迷宮の主

大秦頼太

文字の大きさ
上 下
57 / 96
迷宮の主

迷宮の主 14

しおりを挟む
14

「そこら辺りに落ちている黒い石には、シビトと俺以外は触れるなよ」
 ナサインは骸骨兵の倒れているところから石を拾い上げる。
「触るとどうなんだ?」
「病気になる」
 ネジフが拾いかけた手を止める。ナサインはネジフの側に落ちていた黒い石を拾い上げる。
「なりやすくなるが正解かな」
「これ何なんだよ」
「魔素だろ」
 ウイカがネジフに言うと、ネジフは目を丸くして反論する。
「わかってんだよ」
「何故、あなた方は平気なんですか?」
 モンテールがこわごわ近づいてくる。ネジフも大きくうなずいた。
「そうだよ」
 ナサインはシビトの手からも黒い石を受け取ると左手の中で燃える炎の中に全てを投げ入れた。
「俺は魔素使い。で、シビトは俺の従者。それだけさ」
 モンテールは独り言のように呟く。
「ですが、魔素使いなんて魔法使いよりもマイナーなもので、古い文献にしか出てきませんよ。まさか実在してるなんて」
「マイナーで悪かったな」
「あ、すみません。魔素の無いところでは子犬にも劣ると言われてますからね。そんな珍しい方と一緒になるなんて、奇跡ですな」
「一つも褒められてないな。フフフ」
 甲高い声でシビトが笑う。
「魔素って何なんだよ。教えてくれてもいいだろ?」
 ウイカの問いに一瞥投げてナサインはシビトの背を叩く。するとシビトは一向に指示を出すのだった。
「もう少し進もう。ゆっくりと話をしてるとまた出てくるからな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

完結 幽閉された王女

音爽(ネソウ)
ファンタジー
愛らしく育った王女には秘密があった。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...