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第十場
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●第十場● 村の風景3 真夜中
悪魔がやって来る。
悪魔 妖精の奴め、どうやらこんな所に隠れているらしいな。もう逃げるのをやめた
みたいだな。とうとう観念をしたのかな? そりゃあそうだ。この俺様からいつ
までも逃げられると思っていたら大間違いなんだからな。フヒヒヒヒ。
ミミズクが飛んでくる。
悪魔 どうだ? いたか?
ミミズク 見つけたよ。
悪魔 よしよし、どこだ。案内しろ。
ミミズク あそこに見える家だよ。妖精はあそこに隠れているみたいだ。
悪魔 お前は外を見張ってくれ!
ミミズク 誰か来るの?
悪魔 そうじゃない。妖精が家の中から逃げ出したら捕まえるんだよ。
ミミズク わかった。
悪魔とミミズク、駆け去る。
暗転。
※お爺さんの家1 夜
すぐに家の中。
舞台後方の扉から悪魔が忍び込んでくる。
悪魔 憎い妖精め。どこにいる? 隠れても無駄だぞ。フヒヒヒヒヒ。
♪でーてこいこい でーてこいこい
でーてこいこい でてこいこい
でーてこいこい でてこいこい
と適当に踊っているとマーゴが起きて来て一緒の踊る。寝ぼけている感じ。
マーゴ だあれ?
悪魔 俺様は悪魔だ。お前こそだあれ?
マーゴ 私はマーゴよ。この家のお爺ちゃんの孫よ。
悪魔 孫のマーゴだと? ふざけた名前だなぁ。大体、みんなそう思ってるんだ。お
前は妖精じゃないんだな?
マーゴ そうよ。
悪魔 あっそう。子どもが起きてる時間じゃないよ。寝なさーい。
マーゴ はーい。
マーゴが去っていく。
悪魔 残念! 聞き分けの悪い子だったら連れて帰って地獄の番犬の餌にしても良か
ったのに。逆に聞き分けのいい子なんか食わせたら、地獄の番犬のお腹が壊れち
まう。さて、次だ。
ミミズクが入り口から顔を覗かせる。
ミミズク ねえ。
びっくりする悪魔。
悪魔 外で見張ってろって言っただろ。悪魔をびびらせるんじゃないよ。まったく。
ミミズク 見張ってるだけでいいの?
悪魔 いいの!
ミミズク顔を引っ込める。
悪魔 さて、次こそあの小憎らしい妖精をおびき寄せてやる。
♪でーてこいこい でーてこいこい
でーてこいこい でてこいこい
でーてこいこい でてこいこい
と適当に踊っているとビッキーが出て来て一緒に踊る。やはり寝ぼけている感じ。
ビッキー 誰かいるの?
悪魔 俺様は悪魔だ。お前こそ誰だ?
ビッキー 私はビッキーよ。人形で、妖精さんのおかげで動けるようになったのよ。
悪魔 妖精だと? ついに見つけたぞ! 妖精め!
ビッキー 私はビッキーよ。妖精じゃないわ。
悪魔 寝ぼけながら悪魔に嘘をつくなんて、なんて悪い奴だ。そこに座れ。何か縛る
ものは無いかな? 無いな。お、尻尾で良いか。
悪魔、自分の尻尾を引き抜いて椅子にビッキーを縛り付ける。
悪魔 よし、起きろ。
悪魔が手を叩くとビッキー目を覚ます。
ビッキー なにこれ? あなた誰よ?
悪魔 ミミズク! 来い! 俺様は悪魔だ。忘れたとは言わせないぞ?
ミミズク、顔を覗かせる。
ビッキー ミミズクなの? 悪魔なの? どっち?
悪魔 俺様は悪魔だ。ミミズクはこいつだ。
ミミズク 見張ってなくていいの?
悪魔 いい。妖精を見つけた。
ミミズク やったぁ! じゃあ、早くご飯を食べに行こうぜ。
悪魔 待て待て、物事には順序って言うものがある。まずはこいつだ。
ミミズク どうする? ペンキでもかける?
悪魔 それはこれから考える。こんなにあっさり捕まえられると思っていなかったか
らな。ちょっと驚いているんだ。フヒヒヒヒ。
ビッキー ペンキをかけるってどういうことよ?
悪魔 忘れたとは言わせないぞ? お前は、この俺様に白ペンキをかけただろう?
