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1550系電車異世界へ行く
オームラ
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地球とは別世界にある東洋の里、『オームラ』では、『オームラ鉄道』の車両置き換え計画に悩まされていた。
『オームラ鉄道』は首都アーク(天空)からマハロ山までを結ぶ全長10km弱の鉄道で、蒸気機関車『ウィリー号』を大国から購入して、大国から譲り受けた旧型木造客車で、旅客輸送を行っていた。
しかし車両はすでに60年以上経過した車両で、木造のため、老朽化が著しく、いつ車体が壊れるかさえ不明だった。
オームラ鉄道社長のジルは頭を悩ませていた。
鉄道会社は開業にかかった資金の返済で手一杯で、とても新車を購入する予算はなかった。
里長のカカシは社長のジルに新車導入を直談判した。
「この里の鉄道経営が苦しいのは分かる。しかし、何とか新車を導入できないだろうか」
ジルは苦い表情を浮かべた。
「当社はやっとの想いで開業した会社です。いつかは新車を購入しなければと考えていますが、今の今すぐには難しいでしょう」
しかしカカシは譲れなかった。
「我が里は、他国に比べれば大赤字だ。しかし、今年の金の収穫とコメの豊作が実現すれば、里の懐事情もどうにかなろう」
「ええ、我々も里の事情を踏まえてとは思っているのですが、やはり財政の厳しい時にというのも苦しい願いでして・・・・・・。おまけに他国で客車の掘り出し物がない分、自前での製造か延命しか選択はないのです」
「うーん。確かにお互い厳しいのは分かる。しかし、厳しい状況に甘んじては前に進むことも叶わない。お互い里の民を思う気持ちは一緒のはず」
「ええ、とはいえ今後の投資のことを考えると、車両の置き換えはタイミングが肝心でして・・・・・・」
「しかし、それでは民の快適な輸送サービスはもっと遠くなる」
「ええ、我々も何とかしたい限りです」
ジルもカカシもお互い忖度しながら意見をぶつけ合ったが、平行線だった。
『オームラ鉄道』は歴史の浅い新興の鉄道会社だ。
そのため、開業から浅い年月しか経っていない。
資金調達は困難を極め、他国からの借入金なども投入して、『オームラ鉄道』は開業まで漕ぎつけた。
しかし、それは苦難の歴史だった。
他国からの借入金返済で苦労し、経営はいつも赤字だった。
そのため、導入した車両は全て他国からの払い下げばかりで、新車を購入する予算はないほど、経営はギリギリだった。
『オームラ』の里も例外ではなかった。
弱小の村として常に大国の侵略に怯えながらも、大国に守られ、今日里としての経営をうまくできている。
しかし財政事情は厳しかった。
里の民の衣食住はなんとか担保できるレベルだが、『オームラ鉄道』に捻出する補助金は出し渋っている状況だ。
お互い厳しい状況であった。
財政は無限ではない。
しかしお互い現状のまま満足はしたくなかった。
ジルは早く旧型客車を置き換えたいと考え、カカシも里長として鉄道の快適な輸送の実現に努めてほしいと考えていた。
すでに交渉は数か月以上続いており、議論は平行線の状態が続いた。
しかし、お互い財政の壁に悩み、議論が進まないのだ。
「ジル社長!里長!大変です!」
秘書の一人が駆けつける。
「どうした?」
ジルが尋ねると「アーク(天空)の郊外の側線で、不審な列車を発見しました!」という奇妙な報告だった。
ジルは奇妙な報告を疑う。
「見間違えでは?」
「そうではないんです!銀色の車体に何やら色々装備している列車のようで・・・・・・」
ジルとカカシはキョトンとした。
「とにかく現地へ!里の民も興味関心を持っているようです」
『オームラ鉄道』は首都アーク(天空)からマハロ山までを結ぶ全長10km弱の鉄道で、蒸気機関車『ウィリー号』を大国から購入して、大国から譲り受けた旧型木造客車で、旅客輸送を行っていた。
しかし車両はすでに60年以上経過した車両で、木造のため、老朽化が著しく、いつ車体が壊れるかさえ不明だった。
オームラ鉄道社長のジルは頭を悩ませていた。
鉄道会社は開業にかかった資金の返済で手一杯で、とても新車を購入する予算はなかった。
里長のカカシは社長のジルに新車導入を直談判した。
「この里の鉄道経営が苦しいのは分かる。しかし、何とか新車を導入できないだろうか」
ジルは苦い表情を浮かべた。
「当社はやっとの想いで開業した会社です。いつかは新車を購入しなければと考えていますが、今の今すぐには難しいでしょう」
しかしカカシは譲れなかった。
「我が里は、他国に比べれば大赤字だ。しかし、今年の金の収穫とコメの豊作が実現すれば、里の懐事情もどうにかなろう」
「ええ、我々も里の事情を踏まえてとは思っているのですが、やはり財政の厳しい時にというのも苦しい願いでして・・・・・・。おまけに他国で客車の掘り出し物がない分、自前での製造か延命しか選択はないのです」
「うーん。確かにお互い厳しいのは分かる。しかし、厳しい状況に甘んじては前に進むことも叶わない。お互い里の民を思う気持ちは一緒のはず」
「ええ、とはいえ今後の投資のことを考えると、車両の置き換えはタイミングが肝心でして・・・・・・」
「しかし、それでは民の快適な輸送サービスはもっと遠くなる」
「ええ、我々も何とかしたい限りです」
ジルもカカシもお互い忖度しながら意見をぶつけ合ったが、平行線だった。
『オームラ鉄道』は歴史の浅い新興の鉄道会社だ。
そのため、開業から浅い年月しか経っていない。
資金調達は困難を極め、他国からの借入金なども投入して、『オームラ鉄道』は開業まで漕ぎつけた。
しかし、それは苦難の歴史だった。
他国からの借入金返済で苦労し、経営はいつも赤字だった。
そのため、導入した車両は全て他国からの払い下げばかりで、新車を購入する予算はないほど、経営はギリギリだった。
『オームラ』の里も例外ではなかった。
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しかし財政事情は厳しかった。
里の民の衣食住はなんとか担保できるレベルだが、『オームラ鉄道』に捻出する補助金は出し渋っている状況だ。
お互い厳しい状況であった。
財政は無限ではない。
しかしお互い現状のまま満足はしたくなかった。
ジルは早く旧型客車を置き換えたいと考え、カカシも里長として鉄道の快適な輸送の実現に努めてほしいと考えていた。
すでに交渉は数か月以上続いており、議論は平行線の状態が続いた。
しかし、お互い財政の壁に悩み、議論が進まないのだ。
「ジル社長!里長!大変です!」
秘書の一人が駆けつける。
「どうした?」
ジルが尋ねると「アーク(天空)の郊外の側線で、不審な列車を発見しました!」という奇妙な報告だった。
ジルは奇妙な報告を疑う。
「見間違えでは?」
「そうではないんです!銀色の車体に何やら色々装備している列車のようで・・・・・・」
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