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ミケとポン太

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水無杏里の物語(第13話)

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「カイト、どうだった?どこか悪いところなかった?」

 カイトが診療室から出てくるのを見て、すぐさま声をかける杏里。正直に言えば、自分の治癒能力でけががどこまで治ったのか、本当は気が気でなかったのだ。

 カイトは、詰め寄ってくる杏里に少し戸惑いながら、

「うーん、見た限りでは大丈夫らしいけど、一応精密検査とか言われて、写真なんかも撮られてさ・・・検査結果は後日わかるらしいから、今日のところはこんなものかな」

「そう・・・」

 どうやら、きちんとした結果が出るまでは数日はかかるようだ。

「ああ、それでもお医者さんは、事故の大きさから考えて、この程度ならそう心配は要らないだろうって言ってたよ。杏里の治癒能力のことも話したらさ、それならなおのこと心配は要らないって!ただ、一応精密検査は必要だからって色々調べたってくらいだから・・・」

 心配そうにうつむく杏里を気遣ってか、カイトは慌てながら、グエン爺さんに言われたことをそのまま口にする。その様子を見て、杏里も少し安心したようだ。

「そう、グエンさんが言うなら、大丈夫よねきっと。すごく腕のいいお医者様だし」

「うんうん、僕の方は大丈夫だから、そんなに心配しないで、ね、杏里」

 杏里も、グエン爺さんのことはよく知っている。まあ、精密検査の結果に何日かかかるのは気になるが、それでも彼が太鼓判を押したのならもう大丈夫だろう。

「そうだわ」

 杏里は、自分の生体端末に、知り合いの桐ケ谷楓から届いたメールの内容をカイトに伝えた。

「え、その人、僕に興味があるの?」

 杏里から内容を知らされ、最初は何だろうと首をかしげていたカイトだったが、次第に顔色がサァァっと青くなっていき・・・、

「ま、まさかとは思うけど、森の近くに墜落させちゃったから、それで怒って抗議が来たとか?」

 杏里も、一度はその可能性を考えていただけに、改めてカイトに言われて少し吹き出した。そんな彼女を訝し気に見つめるカイト。

「大丈夫よ、カイト。彼女、自分の家さえ無事なら、例え近くで何が起こったとしても頓着しない人だから。さっきも言ったでしょう。彼女ー桐ケ谷楓さんは変わり者だって」

 そういえば、帰りの車の中で、杏里がそんなことを言っていた記憶がある。

「多分、お空のことで何か興味があることが出て来たんじゃないのかな・・・彼女、研究者でもあるし、今やっている研究の中で、何かお空に関わることがあるんじゃないかしら」

「空・・・か。確かに僕は空のハンターだけど、そんなに詳しいってわけでもないよ。研究に役立ちそうな知識なんてほとんどないし」

 ますます理由がわからないという感じで首をかしげるカイト。そんな彼に、杏里が一つ提案する。

「それじゃあ、近いうちに楓さんのところに行ってみましょう。彼女に会って直接お話を聞いた方が早いでしょう?」

「・・・そうだね。その時は頼むよ、杏里」

「ええ」

 ちょうどその時、また杏里の生体端末に連絡のメールが届いていた。今度は父の壮太からのものだ。

「あら、お父さんからだわ・・・カイト、飛空鎧を修理してくれそうな工場が見つかったって!」

「ほんとに!」

 カイトの顔がぱあっと輝いたー。

 

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