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メカタニア戦記 君が為に捧げる花
悪魔会議
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『ウスターランド』郊外の火山周辺、険しい岩山の地下には宮殿があった。
その宮殿には、たくさんの秘宝や美術品が秘蔵されていた。
闇騎士ユナは足を踏み入れる。
『ウスターランド』郊外の火山には奇妙な噂がある。
遥か昔に建設された地下宮殿があり、今でも謎の遺跡として語られることのない謎の地下宮殿であった。
その大きさは1万人を収容可能な宮殿で、瀟洒な柱に大理石の床など、宮殿でありながらシェルターとしての機能も有していた。
一説には、国を滅ぼされて落ちぶれた騎士たちが集い、地下組織を構築しているとの噂もあるが、真相は宮殿と同じく闇色に染まっている。
「ユナ!」
老練な男性ヒューマノイドロボットが姿を現した。
中世の男性貴族が着用しているスーツを着こなすヒューマノイドロボット、ユナは彼を知っていた。
「ガロ伯爵?」
「あまり外をうろつくなよ。あのお方が動きだすまでは様子を伺え」
ガロ。
謎の多い老練な男、絵に描いたような貴族風の姿だが、威厳を感じる。
ユナは彼のことを伯爵と呼ぶ。
「よいではありませんか?」
今度は中年の軍人と思われる鎧を着用した男が姿を現した。
「スターゼン提督か」
「よくご存知で」
「そちらのことは知っている。かつてはとある王国の作戦士官だったが、国を滅ぼされ、我らと志を共にする参謀・・・・・・」
スターゼンを名乗る男の隣にエルフの男が現れる。
「ふん!カマキリのスターゼンより、このバルサム様の方が上手ですぜ。伯爵閣下!」
バルサムを名乗るエルフ、肉体はスターゼンより筋肉質で、左目の傷から歴戦の騎士の風格を感じられる。
「バルサム、貴様のような頭まで筋肉の輩では先行きが不安だな」
「なんだと!」
スターゼンとバルサムはお互いをにらみ合う。
「よせ!もうじきあのお方が動き始めるというのに、お前たちがそれでどうする?」
ガロは2人を一喝する。
犬猿の関係のバルサムとスターゼンは気に食わぬ表情で心の牙を収める。
ユナはガロに鋭い眼差しを向ける。
「ルシファー様が動かれるのですか?」
ルシファー。
『アースグリム』にはかつて、多くの魔王が存在した。
しかし魔王は姿を現しては数多くの国の勇者の手によって滅ぼされたが、生き残りが地下で身を潜めているのではないか、『メカタニア王国』をはじめ、多くの国で噂されるようになった。
魔王は闇落ちした騎士や軍人を集め、地下組織をいくつも設立したのではないかという噂もある。
その筆頭に立った魔王、ルシファーを名乗る魔王は長らく、各国の勇者にも存在を知られることのなかった無名の狼である。
ユナはその魔王を知っていた。
正確に言えば、拾われたというのが的確であろう。
ユナ・ガロ・スターゼン・バルサムは、国を滅ぼされ、行き場を失い、世界を恨んでいた時に拾われた闇騎士の集まりである。
「ルシファー様は『メカタニア王国』へ向かわれる予定だ。シャルル王の慌てふためく顔が拝めるであろう」
ガロの不気味な笑いが、宮殿中に響く。
ユナは表情をこわばらせる。
その宮殿には、たくさんの秘宝や美術品が秘蔵されていた。
闇騎士ユナは足を踏み入れる。
『ウスターランド』郊外の火山には奇妙な噂がある。
遥か昔に建設された地下宮殿があり、今でも謎の遺跡として語られることのない謎の地下宮殿であった。
その大きさは1万人を収容可能な宮殿で、瀟洒な柱に大理石の床など、宮殿でありながらシェルターとしての機能も有していた。
一説には、国を滅ぼされて落ちぶれた騎士たちが集い、地下組織を構築しているとの噂もあるが、真相は宮殿と同じく闇色に染まっている。
「ユナ!」
老練な男性ヒューマノイドロボットが姿を現した。
中世の男性貴族が着用しているスーツを着こなすヒューマノイドロボット、ユナは彼を知っていた。
「ガロ伯爵?」
「あまり外をうろつくなよ。あのお方が動きだすまでは様子を伺え」
ガロ。
謎の多い老練な男、絵に描いたような貴族風の姿だが、威厳を感じる。
ユナは彼のことを伯爵と呼ぶ。
「よいではありませんか?」
今度は中年の軍人と思われる鎧を着用した男が姿を現した。
「スターゼン提督か」
「よくご存知で」
「そちらのことは知っている。かつてはとある王国の作戦士官だったが、国を滅ぼされ、我らと志を共にする参謀・・・・・・」
スターゼンを名乗る男の隣にエルフの男が現れる。
「ふん!カマキリのスターゼンより、このバルサム様の方が上手ですぜ。伯爵閣下!」
バルサムを名乗るエルフ、肉体はスターゼンより筋肉質で、左目の傷から歴戦の騎士の風格を感じられる。
「バルサム、貴様のような頭まで筋肉の輩では先行きが不安だな」
「なんだと!」
スターゼンとバルサムはお互いをにらみ合う。
「よせ!もうじきあのお方が動き始めるというのに、お前たちがそれでどうする?」
ガロは2人を一喝する。
犬猿の関係のバルサムとスターゼンは気に食わぬ表情で心の牙を収める。
ユナはガロに鋭い眼差しを向ける。
「ルシファー様が動かれるのですか?」
ルシファー。
『アースグリム』にはかつて、多くの魔王が存在した。
しかし魔王は姿を現しては数多くの国の勇者の手によって滅ぼされたが、生き残りが地下で身を潜めているのではないか、『メカタニア王国』をはじめ、多くの国で噂されるようになった。
魔王は闇落ちした騎士や軍人を集め、地下組織をいくつも設立したのではないかという噂もある。
その筆頭に立った魔王、ルシファーを名乗る魔王は長らく、各国の勇者にも存在を知られることのなかった無名の狼である。
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正確に言えば、拾われたというのが的確であろう。
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「ルシファー様は『メカタニア王国』へ向かわれる予定だ。シャルル王の慌てふためく顔が拝めるであろう」
ガロの不気味な笑いが、宮殿中に響く。
ユナは表情をこわばらせる。
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