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水無杏里の物語(第28話)
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「わしも、使い魔を通して見ていたが・・・カイトよ。気の毒じゃが、あの場を逃れられたのは、お主だけじゃ」
さすがのモリガンも、この時ばかりは神妙な面持ちで、カイトに事の顛末を告げた。
「お主の機体が紫の牙の刃に斬られた後、残った2機は何とかお主を助けようとしていたようじゃが・・・敵の方が圧倒的に速かったのじゃよ」
モリガンが語るには、それは一瞬の出来事だった。
まず、緑色の機体が、紫の牙の放った黒球(魔力によるものらしい)により、コクピットに完全に穴を穿たれ、そのまま爆散・・・その後、背後から仲間の仇を討とうとした赤茶色の機体が、飛空鎧用の戦斧で斬りかかったものの、あえなくかわされ、それどころか、逆に頭から股間に至るまで一撃で両断されたのだという。
まさに、鎧袖一触の強さー。
敵に斬られ、落下途中だったカイトは、意識が朦朧としていて、その後自分たちの先輩の身に起こったことに気が付けるような状況ではなかった。ただ、自分だけが相手にやられ、薄れゆく意識の中、何とか不時着できる場所までかろうじてたどり着いたー幸い、カイトの機体に内蔵されていたAIは完全には死んでいなかったので、カイトが不安定な状態の中にあっても、うまいこと自動操縦で何とかこの浮遊大陸にまでたどり着けたのだろう。
「セト先輩、ユーマ先輩・・・」
嗚咽交じりに、カイトが呟く。まさか、二人がその後、やられていたなんて・・・てっきり、自分は二人が何とかその場から離脱したのだと都合よく解釈していたのだ。
なんという馬鹿さ加減だ・・・。
力なく首を垂れ、うなだれるカイトを心配そうに見守る杏里。一同が静まり返る中、ふと楓が、
「カイト・・・本当は、もう少し君が落ち着いてから知らせるべきだったかもしれないが、そんなに時間がある状況でもないと判断したから、敢えて今モリガンに話させたんだ」
「時間が・・・ない?」
カイトの代わりに、杏里が楓に尋ねる。
「やつら・・・燎原燎原の連中は、おそらく君をまだ探しているはずだ。多分、この空域にいる単語蒼き風も狙っている・・・この浮遊大陸に追手が現れる可能性もあるだろう。君の飛空鎧は、まだ動かせないが、仲間たちとともに、なるべく早く他の空域に逃れることべきだろう」
楓の提案に、杏里が慌てだす。
「え、追われてるって・・・」
「あいつらはのう、杏里・・・」
楓の代わりにモリガンが説明を始めた。
「あの燎原の連中が狙っているのは、おそらく蒼き風が所有する古代遺物・・・言わゆるアーティファクトと呼ばれるものじゃろう。それを狙ってまだこの空域をうろついている可能性がある・・・一刻も早くこの辺りから離脱しなければ、またやつらが襲ってくる可能性があるしのう」
アーティファクト・・・聞いたことがある。前文明時代の遺物のことで、現文明の魔法道具と同じか、場合によってはそれ以上の効力を発揮すると言われている。それを手にした勢力が、他を凌駕することも可能になるという。
まさか、そんなものが関わってくるとはー。
さすがのモリガンも、この時ばかりは神妙な面持ちで、カイトに事の顛末を告げた。
「お主の機体が紫の牙の刃に斬られた後、残った2機は何とかお主を助けようとしていたようじゃが・・・敵の方が圧倒的に速かったのじゃよ」
モリガンが語るには、それは一瞬の出来事だった。
まず、緑色の機体が、紫の牙の放った黒球(魔力によるものらしい)により、コクピットに完全に穴を穿たれ、そのまま爆散・・・その後、背後から仲間の仇を討とうとした赤茶色の機体が、飛空鎧用の戦斧で斬りかかったものの、あえなくかわされ、それどころか、逆に頭から股間に至るまで一撃で両断されたのだという。
まさに、鎧袖一触の強さー。
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「セト先輩、ユーマ先輩・・・」
嗚咽交じりに、カイトが呟く。まさか、二人がその後、やられていたなんて・・・てっきり、自分は二人が何とかその場から離脱したのだと都合よく解釈していたのだ。
なんという馬鹿さ加減だ・・・。
力なく首を垂れ、うなだれるカイトを心配そうに見守る杏里。一同が静まり返る中、ふと楓が、
「カイト・・・本当は、もう少し君が落ち着いてから知らせるべきだったかもしれないが、そんなに時間がある状況でもないと判断したから、敢えて今モリガンに話させたんだ」
「時間が・・・ない?」
カイトの代わりに、杏里が楓に尋ねる。
「やつら・・・燎原燎原の連中は、おそらく君をまだ探しているはずだ。多分、この空域にいる単語蒼き風も狙っている・・・この浮遊大陸に追手が現れる可能性もあるだろう。君の飛空鎧は、まだ動かせないが、仲間たちとともに、なるべく早く他の空域に逃れることべきだろう」
楓の提案に、杏里が慌てだす。
「え、追われてるって・・・」
「あいつらはのう、杏里・・・」
楓の代わりにモリガンが説明を始めた。
「あの燎原の連中が狙っているのは、おそらく蒼き風が所有する古代遺物・・・言わゆるアーティファクトと呼ばれるものじゃろう。それを狙ってまだこの空域をうろついている可能性がある・・・一刻も早くこの辺りから離脱しなければ、またやつらが襲ってくる可能性があるしのう」
アーティファクト・・・聞いたことがある。前文明時代の遺物のことで、現文明の魔法道具と同じか、場合によってはそれ以上の効力を発揮すると言われている。それを手にした勢力が、他を凌駕することも可能になるという。
まさか、そんなものが関わってくるとはー。
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