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咲那・全裸の逃避行(第12話)

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 朝の腹ごしらえは、ひとまず終わったー。

 川で魚を取った後、近くの森に自生している木の実をいくつか頂戴し(もちろん、食べられるものなのか事前に生体端末で検索して調べておいた)、朝食は無事に済ませることができたー。

「あとは・・・まあやることと言ってもそんなにねえんだけどな・・・」

 せいぜい、昼と夜に魚を取りに行くのと、あとは焚火のための薪拾い、ついでに木の実の調達くらいしかやることはない。

 全くもって、原始人とほぼ似たような生活となるー。

「まあ、それも明日の午前中までだからな・・・」

 今日さえ無事に凌げれば、あとは鏡香と合流して服をゲット!その後は町へと戻り、今回の依頼の報酬を受け取りに行くことになるー。

「仕事分の稼ぎはもらわんとな・・・」

 いろいろな意味で、今回の仕事は「高くついた」と言えるが・・・。

 と、その時ー。

「鏡香からだ」

 再び、鏡香から生体端末に連絡が来た。

「咲那さん、おはようございます」

 鏡香の声だ。

「おう、こっちは何とかやってるよ」

 下着代わりの物も手に入れ、さらには無事に朝食も終えたので、いささか上機嫌で応える咲那。

「その様子だと、大丈夫そうですね」

 そんな咲那の声色から彼女の状態を察したのか、くすくすと笑いながら返事をする鏡香であった。

「こちらも、特に問題なくそちらに向かえると思います・・・明日の午前中の早い時間帯には行けると思いますので、それまでどうか頑張ってくださいね、咲那さん」

「おう、助かるぜ。わりいな鏡香。遠いところまで」

「いえいえ、これくらいお安い御用ですよ」

 その後も、二人の会話は続いた。他愛もない話題で盛り上がっていた二人だったが、ふと咲那がモリガンのことが気になったので、

「そういや、まだモリガンのやつとは連絡が取れねえんだよな・・・そっちもだろ?」

「ええ、私も・・・モリガンちゃんと話したいとは思っているのですが、本人と連絡がつかない状況ですね」

 どうやら、まだ鏡香とも音信不通の状態のようだ。

「・・・モリガンのやつのことだから、よほどのことがない限りは大丈夫だとは思うが・・・」

「私もそう思いますけど、ただ、彼女もまだ未成年ですし、やはり心配ではありますね」

 何か、不測の事態に陥っているのだろうか・・・。

「まあ、明日お前と合流したら、一緒に探しに行くとしようぜ。確か、惑星Σ-11の浮遊大陸だったか?」

「そうですね、そこで友人に会いに行くと言って・・・」

 それからのモリガンのことは、鏡香から聞いている。紫の飛空鎧の追跡から逃がすべく、カイト、杏里の二人を転送魔法陣で転移させたとのことだった。

 ただ、そこからなぜか、モリガンと音信不通になっている。

「まさかとは思うが、その紫のやつと何かあったりしてねえよな・・・」

「・・・それはない、と思いたいところですが・・・」

 可能性としては、あるー。

「まあいいや、とにかく、明日合流しよう。話はそれからだ」

「そうですね。すぐにそちらに着けると思いますので」

 ここで会話を終える。

 モリガンのやつ、本当に大丈夫か・・・?

 自分の置かれた状況をそこそこ棚に上げて、未だ音信不通のモリガンを心配する咲那であったー。
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