半分白くなったせいで俺様は半分良い悪魔になってしまったんだ。
ビッキー 私じゃない。(思い出す)それは妖精よ。そう言っていたのを思い出したわ。
悪魔 だからお前だろ。
ビッキー 私をよく見なさいよ。
悪魔 暗くてよく見えない。
ビッキー 明かりをつければいいじゃない。
悪魔 明るいのは苦手なんだよ。
ビッキー じゃあ、何で私が妖精だって言うのよ。
悪魔 それはアレだ。勘だ。悪魔の勘。何となくっていう奴だ。何となくお前に違い
ない。
ビッキー 私は妖精にお薬を飲ませてもらっただけよ。本当に妖精じゃないわ。ほら、そ
の証拠に体は木よ。
悪魔 …………本当に? (ビッキーの腕に触る)本当だ木だ。
ビッキー ね。
悪魔、悔しがる。
悪魔 またやられた! もう何度目だよ! 俺様、何でこんなに騙されやすいんだろ
うか。おい、帰るぞ。
ミミズク え? ご飯は?
悪魔 無しだ。
ミミズク えー。
悪魔 後で何か食わせてやるから。
ミミズク ねー、もうやめたほうがいいんじゃないの?
悪魔 ダメだ。とにかく仕返しをするか、うんと悪いことをして帰らないと仲間に笑
われる。でも、いい考えが思い浮かばないんだよなぁ。悪いことを考えてるとさ、
同時に良いことも考えちゃって、何したらいいのか分からなくなるんだよね。あ
あ、ダメだ。なんか気持ちが悪くなってきた。
ミミズク 前から思ったんだけどさ。白ペンキをかけられたなら、黒い服に着替えてくれ
ばいいじゃないの?
間。
悪魔 それだ! どうして気がつかなかったんだろう。よし、町に行って黒い服を買
って来よう。
ミミズク 盗むとか言わないところが悪魔っぽくないんだよねぇ。
悪魔 盗むだって? そんな悪いことができるかよ!
悪魔とミミズク、去っていく。悪魔だけが戻ってくる。
ビッキー なによ。
悪魔 尻尾を忘れた。
ビッキーから尻尾を回収するところで暗転。
悪魔がやって来る。
悪魔 妖精の奴め、どうやらこんな所に隠れているらしいな。もう逃げるのをやめた
みたいだな。とうとう観念をしたのかな? そりゃあそうだ。この俺様からいつ
までも逃げられると思っていたら大間違いなんだからな。フヒヒヒヒ。
ミミズクが飛んでくる。
悪魔 どうだ? いたか?
ミミズク 見つけたよ。
悪魔 よしよし、どこだ。案内しろ。
ミミズク あそこに見える家だよ。妖精はあそこに隠れているみたいだ。
悪魔 お前は外を見張ってくれ!
ミミズク 誰か来るの?
悪魔 そうじゃない。妖精が家の中から逃げ出したら捕まえるんだよ。
ミミズク わかった。
悪魔とミミズク、駆け去る。
暗転。
※お爺さんの家1 夜
すぐに家の中。
舞台後方の扉から悪魔が忍び込んでくる。
悪魔 憎い妖精め。どこにいる? 隠れても無駄だぞ。フヒヒヒヒヒ。
♪でーてこいこい でーてこいこい
でーてこいこい でてこいこい
でーてこいこい でてこいこい
と適当に踊っているとマーゴが起きて来て一緒の踊る。寝ぼけている感じ。
マーゴ だあれ?
悪魔 俺様は悪魔だ。お前こそだあれ?
マーゴ 私はマーゴよ。この家のお爺ちゃんの孫よ。
悪魔 孫のマーゴだと? ふざけた名前だなぁ。大体、みんなそう思ってるんだ。お
前は妖精じゃないんだな?
マーゴ そうよ。
悪魔 あっそう。子どもが起きてる時間じゃないよ。寝なさーい。
マーゴ はーい。
マーゴが去っていく。
悪魔 残念! 聞き分けの悪い子だったら連れて帰って地獄の番犬の餌にしても良か
ったのに。逆に聞き分けのいい子なんか食わせたら、地獄の番犬のお腹が壊れち
まう。さて、次だ。
ミミズクが入り口から顔を覗かせる。
ミミズク ねえ。
びっくりする悪魔。
悪魔 外で見張ってろって言っただろ。悪魔をびびらせるんじゃないよ。まったく。
ミミズク 見張ってるだけでいいの?
