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モリガン一人旅(第22話)

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「お、迎えが来たようじゃのう」

 白いワンピースの少女と飛空鎧の乗り手の少年が話し込んでいたところ、少女が呼んだ自動走行車が到着し、中から一人の男性が現れた。この少女の父親に当たる人物だった。

「まあ、まずはこの飛空鎧のパイロットを何とかしないといかんしのう・・・そのまま町まで行くようじゃな」

 少女の治癒術で、少年のけがはかなり癒されたとはいえ、まだ本調子ではないだろう。一度、街で休ませる必要はあるし、何より・・・。

「あの飛空鎧をこのままにはしておけんしのう」

 半壊状態の飛空鎧は、とても動かせそうにはない。おそらく、町工場まで牽引していく必要はあるだろうが、そのためにもまずは町へと戻らねばなるまい。

「この際じゃ・・・この飛空鎧のこともじっくりと観察しておくか」

 モリガンは、使い魔を飛空鎧の傍へと移動させる。単眼の蝙蝠型使い魔は、ぱたぱたと小さな翼をはためかせつつ、飛空鎧の真正面の立体映像をモリガンに送った。

「ふむ・・・」

 モリガン自身は、飛空鎧に関してはさして興味がない。ただ、一応映像は残しておいた方がいいだろうとも思った。あの紫の機体が、この飛空鎧を探して近辺をうろうろしているのだ。用心するに越したことはないだろう。

「うちのチームじゃと・・・まあ、咲那や鏡香は興味ないじゃろうな」

 女性陣はあまり興味がなさそうだ。だが・・・。

「晶辺りは、結構興味を示すかもしれんな・・・帰ったらこの映像をデータ化して見せつけてやるとするかのう」

 にやにやしながら、モリガンは使い魔に、飛空鎧の全身像を撮影する宵に命じた。人使いの荒いご主人様の命令を何とかこなそうと、あらゆる角度から懸命に撮影しようと試みる。ある意味、その姿は微笑ましくも見えるのだが、残念なことに、この使い魔は主であるモリガン自身か、彼女と同格以上の魔力を持つ者にしか見えないように細工している。地下世界に赴く時には、敢えて晶たちにも視認できるようにいささか魔力を弱めておいたのだが。

「まあ、あやつらに見つかっても面倒じゃからのう」

 特に、あの東方の女剣士には悟られたくはない・・・もちろん、相手がこの使い魔を見たからと言って、すぐにモリガンの居場所を割り出せるというわけではないのだが、それでも用心は必要だろう。

「・・・あの東方の女子・・・いずれわしらとも対峙する時が来るかもしれんのう」

 魔女の予感というものは、高い確率で当たるようになっている・・・特に「好ましくない予感」については、その的中率はずば抜けて高い。

「あの東方の女子がいるチーム・・・確か燎原リンイェンじゃったか・・・そやつらについても、後で調べておくとするかのう」

 今後のことを考えて、モリガンは後で東方のチームの動向についても探っておくことにしたー。
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