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1550系電車異世界へ行く
調査
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『オームラ』の里は独自の文化が根付く、鉄鋼業が盛んな里である。
その後、大国『アラド王国』と同盟関係を組み、『アラド』の傘に守られながら、他国の侵略を許さないでいた。
『オームラ』はその一方でたくさんの鉱山資源を優先的に『アラド』に輸出し、食料や医薬品などは逆に輸入していた。
アーク(天空)からマハロ山までを結ぶ『オームラ鉄道』は、『アラド』や同盟国の支援を経て、無事に開業し、鉱山労働者と周辺地域の地域輸送に大幅に貢献し、今日も鉱山労働者たちを運んでいる。
急カーブの多い路線という特性から、元来より小型の蒸気機関車と客車を輸入している。
『アラド』からはたくさんの鉄道技術者が『オームラ』へと移り住み、『オームラ鉄道』車両の整備などをしている。
その中でも鉄道技師のハンツマンはベテランの社員であった。
ハンツマンはたくさんの国を放浪した経験があり、たくさんの鉄道を研究してきた。
ジルに呼ばれたハンツマンは、すぐさま謎の車両があるアーク(天空)郊外の側線は、元々は貨車などを留置する場所であった。
謎の車両の出現でさっそく『オームラ鉄道』の関係者は、謎の車両の調査を急いだ。
ハンツマンは息をのむように車両を見渡した。
屋根に上り、屋根上の搭載品も隅々まで見渡し、降りたら今度は床下に潜り、隅々まで見渡した。
「車体に採用されている金属、『オームラ』の金属ではないですね。しかし、車両には錆はまったくないことから、錆の発生しにくい金属車両であると推察します」
ハンツマンの報告に、ジルもカカシも驚いた。
錆の発生しにくい金属を鉄道で採用したという話は『アラド』でも聞いた試しはなかった。
「あと屋根の装備と床下を見ましたが、ここの世界でもあまり見たことのない装備でした。あくまで推測ですが、あの車両は電気で動く車両ではないかと思います。それも蒸気機関車の手なんていらない自走できる車両のようです」
ジルは混乱した。
「電気で動くと?!『アラド王国』でも火と魔法と共存するのに30年以上も要したというのに!」
「あくまで推測です。詳しくは、あの車両を分解してみないことにはなんとも・・・・・・」
カカシも驚いていた。
「しかし、推測が本当なら、この車両を里の物にできます。それに誰の持ち主かも分からない車両、我々の持ち物のようなものです」
カカシはこの消息不明車両を『オームラ鉄道』で活かそうと考えていた。
「この車両の謎を解き明かせば、『アラド』からの技術支援を受けられるかもしれない」
「しかし、この車両に記載されている言語は、この世界の物ではありませんでした。どうやったら動くのかさえ、答えは見えていない状況です」
ハンツマンの言う通りであった。
不明の電車の存在のすべてを知る方法は不明である。
謎の言語で表記された数々のプレート、どうしたらいいか答えもない。
「ワシに任せてくれぬかな?」
ヒミコが水晶玉を持ってきた。
「ババ様、魔術で調べようと?」
「ああ、ワシが生きているうちに、この車両の謎を明かして、里の民を豊かにできる方法を考えなければいけませんな」
カカシは静かに頷く。
ヒミコは小声で呪文を唱える。
「この車両からエネルギーを感じる・・・・・・。これは電気のエネルギーじゃ。ハンツマンの見立て通り、この車両は電気で動き、自走もできる」
ジルとカカシは「おおっ!」と声を上げる。
「屋根の上にある白い物、あれは「れいぼう」とか言うものらしい。涼しい風と暖かい風を機械で引き起こすことができる装置のようだ」
ジルは理解が追い付かなかった。
「驚きですね」
「床下のものは「モーター」と言うらしい。モーターを回して列車を自走させることができるようだが、複雑じゃな」
ヒミコに疲れの色が見えてきた。
「ババ様、このあたりで十分です。後はジル殿やハンツマン殿に任せましょう」
ヒミコは魔法を使用するのをやめた。
「面白い物を久しぶりに見ることができた・・・・・・」
ジルはハンツマンに「この車両を車庫まで持っていけるか?」と尋ねる。
「はい、調査したところ連結器とレール幅は幸いにも『オームラ鉄道』と同じ規格の物なのです。これなら『ウィリー号』にも連結できそうです」
「ハンツマン、この車両をすぐ車庫まで持っていかせよう。分解できる余地があるなら、分解も止む無しだ。会社全体でこの車両を調べるぞ!」
