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アサギと黒羽(第24話)
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「・・・やはり、自分の飛空鎧の中は落ち着くな・・・」
自分の機体である紫の牙の座席に腰掛け、アサギが一息ついた。
今日は、本当にいろいろなことがありすぎた。少し体を休めて、考えを整理し直したい。
「黒羽のことについては、今はまだチームには伝えないでおくか・・・」
黒羽のことを燎原に教えた場合、確実にチーム《ラピュタ》の面々とやり合うことになる。あの5人の戦いぶりは、衛星の上空から確認していたが、戦闘の技量については燎原の仲間たちとほぼ互角であるとみていいだろう。今は燎原も、そうあちこちに戦力を投じるだけの余裕もない。
黒羽の方に関しては、当分は様子見だ。西方に、本当に邪術師を生涯に渡りその症状から抑制できるようになる研究を行っている機関があるのかどうかは気になるが、少なくとも、あの仲間たちが近くにいる以上、何かあった時には彼らが対処することになるはずだ。それでも手に負えない時は、自分が再び彼女と戦い、斬るしかないだろうが。
「だが、あの戦いは久しぶりに愉しかったな・・・」
まるで夢を見るような心地で、黒羽との戦いの最中に感じた境地について思いを馳せるアサギ。これが燎原の仲間たちに知られれば、不謹慎であると叱責されるだろうが、自分と同じくらいの力を持つ者とああしてやり合うことほど愉しいことはなかった。
アサギは、戦いを好む女性である。もちろん、武人としての誇りも持ち合わせてはいるものの、それ以上に戦いという行為そのものが、既に彼女の人生の一部であり、切り離せなくなっていたのだった。それゆえに感じうる愉悦というものも、ある。
戦いを喜びとすることに眉を顰めるものも多い。だが、こればかりは自分が生まれ持った性質なのだと開き直るしかなかった。
「最近は、戦いというよりは「処刑」ばかりだったな・・・」
つい最近では、故郷に出現した邪術師の一団の殲滅ーそれなりに厄介だったが、それでもあれを戦いと言っていいものかどうか。最後には、こちら側による邪術師の殺戮という形で幕を引くこととなった。邪術師相手だけに、後悔はなかったが、手も足も出ない連中を相手に殺しまくるというのでは、「処刑」としか表現のしようがない。
いや、例え相手が邪術師であれ、自分よりも弱いものを一方的に殺戮するという点は、後悔はないとはいえ、今にして思えばあまり気分のいいものではない。
朝早く、戦った3機の飛空鎧も、こちら側の一方的な殲滅でしかなかった。もっとも、撃ち漏らした1機も、決して互角というわけではない。ただ、完全には制圧しきれなかったというだけで、体力が回復した後に再び戦えば、今度こそ完全勝利するという確信はあった。
「まあ、あの飛空鎧は半壊していたはずだから、見つけてすぐに再戦・・・なんてことにはならないだろうが」
それでも、あの飛空鎧の確認はしておきたい。あとは、中にいた搭乗者の顔もぜひ見てみたいと思った。
「私の攻撃で完全に墜ちなかった飛空鎧は、初めてだしな・・・」
だが、今はとにかく眠かった。体力の消耗が、それだけ激しかったのだろう。
一応、紫の牙のAIに、周囲を警戒させるように命じ、アサギはそのまま目を閉じた。先ほどまでとは打って変わって、静寂さだけが、アサギの周りを支配していたー。
自分の機体である紫の牙の座席に腰掛け、アサギが一息ついた。
今日は、本当にいろいろなことがありすぎた。少し体を休めて、考えを整理し直したい。
「黒羽のことについては、今はまだチームには伝えないでおくか・・・」
黒羽のことを燎原に教えた場合、確実にチーム《ラピュタ》の面々とやり合うことになる。あの5人の戦いぶりは、衛星の上空から確認していたが、戦闘の技量については燎原の仲間たちとほぼ互角であるとみていいだろう。今は燎原も、そうあちこちに戦力を投じるだけの余裕もない。
黒羽の方に関しては、当分は様子見だ。西方に、本当に邪術師を生涯に渡りその症状から抑制できるようになる研究を行っている機関があるのかどうかは気になるが、少なくとも、あの仲間たちが近くにいる以上、何かあった時には彼らが対処することになるはずだ。それでも手に負えない時は、自分が再び彼女と戦い、斬るしかないだろうが。
「だが、あの戦いは久しぶりに愉しかったな・・・」
まるで夢を見るような心地で、黒羽との戦いの最中に感じた境地について思いを馳せるアサギ。これが燎原の仲間たちに知られれば、不謹慎であると叱責されるだろうが、自分と同じくらいの力を持つ者とああしてやり合うことほど愉しいことはなかった。
アサギは、戦いを好む女性である。もちろん、武人としての誇りも持ち合わせてはいるものの、それ以上に戦いという行為そのものが、既に彼女の人生の一部であり、切り離せなくなっていたのだった。それゆえに感じうる愉悦というものも、ある。
戦いを喜びとすることに眉を顰めるものも多い。だが、こればかりは自分が生まれ持った性質なのだと開き直るしかなかった。
「最近は、戦いというよりは「処刑」ばかりだったな・・・」
つい最近では、故郷に出現した邪術師の一団の殲滅ーそれなりに厄介だったが、それでもあれを戦いと言っていいものかどうか。最後には、こちら側による邪術師の殺戮という形で幕を引くこととなった。邪術師相手だけに、後悔はなかったが、手も足も出ない連中を相手に殺しまくるというのでは、「処刑」としか表現のしようがない。
いや、例え相手が邪術師であれ、自分よりも弱いものを一方的に殺戮するという点は、後悔はないとはいえ、今にして思えばあまり気分のいいものではない。
朝早く、戦った3機の飛空鎧も、こちら側の一方的な殲滅でしかなかった。もっとも、撃ち漏らした1機も、決して互角というわけではない。ただ、完全には制圧しきれなかったというだけで、体力が回復した後に再び戦えば、今度こそ完全勝利するという確信はあった。
「まあ、あの飛空鎧は半壊していたはずだから、見つけてすぐに再戦・・・なんてことにはならないだろうが」
それでも、あの飛空鎧の確認はしておきたい。あとは、中にいた搭乗者の顔もぜひ見てみたいと思った。
「私の攻撃で完全に墜ちなかった飛空鎧は、初めてだしな・・・」
だが、今はとにかく眠かった。体力の消耗が、それだけ激しかったのだろう。
一応、紫の牙のAIに、周囲を警戒させるように命じ、アサギはそのまま目を閉じた。先ほどまでとは打って変わって、静寂さだけが、アサギの周りを支配していたー。
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