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カルミナとブラーナ(第7話)

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 黒羽の掌にある黒い羽根が魔力を帯びてさらに黒く輝きだすー。

 チーム《ユグドラシル》の面々はもちろん、チーム《ラピュタ》の面々も様々な特殊能力を持っている。《ラピュタ》の一員でもある黒羽の能力の一つが、遠距離での害蟲や魔物などの魔力反応を探るーというものだった。より正確に言えば、「距離に囚われず、対象の魔力反応を探る」ことができる。

 ただし、その間、黒羽の意識は対象を俯瞰できる位置にある。より近いもので例えれば、一種の幽体離脱に近いものだ。これにより、彼女は目的の場所付近で生まれた害蟲や魔物たちの動向を知ることができる。

 黒羽の瞳は、現在閉じられている。意識が外に向かっている以上、本体の方はまるで眠りに就いたように動くことはない。ただ、かすかな呼吸音だけが彼女から聞こえるだけだ。

 ふ・・・と、黒羽の瞳が静かに開かれるーが、やはり眠そうな半眼状態のままだ。この辺はいつもと変わらないらしい。

「ふう」

 黒羽が軽く息をつく。彼女にとってはそれほど精神力を使う能力というわけでもないが、能力を使ったあとに一息つくのは、もはや一種の癖みたいになってしまっている。

「黒羽、どうだった?」

 カルミナが黒羽に尋ねた。他の面々も興味津々といった感じで黒羽の答えを待つ。

「・・・今回の魔力乱流で生まれた害蟲は、そんなに多くはないようですね・・・私たちでも十分対処できる数です・・・が」

 黒羽は、何かに気が付いたのか、そこで少し逡巡を見せた。

「どうしたの?黒羽。何かあった?」

 訝し気にブラーナが尋ねる。いつも淡々としている黒羽だけに、こうして戸惑うのは珍しいことでもあった。

「・・・ただ、1匹だけものすごく強い魔力を放つ個体がいます。さすがに亜人種型デミヒューマンタイプほどではありませんが、それでも注意が必要です」

 黒羽の言葉に、一同緊張が走る。

 天空世界においても、亜人種型デミヒューマンタイプが暗躍している事例はある。亜人種型デミヒューマンタイプはA級クラスの害蟲とされ、正面からまともに戦っても勝てる見込みはかなり低い。

 このメンバーの中で、亜人種型デミヒューマンタイプとまともにやり合って勝てる可能性があるのは、武人くらいなものだろう。翔や卓も戦いは得意とは言え、さすがに亜人種型デミヒューマンタイプと戦って生き延びられる自信はなかった。

 幸い、今回の害蟲には亜人種型デミヒューマンタイプが関わっていないようなので、何とかなりそうではあるが・・・。

亜人種型デミヒューマンタイプではないなら、B級クラスかな。それなら俺と卓が二人でかかれば何とかなるかもな」

「ああ」

 《ラピュタ》の面々は、武人と黒羽を除いて、2人1組を前提として戦う。カルミナはブラーナと、翔は卓とタッグを組み、害蟲や魔物と戦うのだ。

「強い個体はアンタたち任せになりそうね・・・」

 カルミナの言う通り、B級クラスのやつに関しては男どもに任せた方がよさそうだー。
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