ジルは張り切って社員たちを鼓舞する。
『オームラ鉄道』は謎の車両の解明に向けて全力を費やすことになった。
その後、大国『アラド王国』と同盟関係を組み、『アラド』の傘に守られながら、他国の侵略を許さないでいた。
『オームラ』はその一方でたくさんの鉱山資源を優先的に『アラド』に輸出し、食料や医薬品などは逆に輸入していた。
アーク(天空)からマハロ山までを結ぶ『オームラ鉄道』は、『アラド』や同盟国の支援を経て、無事に開業し、鉱山労働者と周辺地域の地域輸送に大幅に貢献し、今日も鉱山労働者たちを運んでいる。
急カーブの多い路線という特性から、元来より小型の蒸気機関車と客車を輸入している。
『アラド』からはたくさんの鉄道技術者が『オームラ』へと移り住み、『オームラ鉄道』車両の整備などをしている。
その中でも鉄道技師のハンツマンはベテランの社員であった。
ハンツマンはたくさんの国を放浪した経験があり、たくさんの鉄道を研究してきた。
ジルに呼ばれたハンツマンは、すぐさま謎の車両があるアーク(天空)郊外の側線は、元々は貨車などを留置する場所であった。
謎の車両の出現でさっそく『オームラ鉄道』の関係者は、謎の車両の調査を急いだ。
ハンツマンは息をのむように車両を見渡した。
屋根に上り、屋根上の搭載品も隅々まで見渡し、降りたら今度は床下に潜り、隅々まで見渡した。
「車体に採用されている金属、『オームラ』の金属ではないですね。しかし、車両には錆はまったくないことから、錆の発生しにくい金属車両であると推察します」
ハンツマンの報告に、ジルもカカシも驚いた。
錆の発生しにくい金属を鉄道で採用したという話は『アラド』でも聞いた試しはなかった。
「あと屋根の装備と床下を見ましたが、ここの世界でもあまり見たことのない装備でした。あくまで推測ですが、あの車両は電気で動く車両ではないかと思います。それも蒸気機関車の手なんていらない自走できる車両のようです」
ジルは混乱した。
「電気で動くと?!『アラド王国』でも火と魔法と共存するのに30年以上も要したというのに!」
「あくまで推測です。詳しくは、あの車両を分解してみないことにはなんとも・・・・・・」
カカシも驚いていた。
「しかし、推測が本当なら、この車両を里の物にできます。それに誰の持ち主かも分からない車両、我々の持ち物のようなものです」
カカシはこの消息不明車両を『オームラ鉄道』で活かそうと考えていた。
「この車両の謎を解き明かせば、『アラド』からの技術支援を受けられるかもしれない」
「しかし、この車両に記載されている言語は、この世界の物ではありませんでした。どうやったら動くのかさえ、答えは見えていない状況です」
ハンツマンの言う通りであった。
不明の電車の存在のすべてを知る方法は不明である。
謎の言語で表記された数々のプレート、どうしたらいいか答えもない。
「ワシに任せてくれぬかな?」
ヒミコが水晶玉を持ってきた。
「ババ様、魔術で調べようと?」
「ああ、ワシが生きているうちに、この車両の謎を明かして、里の民を豊かにできる方法を考えなければいけませんな」
カカシは静かに頷く。
ヒミコは小声で呪文を唱える。
「この車両からエネルギーを感じる・・・・・・。これは電気のエネルギーじゃ。ハンツマンの見立て通り、この車両は電気で動き、自走もできる」
ジルとカカシは「おおっ!」と声を上げる。
「屋根の上にある白い物、あれは「れいぼう」とか言うものらしい。涼しい風と暖かい風を機械で引き起こすことができる装置のようだ」
ジルは理解が追い付かなかった。
「驚きですね」
「床下のものは「モーター」と言うらしい。モーターを回して列車を自走させることができるようだが、複雑じゃな」
ヒミコに疲れの色が見えてきた。
「ババ様、このあたりで十分です。後はジル殿やハンツマン殿に任せましょう」
ヒミコは魔法を使用するのをやめた。
「面白い物を久しぶりに見ることができた・・・・・・」
ジルはハンツマンに「この車両を車庫まで持っていけるか?」と尋ねる。
「はい、調査したところ連結器とレール幅は幸いにも『オームラ鉄道』と同じ規格の物なのです。これなら『ウィリー号』にも連結できそうです」
「ハンツマン、この車両をすぐ車庫まで持っていかせよう。分解できる余地があるなら、分解も止む無しだ。会社全体でこの車両を調べるぞ!」
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