テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

文字の大きさ
上 下
285 / 464

モリガン一人旅(第28話)

しおりを挟む
「大樹とここを繋ぐ・・・だと!?」

 楓が不安げにモリガンに尋ねた。

「なあに、お前さんは心配いらんよ」

 楓が人嫌いなことを知っているモリガンは、大樹と自分のアトリエが接続されることで、他の人がここに来るのではないか、と危惧しているようだった。

「あくまでも、他の人間にはわからんようにわしが魔法で制限をかけておくでのう・・・まあ、うちのチームの連中に対しては・・・仕方がない。事情は説明せんと行かんので、そこは我慢してほしいが」

 日向荘と直結させる以上は、一応、晶たちや和泉姉弟くらいには事情を説明しなければなるまい。あとは、カイトと杏里をここへ呼んで、彼女たちには一時的に日向荘へ避難してもらう。その後、この転送魔法陣は一時的に閉じて、ほとぼりが冷めた頃にもう一度転送魔法陣を繋ぎ直す。

「大丈夫じゃ、安心せい。わしもこちら側に残るので、もし東方の娘ー確かアサギといったかーあやつがここを訪れたとしても、わしが何とかするわい」

 モリガンは自信満々な表情で楓にビシィっと人差し指を突きつけた。

「お前さんは何も心配することはない・・・万が一にも無いとは思うが、もし、あやつと戦闘になっても、わしなら何とかできるじゃろう」

 それに関しては自身があった。先ほどまで見ていたアサギと黒羽の戦いの様子で、大体の相手の力量は測れたからだ。

 確かに、あの女剣士は強い部類に入る。もちろん、そんな彼女と互角の勝負を繰り広げた邪術師も、かなりの腕前だ。

 だが、「あの程度」ならば、まだモリガンの方に分がある。魔力の絶対量が違う。相手の技量がどれだけ優れていたとしても、絶対的な「量」の前には屈するしかないだろう。

 また、モリガン自身も日向荘にて晶や咲那、鏡香からそれとなく戦術の訓練も受けてはいる。今までの彼女なら、最大戦力で遠慮なくーというパターンがほとんどだったが、多少なりとも戦い方に工夫を持たせることができるように放ったのだ。

「というわけで、お前さんはホルルと一緒にどっしりと構えておればよいのじゃ」

「そら頼もしいこって」

 多少皮肉のこもった口調で、楓が応えるが、当のモリガンは全く気が付いていないようだった。

「そうじゃろ」

 ふふん、と鼻を鳴らして、モリガンはアトリエの外に向かった。転送魔法陣は、楓のアトリエの庭に作ることに決めた。

「というわけで、ぽちっとな」

 ・・・なんだか、ずいぶんと簡単そうに且ついかにも何かのスイッチを軽く押すかのような感覚で、モリガンは転送魔法陣を作り出すため魔力を集中させ始める。簡単そうに・・・とはいえ、実は転送魔法陣というのは作るのにものすごく神経を使うので、手練れの魔女でも結構くたびれるものなのである。

「あたしは・・・そうだな、今のうちに杏里にメールを送っとくか」

 目を閉じて集中しているモリガンの姿を横目に、楓は生体端末から杏里へとメールを送ったー。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...