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カルミナとブラーナ(第6話)

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「さて、さっそく今日のお仕事ですが・・・」

 操舵室にて、黒羽より今日の仕事について説明を受ける一行。チーム《ラピュタ》の業務管理は、彼女の重要な仕事の一つでもある。普段は眠たそうな目をしている彼女だが、こと細かな管理においては他のメンバーの右に出るものはない。

 逆に言えば、それだけ他のメンバーがずぼらだということになるが・・・。

「まず、ここより南東にある惑星Σ-11への配達業務、その付近で大量発生した害蟲駆除、あとは、魔力乱流の様子を見て、もし可能ならば他の空域での魔物退治となっております」

 淡々と告げる黒羽。やはり、その表情は半眼で眠たそうだが、彼女は大体いつもこんな感じなので、今更誰も気にした様子はなかった。

「惑星Σ-11っていやあ、ゼルキンス村があるところだよな。また、あそこに行かなきゃならんのか・・・」

 以前、その惑星に立ち寄ったことのある翔が真っ先に反応する。

「ああ、アンタたちが確か村人相手に大げんかした場所だったわね」

 呆れ顔で、カルミナがぼやいた。

「いや、あれはあいつらが絡んできたからだろうが!ったく、お嬢も余計なことをいつまでも覚えてんじゃねえよ」

「お嬢って言うな!・・・どうでもいいけど、翔、またケンカしたりしないでよ。後が大変なんだからね」

 以前、翔と卓がはゼルキンス村に降り立った時に、そこの不良連中に絡まれたことがある。たいして大きくもなく、取り立てて見どころもない村だけに、そんな田舎では、特に若い世代の中に不満がたまっており、それゆえ一部不良化する者も出てくるのだ。

 ケンカ自体は、翔と卓の勝利に終わったが、しかし業務中での揉め事だけに、その後始末が大変であった。

「結局、あたしら全員村長さんに頭下げに言ったわけだしね・・・武人さんがいたから何とかそれ以上大事にならなかったけど・・・」

「わかってるよ、それにあいつらも、一度は叩きのめしてやったんだ。たとえ出会っても、もう二度と絡んでは来ねえだろ」

 それはどうかな・・・とカルミナは心配になったが、まあ、今回は何事も問題がなく業務が終わってくれることを祈るばかりである・・・。

「むしろ、害蟲の方だろ、問題なのは」

 卓がさりげなく話題を変えた。

「多分、個体としてはそんなに強い害蟲ではないだろうが、オレたちだけで対処できる数なのかも一応は確認しておかないとな・・・いくら雑魚でも、群れるとかなりの脅威になるぞ」

 卓の言うことも一理ある。魔力乱流の結果生み出される害蟲自体は、誕生直後であればそんなに強いものではない・・・が、問題なのはその数だ。いくら弱いといっても、こちらの人数は高々数名程度。これでは、対処できる範囲も限られてくる。

「そうね、そこら辺のところも一応確認しとかないとね・・・黒羽」

「もう始めています」

 黒羽の能力なら、害蟲の大体の数や規模を知ることができる。どうやら、カルミナがお願いするまでもなく、既に確認作業に入っていたようだ。

 黒羽の手の中には、1枚かの黒い羽根があった。この羽根こそが、彼女の能力であり、そしてー。

 彼女の「名前」の由来でもあるのだー。

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