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空と大樹と(第12話)

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「おう、あんちゃん達、邪魔するぜぇ」

 晶たちの背後から声がかかるー。

「げっ、あの狸もどきども・・・」

 晶が渋面を作る一方で、早苗は目を輝かせながら、

「うわあ、狸さん達だ!」

 どうやら、早苗は本当にこいつらのことを気に入ったようだ・・・。

「またお前さん達か・・・言っとくが、別にミケさんのことを連れ戻しに来たわけじゃないぜ・・・こいつがまじめにやってるか、様子を見に来ただけだ・・・」

 その結果、2日目にして既に撃沈状態のミケさんと対面することになったわけだが・・・。

「あんちゃん、そのことで話があるんだが・・・」

「・・・?何だよ、改まって・・・」

 何やらポン太が話したいことがあるようだ。ポン太の後ろにいる取り巻き連中も「うんうん」と頷いている・・・。

「ウガアァァ!」

 ただ一人(1匹)変な唸り声を上げるやつもいるが・・・。

「ミケのことだが、はっきり言って役立たずだぜ」

 ミケさんが「ガビーン」という擬音語が聞こえてきそうな恰好で固まった。先ほどの晶の一撃によるダメージも癒えていない上に、さらに駄目押しを食らった形となる。

 ガックシと膝をつき、うなだれるミケさんのことを心配そうに見つめる早苗と杏里だったが、晶はさも当然そうに、

「そりゃそうだろ、こいつに労働なんて無理だわ・・・」

 あっさりとミケさんが役立たずであることを認めた。

「しかし、何か仕事をやらせて稼がせないと、借金完済は無理だしな・・・まあ、このタコ部屋はお前さん方が管理してるんだし、収容者を教育するのもお前さん方の役目だろ?」

 そう言いながら、晶は自分でも、それがいかに困難なことであるのかよくわかっていた。

 何せ、ミケさんは日向荘に来てからも何も働きもせずに、ただごろ寝しているだけの毎日なのだ。晶も、何かやらせようとはしたが、成功した試しは過去に一度もない。

「まあ、大変だと思うけど、何とかこいつをうまくこき使ってやってくれ・・・」

 ハハハ・・・と、なぜかやたらにハイで清々しい笑顔でポン太を励ます晶ーその様子を呆れ顔や困った笑顔で見つめる他の3人。

「あんちゃんよ・・・オレこいつを無理に働かせるのは諦めるわ」

「ほう」

 なんと、ポン太がミケさんを働かせるのをやめると言い出したのだ!

「なんつうか、こいつは何もしねえし、無理にやらせれば失敗ばかりするしで、全く適正がねえんだわ・・・いやはや、ミケがこんなに使い物にならねえとは思いもよらなかったぜ」

 またしても、ノックアウトするミケさん・・・ここまでぼろくそに言われては、さすがの晶も多少は同情心が湧いてくる・・・気がする。

「ただ、カネはやはり返してもらわねえとな・・・」

 だが、やはり債権回収は諦めていないようだった。

「そこであんちゃん、折り入って相談があるんだが・・・」

 この後、ポン太から驚くべき提案を突きつけられることとなったー。
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