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ミケとポン太

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カイトと杏里、大樹へ(第9話)

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 しばらくして、晶とミケさんが落ち着いたところで・・・。

「改めて歓迎するよ。二人とも。もう少ししたら、日向荘の中を案内しようか」

 晶が日向荘の案内を申し出てくれた。元旅館というだけに、なかなかに広い建物なので、案内は確かにありがたい申し出だった。

「僕は、ずっと空の上の生活だったからなぁ。こうやって多くの人が集まる施設とか、あまり入ったことがないんだ」

 カイトの寝床はせいぜいがチームの飛空艇の中ーしかも男所帯である。元旅館とは言え、こうやって多くの人数を収容できる施設に入るという機会は、今までそんなになかったというのは事実である。

「私は・・・町の学校とか、普通に通ってたりするから、人と会う機会は結構あるかな・・・今度、カイトにも学校を見せてあげるね」

「うん」

 杏里が学校の話をし出すと、今までおとなしくしていた早苗が身を乗り出してきた。

「おお、杏里ちゃんは学校に通ってるんだね。いいなぁ」

 大樹では、特に学校は義務化されていない。通いたければ通ってみるーといった形式になっている。

 晶も早苗も、実は学校には通っていない。もっぱら蟲退治と鍛錬に明け暮れる日々であるため、時間によって拘束される集団生活には参加しにくいという事情もあるが・・・。

「オレは・・・ごめんだな」

 晶にとっては、学校などただの収容所と変わらないという認識しかない。早い話が、刑務所やタコ部屋のミニチュア版くらいにしか思っていないのだ。元々、自由を好む性格の晶のことだから、そういった施設での集団生活自体に馴染めないという性分もある。

「あんな窮屈な場所で、みんな同じ服着て長時間拘束される毎日だなんて、オレにはとても耐えられんよ」

「ええ~、晶君。同年代のお友達もいっぱいできるし、みんなと協力して何かやるのって、結構楽しそうだよぉ」

 晶とは異なり、早苗の方は学校生活にある程度憧れがあるらしい。彼女からしてみれば、同年代の子たちと一緒に行動できるというのが楽しそうだということなのだろう。

「それに、制服だって可愛いよ。晶君も詰襟とか着てみたら?」

 晶は渋面を作って即答した。

「絶対着ないぞ、オレは!」

 そんな二人のやり取りを聞いていて、カイトが横から口を挟む。

「僕も・・・どちらかと言えば、晶さんと似たような意見かな・・・少し見学するくらいならいいけど、毎日長時間拘束される生活って、僕の性分に合わないよ」

 思わず、身を乗り出して、カイトの両手をがっしりと掴む晶。

「だよな、カイト!!あんな窮屈な生活、とてもじゃないが耐えられないよ」

 そして、少し落ち着いたのか、

「あ、カイト。オレのことはタメ口でいいよ。多分、年もそんなに変わらないだろうし」

「う、うん。わかったよ、晶」

 杏里は、カイトと晶のやり取りを穏やかな笑みを浮かべながら聞いていた。

「二人とも、とても気が合いそうね・・・ふふ」

 かすかに笑う。片や大樹の出身で、片や空の出身ではあるが、自由を好む二人の気性は、意外と合致しているのかもしれない。

「私たちも気が合いそうだね、杏里ちゃん」

 横から早苗が同意を求めてくる。和人形のように可愛らしい少女は、その黒々とした美しい瞳を杏里に向けていた。

「そうね、早苗ちゃん」

 杏里も顔を綻ばせながら応えたー。

 
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