあなたが?」
アネモネは彼を知っていた。
口は悪いが貴族でありながら民に寄り添い、貧しい子供に対して先生をしたりと、民を思う気持ちは貴族で一番の人柄だった。
「アネモネ嬢ちゃん。今回は厄介だぞ、伯爵と称するガロや他国で戦術家をやっていたスターゼンもあのルシファーとか名乗る魔王の配下にいるからな」
「公爵自らが!その熱き思いに応えてみせます!」
アネモネ姫は喜んでいた。
「あと魔女のサーラも同行させる予定だ」
魔女の少女はシャルルとアネモネ姫に一礼する。
「サーラでございます。公爵にお供させていただければ」
アネモネ姫は笑みを浮かべ「喜んで!」と返す。
「アネモネ、まずはガントレット、サーラと一緒に『ウスターランド』に向かってくれ。恐らくルシファーの貴族連合軍が構えているはずだ」
「はい!」
アネモネ姫は頭を下げる。
「必ず!魔王を、賊軍を討伐してみせます!」
この時、『メカタニア王国』はルシファー率いる『ルシファー貴族連合軍』を敵国とみなし、討伐することになった。
アネモネ・ガントレット・サーラは2万人の騎士を引き連れ、『ウスターランド』へ急行することになる。
城に戻ったアネモネ姫は玉座で構える父、シャルル・リ・メカタニア王より、魔王の噂と『ウスターランド』の親書の件を説明された。
「ああ、その魔王は数多くの国を滅ぼした凶悪な魔王である。悪逆非道の限りを尽くし、私利私欲のためなら闇騎士を利用して、数多くの国を奪った邪悪そのもの、情などない悪魔だ。『ウスターランド』は今やルシファーの脅威に脅かされている。我が国もできるだけの支援をしたいのだが・・・・・・」
アネモネは許せなかった。
平民の安寧を脅かす魔王、暴虐の限りを尽くす暴君を許せない感情に支配される。
「『ウスターランド』の親書の中身は?」
「魔王の手下たちの侵攻から国を守るために物資の支援をしてほしいとのことだった」
「父上、我々も救援に向かいましょう!」
「いや、もう少し様子を見て、『ウスターランド』の支援を考えよう」
アネモネ姫は今すぐにでも援軍を向かわせたかった。
「父上、どうして?!」
「ルシファーの動向を探るのじゃ。姫、くれぐれも軽率な真似はするなよ」
父の威厳ある言葉に、彼女は口を噤んだ。
「その心配はありませんな。国王陛下・・・・・・」
不気味な低い声が城内に響く。
玉座の前で急に雷が落ちた。
閃光の中に、大きな人型の魔物らしき巨体が浮かび上がる。
消えた閃光、そこにいたのは禍々しい妖気を全身から放つ巨漢の男のヒューマノイドロボットであった。
「私は魔王、ルシファー!」
魔王の名乗りに城中のヒューマノイドロボットたちは凍り付いた。
あのルシファーが直々に王国に乗り込んできたのだ。
「貴様!使者も送らず、直接乗り込むとは!」
アネモネ姫は剣を構えようとする。
「姫!」
シャルル王は彼女を静止させた。
「ルシファー殿、我が国に何の用かね?」
国王の質問に「お願いがあるのです」と返す。
「私は世界を手に入れ、貴族主導の国家連合体を構成したいのです。ぜひとも、『メカタニア王国』にも重大プロジェクトに加わっていただきたいのです」
「我が国にできることはないが?」
国王が表情を苦くすると、ルシファーは不気味な笑みを浮かべた。
「簡単なことです。『メカタニア王国』の領土を一部分割をしていただくか、特定地域の平民の参政権を法的に制限していただきたいのです。他は連合体のルールに従うだけ。簡単でしょ?」
「仮に従わなければどうする?」
今度はアネモネ姫が質問する。
「その時は『メカタニア王国』を敵と見て、我が門閥貴族連合軍が貴国を壊滅することになるでしょう」
アネモネ姫は激怒した。
「武力と暴力で民を脅すか!」
「平民の自治や政治参画はいずれ脅威になる。それを掣肘する役割が必要なのです」
