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咲那・全裸の逃避行(第16話)
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咲那の逃避行は、まだまだ続くー。
「くそ、肝心の害蟲よりも、まさかマッパで苦しめられるとはな・・・」
普段男勝りな彼女も、やはり女性ーこんな恰好は誰にも見られたくはない。
「何とか、昼間食えるくらいのものは集めたが・・・あとはあいつらがここまで来るかどうかだな・・・」
問題の洞穴付近の木陰に身を隠し、周囲の様子を窺う咲那。
「それにしても・・・また下着が駄目になっちまうとは・・・」
森の中を逃げ回り、さらには食料となりうる木の実を取っている間に、再び胸部を覆う葉っぱが取れてしまったのだ。ゆえに、今は左腕で胸を隠しながら身を潜めている。
「今の状況じゃ、迂闊には動けないしな・・・さすがに胸丸出しなんてもんを人に見られたら、死ぬぞあたしゃ」
彼女にだって、人並みの羞恥心はあるのだ。
「薬師寺さーん!!いらっしゃいませんかー!!」
ほどなくして、近くまで男性たちの声が聞こえてきた。
「やばい、とうとうここまで来やがったか・・・」
さらに身を屈めつつ、いつでもすぐにその場を離れられるように準備はしておく。まず、あいつらがこの洞穴の中を調べるかどうか、その確認は必要だ。
多分、一度洞穴の内部まで調べれば、そう何度も同じ場所を探そうとはしないはず。そうすれば、しばらくの間ここを拠点として活用することができる。
「いませんね・・・」
「結構奥まで来たけど、彼女がいた形跡がないな・・・って、あれ?」
「どうしました?」
一人の男性が、近くにある洞穴に気が付いたようだ。それを見て、咲那は息を呑むと同時に、ほっとしてもいた。
危なかった・・・あのままあの中にいれば、最後には絶対見つかっていたはずだ。
「ここに洞穴が・・・もしかしたら、彼女がここにいる可能性もあるかもしれません」
「害蟲を倒した後、何らかの不測の事態で、一時的にこの中に避難したとか?」
「考えられますね・・・少し、中を覗いてみましょう」
男たちが洞穴の中を確認しに行く。それを見届けた咲那は、そっとその場を離れた。
ーー
「ふう~あぶねえあぶねえ」
相変わらず、胸を左腕で隠したまま、咲那は一息ついた。
「さほど大きな洞穴ではねえが、満遍なく探すにはそれなりに時間がかかるだろ・・・」
先ほどよりは少し離れた場所で(ただし、彼らの様子が確認できる場所で)様子を窺う。
「まあ、あいつらもこのまま一日中探し続けるってこともねえだろうから、後2~3時間くらいはじっと我慢の子ってところかな・・・」
頼む、さっさと諦めて帰ってくれ・・・明日の午前中にはそっちに報告しに行くからよ・・・。
いまだ、洞穴の中を探し回っている男たちに、心の中でそう呼びかける咲那であったー。
「くそ、肝心の害蟲よりも、まさかマッパで苦しめられるとはな・・・」
普段男勝りな彼女も、やはり女性ーこんな恰好は誰にも見られたくはない。
「何とか、昼間食えるくらいのものは集めたが・・・あとはあいつらがここまで来るかどうかだな・・・」
問題の洞穴付近の木陰に身を隠し、周囲の様子を窺う咲那。
「それにしても・・・また下着が駄目になっちまうとは・・・」
森の中を逃げ回り、さらには食料となりうる木の実を取っている間に、再び胸部を覆う葉っぱが取れてしまったのだ。ゆえに、今は左腕で胸を隠しながら身を潜めている。
「今の状況じゃ、迂闊には動けないしな・・・さすがに胸丸出しなんてもんを人に見られたら、死ぬぞあたしゃ」
彼女にだって、人並みの羞恥心はあるのだ。
「薬師寺さーん!!いらっしゃいませんかー!!」
ほどなくして、近くまで男性たちの声が聞こえてきた。
「やばい、とうとうここまで来やがったか・・・」
さらに身を屈めつつ、いつでもすぐにその場を離れられるように準備はしておく。まず、あいつらがこの洞穴の中を調べるかどうか、その確認は必要だ。
多分、一度洞穴の内部まで調べれば、そう何度も同じ場所を探そうとはしないはず。そうすれば、しばらくの間ここを拠点として活用することができる。
「いませんね・・・」
「結構奥まで来たけど、彼女がいた形跡がないな・・・って、あれ?」
「どうしました?」
一人の男性が、近くにある洞穴に気が付いたようだ。それを見て、咲那は息を呑むと同時に、ほっとしてもいた。
危なかった・・・あのままあの中にいれば、最後には絶対見つかっていたはずだ。
「ここに洞穴が・・・もしかしたら、彼女がここにいる可能性もあるかもしれません」
「害蟲を倒した後、何らかの不測の事態で、一時的にこの中に避難したとか?」
「考えられますね・・・少し、中を覗いてみましょう」
男たちが洞穴の中を確認しに行く。それを見届けた咲那は、そっとその場を離れた。
ーー
「ふう~あぶねえあぶねえ」
相変わらず、胸を左腕で隠したまま、咲那は一息ついた。
「さほど大きな洞穴ではねえが、満遍なく探すにはそれなりに時間がかかるだろ・・・」
先ほどよりは少し離れた場所で(ただし、彼らの様子が確認できる場所で)様子を窺う。
「まあ、あいつらもこのまま一日中探し続けるってこともねえだろうから、後2~3時間くらいはじっと我慢の子ってところかな・・・」
頼む、さっさと諦めて帰ってくれ・・・明日の午前中にはそっちに報告しに行くからよ・・・。
いまだ、洞穴の中を探し回っている男たちに、心の中でそう呼びかける咲那であったー。
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