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モリガン一人旅(第20話)

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「ほほう、あの娘、治癒術を扱えるのか・・・」

 一般人において、魔法の心得のある者はあまり多くはない。とはいえ、前文明時代においては、そもそも魔法なんてもの自体が存在しなかったのだから、それを扱える者達がいるというだけで、驚愕すべきことではあるのだが・・・。

「しかも、結構な使い手じゃのう・・・ああ、わしも癒されたい」

 ・・・なんだか思わず変なことを口走ってしまったモリガン。思わず、周囲に誰か聞いていた者がいないかどうかと辺りを見回す始末である。

「・・・いかんいかん、わしもなんやかんやで人生に疲れておるのかのう」

 口調こそ年寄り風の彼女だが、実年齢はまだ13歳である。人生の疲れを訴えるのはまだまだ早いだろう。

「まあ、冗談はさておき・・・」

 再び、使い魔からの立体映像を見つめるモリガン。どうやら、不時着した飛空鎧に乗っていた少年が目を覚ましたようだ。自分を治療してくれた白いワンピースの少女と何やら会話を始めている。

「もう少し、使い魔を近づけてみるかのう」

 盗み聞きというのはあまり褒められた行為ではないが・・・紫の機体がこちらに迫っていることを考慮すれば、この二人のことをもっとよく把握しておく必要もあるだろう。最悪な場合、使い魔を通じてにはなるが、その場所からさっさと逃げろと忠告する必要もあるかもしれないのだ。

 ・・・単に、自分が興味本位でこの二人のことを知りたいだけだったりするが、盗み聞きすることの後ろめたさからか、思わず自らの行動を正当化する理屈を考えてしまうモリガンであった。

「まあ、実際に紫の機体は迫っているわけじゃしな・・・見つかれば、二人とも危ないのは確かじゃし・・・む?」

 紫の機体の方を追跡させていた使い魔からのメッセージが送られてきた。それによると、紫の機体は、こちらまで来る前に、他の方面を探し始めたようだ。

 まだ、この場所のことは相手にばれてはいないようだ。

「・・・とりあえず、今少し余裕はありそうじゃし、まずは二人の様子を探ることに専念しようかのう」

 モリガンは、使い魔をさらに二人の下へと接近させたー。
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