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日向荘にて(第9話)
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早苗が小走りに、日向荘の中へと走っていくー。
「早苗さんは魔法生物だって言ってたけど・・・?」
一言に魔法生物と言ってもいろいろな種類がある。動物型や植物型、はてはどう見ても鉱物に命が宿ったようにしか見えない無生物型も存在するのだ。
「猫さんは・・・確か益蟲さんよね」
ミケさんはその外見から間違われやすいのだが、魔法生物ではなく益蟲である・・・ただし、周囲にご利益をもたらしているのかどうかは、これまた別問題ではあるのだが。
早苗を待つ間、杏里があれこれと思案していると・・・。
「お待たせ~、杏里ちゃん」
あいかわらずの間延びした口調の早苗が、背後に何かを引きずりながら戻ってきた。
「早苗さん・・・ええと、もしかして・・・」
早苗の背後から覗く「ソレ」を見て、少し困ったような笑みを浮かべながら、杏里が尋ねてきた。
「そう、こちらがその魔法生物のニャンドラゴラさんです!!」
早苗が背後に引きずってきたのは、かつて早苗自身の手によって地下深くに封印された存在ーあの「毒舌ニャンドラゴラ」であったー。
ーー
「・・・お姉さん、もう勘弁してください・・・二度とお姉さんの悪口は言いませんから・・・」
どうやら、この毒舌ニャンドラゴラは、かつて早苗の手によって地下深くに埋められた恐怖が忘れられないようだった。かつての毒舌ぶりはもはやなく、見ている杏里が哀れさを思えるくらいに怯え切っている・・・。
「ええと、早苗さん?なんだかこの子、ものすごく怯えているように見えるんですけど・・・?」
やはり、困ったような笑みを浮かべながら尋ねる杏里。だが、当の早苗は一向に気にした様子もなく、
「ああ、大丈夫だよ杏里ちゃん。気にせずに遠慮なくやっちゃっていいからね」
にっこりと笑みを浮かべてニャンドラゴラを杏里の前に突きつける早苗ー哀れなニャンドラゴラ自身は、
「ひぃぃぃ~」
先ほどから悲鳴を上げているだけでもはや逃げ出す気力さえないようである・・・。
「ええと、と、とりあえず、よろしくお願いしますね、ニャンドラゴラさん・・・?」
「ひぃぃぃ~」
杏里が優し気に声をかけても、ただ怯えるだけのニャンドラゴラー。
いったい彼の身に何が起きたのか、杏里にはそれを知る由もなかったー。
「早苗さんは魔法生物だって言ってたけど・・・?」
一言に魔法生物と言ってもいろいろな種類がある。動物型や植物型、はてはどう見ても鉱物に命が宿ったようにしか見えない無生物型も存在するのだ。
「猫さんは・・・確か益蟲さんよね」
ミケさんはその外見から間違われやすいのだが、魔法生物ではなく益蟲である・・・ただし、周囲にご利益をもたらしているのかどうかは、これまた別問題ではあるのだが。
早苗を待つ間、杏里があれこれと思案していると・・・。
「お待たせ~、杏里ちゃん」
あいかわらずの間延びした口調の早苗が、背後に何かを引きずりながら戻ってきた。
「早苗さん・・・ええと、もしかして・・・」
早苗の背後から覗く「ソレ」を見て、少し困ったような笑みを浮かべながら、杏里が尋ねてきた。
「そう、こちらがその魔法生物のニャンドラゴラさんです!!」
早苗が背後に引きずってきたのは、かつて早苗自身の手によって地下深くに封印された存在ーあの「毒舌ニャンドラゴラ」であったー。
ーー
「・・・お姉さん、もう勘弁してください・・・二度とお姉さんの悪口は言いませんから・・・」
どうやら、この毒舌ニャンドラゴラは、かつて早苗の手によって地下深くに埋められた恐怖が忘れられないようだった。かつての毒舌ぶりはもはやなく、見ている杏里が哀れさを思えるくらいに怯え切っている・・・。
「ええと、早苗さん?なんだかこの子、ものすごく怯えているように見えるんですけど・・・?」
やはり、困ったような笑みを浮かべながら尋ねる杏里。だが、当の早苗は一向に気にした様子もなく、
「ああ、大丈夫だよ杏里ちゃん。気にせずに遠慮なくやっちゃっていいからね」
にっこりと笑みを浮かべてニャンドラゴラを杏里の前に突きつける早苗ー哀れなニャンドラゴラ自身は、
「ひぃぃぃ~」
先ほどから悲鳴を上げているだけでもはや逃げ出す気力さえないようである・・・。
「ええと、と、とりあえず、よろしくお願いしますね、ニャンドラゴラさん・・・?」
「ひぃぃぃ~」
杏里が優し気に声をかけても、ただ怯えるだけのニャンドラゴラー。
いったい彼の身に何が起きたのか、杏里にはそれを知る由もなかったー。
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