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日向荘にて(第5話)
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自分の先輩たちの仇である紫の飛空鎧ー。
やつを倒すには、これしきの事で立ち止まっていられないー。
「晶、さっきのやつでいいよ、その技を乗り越えたい」
「・・・なんだと?」
カイトからの申し出に、晶が怪訝そうな表情を浮かべる。
「そうはいっても、お前さん・・・まだ訓練は始まったばかりだし、順を追ってやった方がいいんじゃないか」
瘴気をコントロールするのは、本来であれば邪術師等が行う術である。もちろん、晶は邪術師ではないが、本来人が扱うのが困難な瘴気を戦闘可能レベルまで操作するというのは、それだけで晶が相応の実力者である証ともいえるのだ。
そして、それだけ困難な技を乗り越えるということは、生半可なことではないということもまた自明の理であった。
「今回は、まあ試しに見せたけどな・・・瘴気をかいくぐりながら戦うってのは、かなり上級の連中の芸当なんだぜ」
「それは、見てればわかるよ」
「ほう」
カイトの言葉を受け、晶の瞳が細められた。その双眸に鋭い輝きが宿ったかに見える。
「だけども、僕はいずれはそれを乗り越えなくてはならない・・・だからこそ、晶も敢えてそれを見せたんだろ?」
「・・・まあ、確かにな」
紫の飛空鎧は、空の世界では最強とも噂されている存在だ。当然、その乗り手もそれ相応の実力を誇っているとみるべきだろう。そんな奴をこれから相手にしようというのだ、カイトは。
「当然、その時期は早い方がいいと思う・・・なら、ある程度は無理も必要なんじゃないか」
「ある程度・・・ね」
晶は、カイトの言葉に軽く頷きながら、
「まあ、確かにお前さんには戦いの心得もあるようだし、まあ基本的な過程はこの際飛ばしてもいいが・・・」
晶は、魔笛剣の刀身に、再び瘴気をまとわりつかせ始めた。
「ただ、これをやる以上は、訓練と言っても相当の覚悟は必要だぜ・・・当たり前だが、半殺し状態になったとしても文句は言えない・・・加減が難しいからな、この技は」
晶の言葉を聞いても、カイトは力強く頷くだけでひるんだ様子は見せなかった。
カイトの覚悟は、かなり固いようだったー。
やつを倒すには、これしきの事で立ち止まっていられないー。
「晶、さっきのやつでいいよ、その技を乗り越えたい」
「・・・なんだと?」
カイトからの申し出に、晶が怪訝そうな表情を浮かべる。
「そうはいっても、お前さん・・・まだ訓練は始まったばかりだし、順を追ってやった方がいいんじゃないか」
瘴気をコントロールするのは、本来であれば邪術師等が行う術である。もちろん、晶は邪術師ではないが、本来人が扱うのが困難な瘴気を戦闘可能レベルまで操作するというのは、それだけで晶が相応の実力者である証ともいえるのだ。
そして、それだけ困難な技を乗り越えるということは、生半可なことではないということもまた自明の理であった。
「今回は、まあ試しに見せたけどな・・・瘴気をかいくぐりながら戦うってのは、かなり上級の連中の芸当なんだぜ」
「それは、見てればわかるよ」
「ほう」
カイトの言葉を受け、晶の瞳が細められた。その双眸に鋭い輝きが宿ったかに見える。
「だけども、僕はいずれはそれを乗り越えなくてはならない・・・だからこそ、晶も敢えてそれを見せたんだろ?」
「・・・まあ、確かにな」
紫の飛空鎧は、空の世界では最強とも噂されている存在だ。当然、その乗り手もそれ相応の実力を誇っているとみるべきだろう。そんな奴をこれから相手にしようというのだ、カイトは。
「当然、その時期は早い方がいいと思う・・・なら、ある程度は無理も必要なんじゃないか」
「ある程度・・・ね」
晶は、カイトの言葉に軽く頷きながら、
「まあ、確かにお前さんには戦いの心得もあるようだし、まあ基本的な過程はこの際飛ばしてもいいが・・・」
晶は、魔笛剣の刀身に、再び瘴気をまとわりつかせ始めた。
「ただ、これをやる以上は、訓練と言っても相当の覚悟は必要だぜ・・・当たり前だが、半殺し状態になったとしても文句は言えない・・・加減が難しいからな、この技は」
晶の言葉を聞いても、カイトは力強く頷くだけでひるんだ様子は見せなかった。
カイトの覚悟は、かなり固いようだったー。
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