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夜のサブスク契約
1 夜のサブスク契約
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「絶対復讐して、ぎゃふんと言わせてやる!!」
私、藤原花音(ふじわらかのん)は会社のリフレッシュルームで、ぼろぼろと涙を流しながら、後輩の永井篤人(ながいあつと)に不満をぶちまけていた。
時刻は22時を回っている。残業はまだ終わらない。
一息つこうと残っていた彼とリフレッシュルームで話し始めたら、涙が止まらなくなった。
「ギャフン……ね」
「だって、二回目だよ。いくらなんでもひどすぎる」
「へー」
あまり興味なさそうにそう言うと、永井くんはコーヒーを飲み干した。
突然始まった涙の訴えは、迷惑でしかないのだろう。
ふと恥ずかしさが込み上げて、下唇を噛んで、床に目を落とした。
「……俺が協力しましょうか?」
「え?」
突然降ってきたその言葉に、弾かれたように私は顔を上げた。
「復讐、するんでしょ?」
あまりにも美しすぎる永井くんの顔がすぐそばまで近づいてきて、思わず息が止まる。
復讐相手は百戦錬磨の泥棒ねこ。
並大抵の協力者では、この復讐はなしとげられないだろう。
永井くんは、社内に顔が広い。さまざまな情報を入手するためにも、協力者にはもってこいの相手だ。
私はごくんと生唾を飲み込むと、体の奥から湧き上がる言葉を口にした。
「うん……復讐したい。永井くん、手を貸してくれる?」
「いいですよ。でも、ただじゃいやです」
ただじゃいや。さすが、営業ナンバーワンともなれば、利益はきちんと出す、それが当たり前なのだろう。
「わかった。いくらほしいの?」
「金じゃなくて」
そういいながら、永井くんにすっと顎をすくわれて唇が重なる寸前まで美麗な顔が近づいてきた。
あまりのことに動けずにいると、ものすごく近くで唇が動く。「藤原さんが欲しいです」
「わ、私……?」
「復讐が終わるまで、サブスクで」
サブスクって何? と首を傾げる。
永井くんはプッと笑いながら少し離れて、私の喉元にとんっと人差し指を当てた。
「藤原さんの躰、復讐が終わるまで堪能させてください」
「躰?」
「はい、セックスするってことです」
私、藤原花音(ふじわらかのん)は会社のリフレッシュルームで、ぼろぼろと涙を流しながら、後輩の永井篤人(ながいあつと)に不満をぶちまけていた。
時刻は22時を回っている。残業はまだ終わらない。
一息つこうと残っていた彼とリフレッシュルームで話し始めたら、涙が止まらなくなった。
「ギャフン……ね」
「だって、二回目だよ。いくらなんでもひどすぎる」
「へー」
あまり興味なさそうにそう言うと、永井くんはコーヒーを飲み干した。
突然始まった涙の訴えは、迷惑でしかないのだろう。
ふと恥ずかしさが込み上げて、下唇を噛んで、床に目を落とした。
「……俺が協力しましょうか?」
「え?」
突然降ってきたその言葉に、弾かれたように私は顔を上げた。
「復讐、するんでしょ?」
あまりにも美しすぎる永井くんの顔がすぐそばまで近づいてきて、思わず息が止まる。
復讐相手は百戦錬磨の泥棒ねこ。
並大抵の協力者では、この復讐はなしとげられないだろう。
永井くんは、社内に顔が広い。さまざまな情報を入手するためにも、協力者にはもってこいの相手だ。
私はごくんと生唾を飲み込むと、体の奥から湧き上がる言葉を口にした。
「うん……復讐したい。永井くん、手を貸してくれる?」
「いいですよ。でも、ただじゃいやです」
ただじゃいや。さすが、営業ナンバーワンともなれば、利益はきちんと出す、それが当たり前なのだろう。
「わかった。いくらほしいの?」
「金じゃなくて」
そういいながら、永井くんにすっと顎をすくわれて唇が重なる寸前まで美麗な顔が近づいてきた。
あまりのことに動けずにいると、ものすごく近くで唇が動く。「藤原さんが欲しいです」
「わ、私……?」
「復讐が終わるまで、サブスクで」
サブスクって何? と首を傾げる。
永井くんはプッと笑いながら少し離れて、私の喉元にとんっと人差し指を当てた。
「藤原さんの躰、復讐が終わるまで堪能させてください」
「躰?」
「はい、セックスするってことです」
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