悪魔 いいの!
ミミズク顔を引っ込める。
悪魔 さて、次こそあの小憎らしい妖精をおびき寄せてやる。
♪でーてこいこい でーてこいこい
でーてこいこい でてこいこい
でーてこいこい でてこいこい
と適当に踊っているとビッキーが出て来て一緒に踊る。やはり寝ぼけている感じ。
ビッキー 誰かいるの?
悪魔 俺様は悪魔だ。お前こそ誰だ?
ビッキー 私はビッキーよ。人形で、妖精さんのおかげで動けるようになったのよ。
悪魔 妖精だと? ついに見つけたぞ! 妖精め!
ビッキー 私はビッキーよ。妖精じゃないわ。
悪魔 寝ぼけながら悪魔に嘘をつくなんて、なんて悪い奴だ。そこに座れ。何か縛る
ものは無いかな? 無いな。お、尻尾で良いか。
悪魔、自分の尻尾を引き抜いて椅子にビッキーを縛り付ける。
悪魔 よし、起きろ。
悪魔が手を叩くとビッキー目を覚ます。
ビッキー なにこれ? あなた誰よ?
悪魔 ミミズク! 来い! 俺様は悪魔だ。忘れたとは言わせないぞ?
ミミズク、顔を覗かせる。
ビッキー ミミズクなの? 悪魔なの? どっち?
悪魔 俺様は悪魔だ。ミミズクはこいつだ。
ミミズク 見張ってなくていいの?
悪魔 いい。妖精を見つけた。
ミミズク やったぁ! じゃあ、早くご飯を食べに行こうぜ。
悪魔 待て待て、物事には順序って言うものがある。まずはこいつだ。
ミミズク どうする? ペンキでもかける?
悪魔 それはこれから考える。こんなにあっさり捕まえられると思っていなかったか
らな。ちょっと驚いているんだ。フヒヒヒヒ。
ビッキー ペンキをかけるってどういうことよ?
悪魔 忘れたとは言わせないぞ? お前は、この俺様に白ペンキをかけただろう?
半分白くなったせいで俺様は半分良い悪魔になってしまったんだ。
ビッキー 私じゃない。(思い出す)それは妖精よ。そう言っていたのを思い出したわ。
悪魔 だからお前だろ。
ビッキー 私をよく見なさいよ。
悪魔 暗くてよく見えない。
ビッキー 明かりをつければいいじゃない。
悪魔 明るいのは苦手なんだよ。
ビッキー じゃあ、何で私が妖精だって言うのよ。
悪魔 それはアレだ。勘だ。悪魔の勘。何となくっていう奴だ。何となくお前に違い
ない。
ビッキー 私は妖精にお薬を飲ませてもらっただけよ。本当に妖精じゃないわ。ほら、そ
の証拠に体は木よ。
悪魔 …………本当に? (ビッキーの腕に触る)本当だ木だ。
ビッキー ね。
悪魔、悔しがる。
悪魔 またやられた! もう何度目だよ! 俺様、何でこんなに騙されやすいんだろ
うか。おい、帰るぞ。
ミミズク え? ご飯は?
悪魔 無しだ。
ミミズク えー。
悪魔 後で何か食わせてやるから。
ミミズク ねー、もうやめたほうがいいんじゃないの?
悪魔 ダメだ。とにかく仕返しをするか、うんと悪いことをして帰らないと仲間に笑
われる。でも、いい考えが思い浮かばないんだよなぁ。悪いことを考えてるとさ、
同時に良いことも考えちゃって、何したらいいのか分からなくなるんだよね。あ
あ、ダメだ。なんか気持ちが悪くなってきた。
ミミズク 前から思ったんだけどさ。白ペンキをかけられたなら、黒い服に着替えてくれ
ばいいじゃないの?
間。
悪魔 それだ! どうして気がつかなかったんだろう。よし、町に行って黒い服を買
って来よう。
ミミズク 盗むとか言わないところが悪魔っぽくないんだよねぇ。
悪魔 盗むだって? そんな悪いことができるかよ!
悪魔とミミズク、去っていく。悪魔だけが戻ってくる。
ビッキー なによ。
悪魔 尻尾を忘れた。
ビッキーから尻尾を回収するところで暗転。
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