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水無杏里の物語(第3話)
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水無杏里が眠りに就いたのは、ちょうど1年くらい前のことー。
彼女は惑星Σ-11にある、とある町の出身だった。あまり大きな町ではなく、どちらかと言えば村に近い規模の集落だった。そこで普通の町娘として暮らしていた彼女だったが、ある時、後に彼女の想い人となる人物との邂逅を果たす。
その人物は、名をカイトといった。飛空鎧と呼ばれる、有人人型兵器の乗り手で、主に空の大型害蟲や、空賊と呼ばれる空のマフィア等、危険な連中を相手にこれまで幾度となく激戦を繰り広げ、そして生き残ってきた少年ハンターである。
ある時、町から遠く離れた草原に、飛空鎧が半壊状態で不時着した。その中に搭乗していたカイトは、ハッチから脱出したものの、途中で力尽き、気を失った。そこを、偶然この辺りまで足を運んでいた杏里が見つけたのだった。
「・・・!」
傷だらけのカイトを見て、杏里はすぐさま治癒能力を使い、彼の治療に当たった。
杏里にも魔法の心得はある。治癒能力もその一つだった。この能力で、よく町の子供たちのけがなどを治療していたことがある。それゆえ、町では子供達にも好かれる存在だった。
「大丈夫・・・ですか?」
傷はある程度塞がったとはいえ、衣服は血だらけ・・・まずは、本人の状態をきちんと確認したい。
少年ーカイトは、杏里の声に目を開けると、まじまじとその顔を見つめた。
綺麗な顔立ちだーおそらく、彼が今まで出会ってきたどんな女性よりも美しいのは間違いないだろう・・・とはいっても、男所帯で育った彼にとってみれば、あまり女性と会う機会がなかったというのが本当のところなのだが。
ぽかんと口を開けて、思わず見とれていると、目の前の少女がさらに心配そうに尋ねてくる。
「あの・・・ひどいけがをなさっていたので、私が勝手に治療させていただきましたけど・・・大丈夫でしょうか?」
少女の手が、カイトの頬に触れる。カイトは、思わずその手に自らの手を重ねてしまうー。
「・・・っ!」
杏里は、少し驚いて、思わず手を引っ込めてしまうー彼女自身、あまり同年代の男性と話したことがなく、どう接したらいいのか、よくわからないところがあった。
「す、すみません!」
思わず頭を下げてしまう。
「私ったら、勝手に・・・」
心配だったとはいえ、いきなり相手の頬に手を当てたのはまずかったのだろうかー杏里は、しどろもどろになりながら、
「本当に、すみませんでした・・・勝手にお顔に触ったりして・・・でも、心配でしたので」
「あ、ああいや・・・」
カイトが、少々錯乱気味の杏里に声をかける。
「君が僕を・・・助けてくれたんだよね?」
カイトも焦りながら、杏里に確認する。
「ありがとう、おかげでかなり楽になったよ」
カイトは、立ち上がろうとして、まだ体が完全に治りきっていないことに気が付き、その場にへたり込んだ。
「けがはもう大丈夫そうだ。あとは、少しここで休めば何とかなりそうだよ」
「そうですか、よかった・・・」
杏里がほっと安心のため息をついた。治癒能力はよく活用しているが、ここまで大きいけがだとどこまで効力があるのか、いまいち自信がなかったのだ。
勝手にカイトの頬に触れてしまったが、そのことについては特に怒ってはいないらしいことも安心した。
「僕の名前はカイトー見ての通り、飛空鎧乗りさ・・・君は?」
「私は、水無杏里と言います」
それが、カイトとの出会いだったー。
彼女は惑星Σ-11にある、とある町の出身だった。あまり大きな町ではなく、どちらかと言えば村に近い規模の集落だった。そこで普通の町娘として暮らしていた彼女だったが、ある時、後に彼女の想い人となる人物との邂逅を果たす。
その人物は、名をカイトといった。飛空鎧と呼ばれる、有人人型兵器の乗り手で、主に空の大型害蟲や、空賊と呼ばれる空のマフィア等、危険な連中を相手にこれまで幾度となく激戦を繰り広げ、そして生き残ってきた少年ハンターである。
ある時、町から遠く離れた草原に、飛空鎧が半壊状態で不時着した。その中に搭乗していたカイトは、ハッチから脱出したものの、途中で力尽き、気を失った。そこを、偶然この辺りまで足を運んでいた杏里が見つけたのだった。
「・・・!」
傷だらけのカイトを見て、杏里はすぐさま治癒能力を使い、彼の治療に当たった。
杏里にも魔法の心得はある。治癒能力もその一つだった。この能力で、よく町の子供たちのけがなどを治療していたことがある。それゆえ、町では子供達にも好かれる存在だった。
「大丈夫・・・ですか?」
傷はある程度塞がったとはいえ、衣服は血だらけ・・・まずは、本人の状態をきちんと確認したい。
少年ーカイトは、杏里の声に目を開けると、まじまじとその顔を見つめた。
綺麗な顔立ちだーおそらく、彼が今まで出会ってきたどんな女性よりも美しいのは間違いないだろう・・・とはいっても、男所帯で育った彼にとってみれば、あまり女性と会う機会がなかったというのが本当のところなのだが。
ぽかんと口を開けて、思わず見とれていると、目の前の少女がさらに心配そうに尋ねてくる。
「あの・・・ひどいけがをなさっていたので、私が勝手に治療させていただきましたけど・・・大丈夫でしょうか?」
少女の手が、カイトの頬に触れる。カイトは、思わずその手に自らの手を重ねてしまうー。
「・・・っ!」
杏里は、少し驚いて、思わず手を引っ込めてしまうー彼女自身、あまり同年代の男性と話したことがなく、どう接したらいいのか、よくわからないところがあった。
「す、すみません!」
思わず頭を下げてしまう。
「私ったら、勝手に・・・」
心配だったとはいえ、いきなり相手の頬に手を当てたのはまずかったのだろうかー杏里は、しどろもどろになりながら、
「本当に、すみませんでした・・・勝手にお顔に触ったりして・・・でも、心配でしたので」
「あ、ああいや・・・」
カイトが、少々錯乱気味の杏里に声をかける。
「君が僕を・・・助けてくれたんだよね?」
カイトも焦りながら、杏里に確認する。
「ありがとう、おかげでかなり楽になったよ」
カイトは、立ち上がろうとして、まだ体が完全に治りきっていないことに気が付き、その場にへたり込んだ。
「けがはもう大丈夫そうだ。あとは、少しここで休めば何とかなりそうだよ」
「そうですか、よかった・・・」
杏里がほっと安心のため息をついた。治癒能力はよく活用しているが、ここまで大きいけがだとどこまで効力があるのか、いまいち自信がなかったのだ。
勝手にカイトの頬に触れてしまったが、そのことについては特に怒ってはいないらしいことも安心した。
「僕の名前はカイトー見ての通り、飛空鎧乗りさ・・・君は?」
「私は、水無杏里と言います」
それが、カイトとの出会いだったー。
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