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後編
しおりを挟むいえのなかからねずみたちがいなくなると
おじいさんはなんだかさびしいきもちになりました。
「いつまでもかなしんでいられないな」
おじいさんはたちあがり
これからのことをかんがえました。
「そうだ。ねずみのえくささいずを
ほかのひとにもおしえてやろう」
こぶとりじいさんがやせたはなしをきいて
いろんなところからいろんなひとがやってきました。
ねずみのえくささいずは
だいにんきとなり、
こぶとりだったおじいさんは
たくさんのおれいをうけとって
おおがねもちになりました。
こぶとりだったおじいさんは
たのしくなって
まいにちおまつりをして
ぼういんぼうしょくのかぎりをつくしました。
そうして、ついに
こぶとりじいさんに
ぎゃくもどりしてしまったのです。
こぶとりじいさんも
ついにねずみたちのいう
ぜいたくびょうにかかってしまったのでした。
こぶとりになったこぶとりじいさんをみて
ねずみのえくささいずをするひとは
どんどんへって
ついにはひとりもいなくなりました。
こぶとりじいさんは
おやしきをおいだされ
まえのいえよりうんとちいさないえに
すむようになりました。
こぶとりじいさんは
まずしくなっても
はたらくきはありませんでした。
「ねずみのえくささいずが
またにんきになれば
すぐおかねもちになれるさ」
「だからへいきへいき」
あるばん、こぶとりじいさんのまえに
あのねずみがあらわれました。
「こんばんはおじいさん。
ごぶさたしておりまちゅう」
「やあ、ねずみじゃないか。
どうしたんだい?」
「ひとづてに、いえ、ねずみづてに
おじいさんがぜいたくびょうになったと
ききまうすたので
そのおみまいとおわびにやってまいりまうすた」
「おわびなんてめんどうくさい。
おみまいだって
きにしなくていいんだよ。
こうやってねていれば
またえくささいずが
にんきになるひがまたくるんだから」
「じつはそのけんでもちゅうともんだいがございまうす。
おじいさんはぼくらのものをかってにつかわれまうすた。
これにねずみのとのさまがたいへんおいかりになり、
こぶとりじいさんをたべてしまえというのでございまうす」
「なんだって!
わしをたべるだって!」
「はい。
いきたままむしゃむしゃと」
「どうしてそんなおそろしいことをするだんだい?
おねがいだ。ごしょうだからたすけておくれ」
「はい。ぼくもそのつもりで
ひとあしさきにやってきまうすた。
むだんしようのおそろしさをしって
こころをあらためるのであれば、
おたすけしようとおもいまうす」
「わかった。わるかった。あやまる。もうしわけなかった。
いのちだけはたすけておくれ。なんでもするから」
「ねずみのおとのさまのおことばでございまうす。
われらもねずみのえくささいずをひとのよにひろめたい。
こぶとりじいさんと、らいせんすけいやくをむすび、
これをいっそうひろめるように。と」
「らいせんすけいやく? それはいったい?」
「やくそくのことです。おじいさん。
ねずみのはなしはさいごまできいてください」
「こぶとりじいさんはねずみのくにに
うけとったおれいのさんぶんのにをしはらうように」
「わかったわかった。
やくそくするよ」
「よかった。やくそくがまもられるよう
ぼくがおめつけやくをめいじられておりまうすた」
「それではあしたから
さっそくはじめまうす」
こうしてこぶとりじいさんは
ねずみといっしょに
ねずみのえくささいずを
ひとのよにひろめることとなりました。
うまくいくかどうかは
こぶとりじいさんの
がんばりしだいでございまうす~。
おしまい。
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