365 / 464
我ら悠久王国なり(第6話)
しおりを挟む
「みんな、揃ったみたいだな・・・」
大広間に現れた面々を確認する来栖ー。
ここに集まった者達は、悠久王国の中でも選りすぐりの戦士たちだ。ただ、中にはその人格が災いして、普通の国家では正規軍にいることができない者も含まれている。
「今、司も来るはずだ。しばし待て」
自身の主との顔合わせも久しぶりという面々も多い。もっとも、主とは言っても普通の王国のような上下関係が明確にあるというわけでもなかった。
ーその時。
「おお、司様だ」
「今日も相変わらずお美しい」
「あれれ、司さん、今日は女バージョンなのかよ・・・」
大広間に集まった面々が、目の前に現れた司の姿を見てそれぞれに感嘆の声を上げる。ただ、ユリウスだけは、司が男の姿で現れなかったことが不満だったらしく、多少むくれていた。その隣で、イザベラがうっとりとした表情でドレス姿の司を見つめている。
「やあ、みんな、楽にしてていいよ」
片手を上げ、集まった面々に親し気に声をかける司。その隣に、来栖が立つ。
「君たち、今日も全員揃っているね・・・喜ばしいことだよ、本当に」
緊急招集に応じ、全員がこの場にいることに満足する司。
「まあ、数十年ぶりだったからな・・・こうして集まるというのも」
そんな司の姿を見て、感慨深げに呟く来栖だった。
「感動の再会・・・はこのくらいにしておこうか。そろそろ本題に入ろう、来栖、いつも通り説明をお願いするよ」
「やれやれ・・・」
司にお願いされ、来栖はこれからのことを説明し始める。
「惑星Σ-11にて、我々が長年探し求めていた蟲生みの魔女となる可能性がある娘を発見した」
この話は、昨日イザベラだけが司の隣で耳にしていた。
「だが、この娘は転送魔法陣により現在姿を消している・・・おそらくは、どこかへ転移されたと思われる。そこでー」
来栖は一旦話を区切ると、全員の目の前に、惑星Σ-11とそこに内包された浮遊大陸のマップを投影した。
「この転送魔法陣を使ったと目される者をまずは捕える。そいつもおそらくは魔女だ」
転送魔法陣を使いこなせるものはそう多くはない。かなりの魔術的センスがなければ不可能だからだ。
「おそらくは、大樹に住む魔女と思われるが、確証はない・・・まずはこの魔女を補足し、転送先を吐かせる。蟲生みを確保し、我らのものとするのだ」
投影された浮遊大陸のマップの西側エリアに、一つ輝点がある。
「おそらく、この辺りで転送魔法陣が使用されたものだと思われる・・・なお、魔女は尋問する必要があるので、あまり痛めつけないようにして連れてくるのだー以上」
「来栖殿、たかが魔女一人であれば、我ら全員が出向かずとも、某一人でも十分なのでは?」
武者鎧姿の大男が問いかけてきた。
「そうだな・・・たかが魔女一人ならば、お前たち全員でやる必要もない・・・が」
武者鎧の問いかけに、来栖がしばし思案してから答えた。
「どうも、あの大陸にはそれ以外の者も多数入り込んでいるようでな・・・我らの敵も多い」
なぜか、あの大陸には複数の勢力が入り込んでいるようだった。要は「たかが魔女一人」だけとは言えなくなって生きているのだ。
「そのようなことから、お前たちにはこの魔女の捜索の他に、他勢力が何を目的で活動しているのか、見極めてきてもらいたいというのもある」
来栖の話の後を司が続けた。
「久しぶりに戦争ごっこができるんだ・・・楽しみだろう、君たち?」
その言葉に、大広間に集まった全員が色めきだったー。
大広間に現れた面々を確認する来栖ー。
ここに集まった者達は、悠久王国の中でも選りすぐりの戦士たちだ。ただ、中にはその人格が災いして、普通の国家では正規軍にいることができない者も含まれている。
「今、司も来るはずだ。しばし待て」
自身の主との顔合わせも久しぶりという面々も多い。もっとも、主とは言っても普通の王国のような上下関係が明確にあるというわけでもなかった。
ーその時。
「おお、司様だ」
「今日も相変わらずお美しい」
「あれれ、司さん、今日は女バージョンなのかよ・・・」
大広間に集まった面々が、目の前に現れた司の姿を見てそれぞれに感嘆の声を上げる。ただ、ユリウスだけは、司が男の姿で現れなかったことが不満だったらしく、多少むくれていた。その隣で、イザベラがうっとりとした表情でドレス姿の司を見つめている。
「やあ、みんな、楽にしてていいよ」
片手を上げ、集まった面々に親し気に声をかける司。その隣に、来栖が立つ。
「君たち、今日も全員揃っているね・・・喜ばしいことだよ、本当に」
緊急招集に応じ、全員がこの場にいることに満足する司。
「まあ、数十年ぶりだったからな・・・こうして集まるというのも」
そんな司の姿を見て、感慨深げに呟く来栖だった。
「感動の再会・・・はこのくらいにしておこうか。そろそろ本題に入ろう、来栖、いつも通り説明をお願いするよ」
「やれやれ・・・」
司にお願いされ、来栖はこれからのことを説明し始める。
「惑星Σ-11にて、我々が長年探し求めていた蟲生みの魔女となる可能性がある娘を発見した」
この話は、昨日イザベラだけが司の隣で耳にしていた。
「だが、この娘は転送魔法陣により現在姿を消している・・・おそらくは、どこかへ転移されたと思われる。そこでー」
来栖は一旦話を区切ると、全員の目の前に、惑星Σ-11とそこに内包された浮遊大陸のマップを投影した。
「この転送魔法陣を使ったと目される者をまずは捕える。そいつもおそらくは魔女だ」
転送魔法陣を使いこなせるものはそう多くはない。かなりの魔術的センスがなければ不可能だからだ。
「おそらくは、大樹に住む魔女と思われるが、確証はない・・・まずはこの魔女を補足し、転送先を吐かせる。蟲生みを確保し、我らのものとするのだ」
投影された浮遊大陸のマップの西側エリアに、一つ輝点がある。
「おそらく、この辺りで転送魔法陣が使用されたものだと思われる・・・なお、魔女は尋問する必要があるので、あまり痛めつけないようにして連れてくるのだー以上」
「来栖殿、たかが魔女一人であれば、我ら全員が出向かずとも、某一人でも十分なのでは?」
武者鎧姿の大男が問いかけてきた。
「そうだな・・・たかが魔女一人ならば、お前たち全員でやる必要もない・・・が」
武者鎧の問いかけに、来栖がしばし思案してから答えた。
「どうも、あの大陸にはそれ以外の者も多数入り込んでいるようでな・・・我らの敵も多い」
なぜか、あの大陸には複数の勢力が入り込んでいるようだった。要は「たかが魔女一人」だけとは言えなくなって生きているのだ。
「そのようなことから、お前たちにはこの魔女の捜索の他に、他勢力が何を目的で活動しているのか、見極めてきてもらいたいというのもある」
来栖の話の後を司が続けた。
「久しぶりに戦争ごっこができるんだ・・・楽しみだろう、君たち?」
その言葉に、大広間に集まった全員が色めきだったー。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です
岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」
私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。
しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。
しかも私を年増呼ばわり。
はあ?
あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!
などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。
その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる