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第4章 更なる戦い
第316話 彩木穂乃果47
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「あの・・・皆さんにお聞きしたいことがあるのですが・・・」
先ほどまで、シングルベッドの上で膝を抱えてうずくまっていた穂乃果が、ひそひそ囁き合っているアエローたちに尋ねてきた。
「・・・どうした?」
「その刑務所の中に・・・小川明子という子はいますか?」
「・・・小川明子?」
穂乃果の想い人である小川明子ー今まで長い間探し回ってきたが、ついに今日に至るまで再会することはなかった。何とか彼女と再会したいと願っていた穂乃果は、一縷の望みに賭けて、もしかしたらアエローたちの刑務所の中に既に収容されているのではないかと思い、尋ねたのだ。
「なあ、オキュペテー、ケライノー、小川明子って名前に心当たりはあるか?」
「あたしは知らないな・・・少なくとも、あたしが担当している部屋にはそういう名前の囚人はいなかったと思うぞ」
「あたしの方もいないな・・・刑務所周辺でうろついていたやつらなら、ほとんどぶち込んだと思うけど」
3人の反応はあまり芳しいものではなかった。
「でもまあ、他の看守たちが担当している部屋に、もしかしたらいるのかもしれないけどな・・・それを確認したいのなら、うちらのアジトまで来るしかないぞ」
穂乃果は少し逡巡してから、静かに頷いた。
ーもし、明子がいるのなら絶対会いたいー
荒木頼子にさんざん犯され、その後自分でもよくわからない力に目覚めて、彼女を殺害した。今日1日の出来事を思い出すだけで、気が変になりそうだった。
やはり、彼女の傍にいたいー
「まあ、今から刑務所に帰るのはさすがに無理だからな・・・出発は明日にしよう」
穂乃果は気が付いていなかったが、既に外は真っ暗だった。
ふと、寝台に設置されている時計を見る。時刻は既に夜の9時だった。
「私・・・結構眠っていたのね」
何時間も眠っていたようだった。それでも心身はすり減ったままだ。休んだはずなのに、疲労感はそのままである。
「そうだな・・・5時間くらいは寝てただろう・・・まあ、寝てたというよりも気を失っていたというのが正しいけどな」
「今日はもう疲れたろ・・・明日、連れてってやるから、今日はとりあえずこのまま眠りな。お姫様」
オキュペテーがからかい気味に言う。
「おいおい、今目を覚ましたばっかだぜ、このお姫様は・・・すぐには寝られんだろう」
ケライノーの言うとおりである。確かに、疲労感はまだあるのだが、ついさっきまで眠っていたというのに、またすぐに寝ろと言われてそう簡単には眠れない。
「しばらくは、あたしらと夜のお付き合いでもしようか?」
ケライノーがニヤケ面を浮かべながら、穂乃果の顔を覗き込んできた。
先ほどまで、シングルベッドの上で膝を抱えてうずくまっていた穂乃果が、ひそひそ囁き合っているアエローたちに尋ねてきた。
「・・・どうした?」
「その刑務所の中に・・・小川明子という子はいますか?」
「・・・小川明子?」
穂乃果の想い人である小川明子ー今まで長い間探し回ってきたが、ついに今日に至るまで再会することはなかった。何とか彼女と再会したいと願っていた穂乃果は、一縷の望みに賭けて、もしかしたらアエローたちの刑務所の中に既に収容されているのではないかと思い、尋ねたのだ。
「なあ、オキュペテー、ケライノー、小川明子って名前に心当たりはあるか?」
「あたしは知らないな・・・少なくとも、あたしが担当している部屋にはそういう名前の囚人はいなかったと思うぞ」
「あたしの方もいないな・・・刑務所周辺でうろついていたやつらなら、ほとんどぶち込んだと思うけど」
3人の反応はあまり芳しいものではなかった。
「でもまあ、他の看守たちが担当している部屋に、もしかしたらいるのかもしれないけどな・・・それを確認したいのなら、うちらのアジトまで来るしかないぞ」
穂乃果は少し逡巡してから、静かに頷いた。
ーもし、明子がいるのなら絶対会いたいー
荒木頼子にさんざん犯され、その後自分でもよくわからない力に目覚めて、彼女を殺害した。今日1日の出来事を思い出すだけで、気が変になりそうだった。
やはり、彼女の傍にいたいー
「まあ、今から刑務所に帰るのはさすがに無理だからな・・・出発は明日にしよう」
穂乃果は気が付いていなかったが、既に外は真っ暗だった。
ふと、寝台に設置されている時計を見る。時刻は既に夜の9時だった。
「私・・・結構眠っていたのね」
何時間も眠っていたようだった。それでも心身はすり減ったままだ。休んだはずなのに、疲労感はそのままである。
「そうだな・・・5時間くらいは寝てただろう・・・まあ、寝てたというよりも気を失っていたというのが正しいけどな」
「今日はもう疲れたろ・・・明日、連れてってやるから、今日はとりあえずこのまま眠りな。お姫様」
オキュペテーがからかい気味に言う。
「おいおい、今目を覚ましたばっかだぜ、このお姫様は・・・すぐには寝られんだろう」
ケライノーの言うとおりである。確かに、疲労感はまだあるのだが、ついさっきまで眠っていたというのに、またすぐに寝ろと言われてそう簡単には眠れない。
「しばらくは、あたしらと夜のお付き合いでもしようか?」
ケライノーがニヤケ面を浮かべながら、穂乃果の顔を覗き込んできた。
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