「だが強すぎる力は、新たな火種を生むことになる!」
「いいえ、姫。私と国家連合があれば、どんな国の諸問題も解決できましょう」
アネモネ姫は容認できなかった。
貴族主導の連合に組して、領土を明け渡し、挙句に民の政治参画を法的に制限しようという要求を簡単には受け入れなかった。
そして要求を受け入れなければ、国を壊滅させるという横暴に出るのだから、許せない。
「断固反対する!たとえ国王が許しても、私が許さない!」
アネモネ姫は自らの意思をルシファーにぶつける。
ルシファーは皮肉な笑みを浮かべる。
「アネモネ姫、あなたは今、ご自身がかなり国の趨勢を左右する大変な一歩を歩みつつある。それが何を意味するか?」
「黙れ!」
アネモネ姫の怒りは頂点に達していた。
「『ウスターランド』の民を恫喝している貴様はただの賊軍の長でしかない!」
ルシファーは「大口を叩きましたな」と口にして、嘲笑する。
どこまで馬鹿にすれば気が済むのか。
「我々の連合体を『賊軍』と申しましたね。つまり、『メカタニア王国』の方向性は我らとは別にあるということですな。国王陛下?」
ルシファーの眼差しはシャルルに向けられる。
「連合体の加盟に関してはもう少し様子を見たい。しかし、領土分割と民の参政権の制限には反対である。たとえ如何なる理由があろうともな」
シャルルは冷静に毅然と回答する。
「どうやら、『メカタニア王国』とは物別れになりますな。まあいいでしょう。しかし、『メカタニア王国』が火の海のなったとしても、それは国王陛下のご意思、アネモネ姫のご意思、何より『メカタニア王国』の平民のご意思と言うことになりますからな・・・・・・」
魔王ルシファーは捨て台詞を吐いて、姿を透明にした。
どうやら自らの拠点に帰ったらしい。
「許せない!民を暴力で支配しようなどと!」
「アネモネ、お主の正義は熱い。だが、それは時には民衆の脅威にもなる。落ち着くのじゃ」
シャルルの警告にアネモネ姫は、「失礼しました」と詫びる。
「しかし父上、このままでは『ウスターランド』が危ない!救援を向かわせましょう!」
「そうだな。アネモネ、いつでも軍を出陣できるようにしておけ!」
「はい!」
国王たるシャルルは軍の派遣を決意する。
そんな時、赤い服の貴族のヒューマノイドロボットと絵本に出てくるような魔女風のヒューマノイドロボットが姿を現した。
中年男性のような容姿のガントレット公爵は「私も討伐軍の指揮を担わせていただきたい。一応軍人ですからね!」と胸を張って、威張り散らす。
「ガントレット公爵?!どうしてあなたが?」
アネモネは彼を知っていた。
口は悪いが貴族でありながら民に寄り添い、貧しい子供に対して先生をしたりと、民を思う気持ちは貴族で一番の人柄だった。
「アネモネ嬢ちゃん。今回は厄介だぞ、伯爵と称するガロや他国で戦術家をやっていたスターゼンもあのルシファーとか名乗る魔王の配下にいるからな」
「公爵自らが!その熱き思いに応えてみせます!」
アネモネ姫は喜んでいた。
「あと魔女のサーラも同行させる予定だ」
魔女の少女はシャルルとアネモネ姫に一礼する。
「サーラでございます。公爵にお供させていただければ」
アネモネ姫は笑みを浮かべ「喜んで!」と返す。
「アネモネ、まずはガントレット、サーラと一緒に『ウスターランド』に向かってくれ。恐らくルシファーの貴族連合軍が構えているはずだ」
「はい!」
アネモネ姫は頭を下げる。
「必ず!魔王を、賊軍を討伐してみせます!」
この時、『メカタニア王国』はルシファー率いる『ルシファー貴族連合軍』を敵国とみなし、討伐することになった。
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