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空賊改めチーム《ラピュタ》の登場

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 チーム《ユグドラシル》の面々が、地下世界の街で蟲憑きと戦っていた頃の話であるー。

 この世界には、人が居住できる地域は限られている。それこそ、前文明時代に比べて、かなり人々の生活領域は狭まったといえるだろう。

 まず、見渡す限りの砂漠ー。前文明時代において、大海だった場所も、今はすっかり干上がり見渡す限りの砂漠地帯が広がっている。もちろん、完全に海がなくなったというわけではないが、少なくとも大樹から確認できる範囲では海は確認できない。

 その砂漠化した世界に、ぽつぽつと大樹がそびえており、そこで水の生成、供給や大樹の葉っぱに当たる部分での生産活動を行っている。チーム《ユグドラシル》の居住するエリアも大樹の葉っぱの上にあった。

 一方、大樹の根本には魔女モリガンの拠点である「秋の領域」があり、大樹が張り巡らした根を通じて地下世界への入り口が広がっている。今現在、チーム《ユグドラシル》の面々が蟲憑きと戦っている地下世界の街も、当然ながらそこに存在しているのだ。

 その他、砂漠の荒野を移動する巨大な甲虫型移動都市も存在する。前文明時代の「学園」を意識した作りとなっており、自分を磨き、仲間たちと切磋琢磨するための修練の場として活動しているのが、この甲虫型移動都市だった。前文明時代と異なり、学園という施設における教育は、必須というわけではなく、あくまでも純粋な希望者たちだけで運営されているという話なので、そこで修練に励む学園生たちの練度はかなり高いとされている。

 そしてー天空世界。

 前文明時代崩壊後、重力の制御を行う魔法石の存在が確認され、それらにより浮遊島となった天空の居住エリアが存在する。浮遊島の上に街が存在し、それぞれの浮遊島での特産品を、各島で所有している飛行船により融通することで物資の流通が成り立っていた。

 その天空世界に、かつては空賊と名乗るファミリアマフィアたちが闊歩する時代があった。今は、さすがにマフィアから足を洗っている場合がほとんどだが、まれにそのその流れを引き継いで、そのままチーム化した者達が存在する。

 今回登場するチーム《ラピュタ》も、もとはとあるファミリアの流れをくむ者達だ。ただ、今は天空世界において、害蟲駆除を請け負ったり、特急便として活躍したりしている。害蟲駆除も兼業していることからもわかる通り、その戦闘技術も高く、今となっては天空世界の治安維持に欠かせないチームの一つとなっていた。

 今回は、チーム《ラピュタ》の所有する飛空艇「白波号」での話となるー。
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