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チーム《ユグドラシル》と教会騎士たち(第9話)
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晶とモリガンが攻勢に出るー。
「晶、わしがバックアップする。攻撃は頼むぞな」
「わかった!」
モリガンの両手から魔力が放たれる。その魔力は、晶の体にまとわりつき、彼の防御力を著しく高めた。敵の攻撃能力が完全にわかったわけではない以上、思わぬ攻撃を受ける可能性もある。モリガンは、少しでも前衛で戦う晶の守りを補強しておく必要があると判断したのだ。
「おらあ!」
晶の魔笛剣が蟲憑きを捉えたーかのように見えた。しかし、次の瞬間ー!
「・・・!何だと!?」
蟲憑きが目の前から消えた・・・?魔笛剣は、今まで蟲憑きが立っていた場所を虚しく斬りつけただけだった。当然ながら、手ごたえは全くなかった。
「まさか、瞬間移動もできるのか、あいつ」
晶が素早く周囲を見回す。だが、肝心の蟲憑きの姿はどこにも発見できなかった。
「・・・!晶、そいつの能力は瞬間移動ではない!!」
モリガンが何かに気が付いたのか、晶に注意を促しつつ、素早く次の術式を構成し始めた。
「斬れぬ体にして、お主の剣を通り抜けたんじゃよ」
「・・・!!」
斬れない体だと・・・?
確かに、今こちらが放った斬撃には全く手ごたえを感じなかった。しかし、普通に回避したという感じではない。そもそも、蟲憑きの姿が見えない・・・。
・・・姿が、見えない・・・?
「奴は、まだお主の目の前におるんじゃ。多分、体そのものを、完全に魔力化して逃れたんじゃろう」
魔力化した・・・?
そう言えば、高度な魔法の中には、自身の肉体そのものを状態変化させてさせてしまうものがあると、昔誰かから聞いたことがある。例えば、体を液体化するとか、気体にするとか・・・。
見た感じ、液化したわけではない。ならば・・・。
「自分の体ーというか、憑りついた人間の体を魔力の霧に変えたってのか・・・?」
「その通りじゃ・・・よく周囲の魔力の波動を探ってみぃ。姿は消えたはずなのに、濃度はかわっておらんではないか」
普段はチームの問題児とはいえ、さすがは「秋の領域」最大の魔女殿である。魔術関連のことなら彼女の右に出るものはいない。
「・・・なるほどな。状態変化系の魔法を使う蟲憑きか・・・」
尤も、それだけではまだこいつに知性があるのかどうかは判別できない。蟲そのものの能力ではなく、憑りついた人間の能力を蟲が本能的に使用したという可能性も捨てきれないからだ。
だが、これほど高度の魔法を使いこなすとなればー。
「この蟲憑き、知性がある可能性が高いぞ」
「そうじゃな」
「つまり、頭のいい蟲憑きさんということだね」
二人の戦いを見守っていた早苗が、今度は自分も参戦しようと、自身の鉄扇を構えた。
「霧ーつまりは気化する相手なら、私の出番かな、晶君」
右手の鉄扇で口元を隠しつつ、左手の鉄扇を前方に突き出しながら、早苗は戦いの場に躍り出ようとする。口元が鉄扇で隠されているために、直接の表情は読み取りにくいが・・・目元は確認できた。
おそらく、彼女は微笑んでいるーとはいっても、それは獲物を前にした猟犬の如く、危険さに満ちた微笑みであった。気が付いた者は、おそらく背筋がゾクリとするような・・・怖い微笑み。
和泉鏡香とはまた違った怖さと残酷さを含み、さらには彼女特有の無邪気さもブレンドされた笑いー。
だからこそ、彼女にこの場を任せることができる。
「ああ、わかった」
晶がその場を早苗に譲る。
「ここは任せる、清野」
「うん」
早苗が前に進み出たー。
「晶、わしがバックアップする。攻撃は頼むぞな」
「わかった!」
モリガンの両手から魔力が放たれる。その魔力は、晶の体にまとわりつき、彼の防御力を著しく高めた。敵の攻撃能力が完全にわかったわけではない以上、思わぬ攻撃を受ける可能性もある。モリガンは、少しでも前衛で戦う晶の守りを補強しておく必要があると判断したのだ。
「おらあ!」
晶の魔笛剣が蟲憑きを捉えたーかのように見えた。しかし、次の瞬間ー!
「・・・!何だと!?」
蟲憑きが目の前から消えた・・・?魔笛剣は、今まで蟲憑きが立っていた場所を虚しく斬りつけただけだった。当然ながら、手ごたえは全くなかった。
「まさか、瞬間移動もできるのか、あいつ」
晶が素早く周囲を見回す。だが、肝心の蟲憑きの姿はどこにも発見できなかった。
「・・・!晶、そいつの能力は瞬間移動ではない!!」
モリガンが何かに気が付いたのか、晶に注意を促しつつ、素早く次の術式を構成し始めた。
「斬れぬ体にして、お主の剣を通り抜けたんじゃよ」
「・・・!!」
斬れない体だと・・・?
確かに、今こちらが放った斬撃には全く手ごたえを感じなかった。しかし、普通に回避したという感じではない。そもそも、蟲憑きの姿が見えない・・・。
・・・姿が、見えない・・・?
「奴は、まだお主の目の前におるんじゃ。多分、体そのものを、完全に魔力化して逃れたんじゃろう」
魔力化した・・・?
そう言えば、高度な魔法の中には、自身の肉体そのものを状態変化させてさせてしまうものがあると、昔誰かから聞いたことがある。例えば、体を液体化するとか、気体にするとか・・・。
見た感じ、液化したわけではない。ならば・・・。
「自分の体ーというか、憑りついた人間の体を魔力の霧に変えたってのか・・・?」
「その通りじゃ・・・よく周囲の魔力の波動を探ってみぃ。姿は消えたはずなのに、濃度はかわっておらんではないか」
普段はチームの問題児とはいえ、さすがは「秋の領域」最大の魔女殿である。魔術関連のことなら彼女の右に出るものはいない。
「・・・なるほどな。状態変化系の魔法を使う蟲憑きか・・・」
尤も、それだけではまだこいつに知性があるのかどうかは判別できない。蟲そのものの能力ではなく、憑りついた人間の能力を蟲が本能的に使用したという可能性も捨てきれないからだ。
だが、これほど高度の魔法を使いこなすとなればー。
「この蟲憑き、知性がある可能性が高いぞ」
「そうじゃな」
「つまり、頭のいい蟲憑きさんということだね」
二人の戦いを見守っていた早苗が、今度は自分も参戦しようと、自身の鉄扇を構えた。
「霧ーつまりは気化する相手なら、私の出番かな、晶君」
右手の鉄扇で口元を隠しつつ、左手の鉄扇を前方に突き出しながら、早苗は戦いの場に躍り出ようとする。口元が鉄扇で隠されているために、直接の表情は読み取りにくいが・・・目元は確認できた。
おそらく、彼女は微笑んでいるーとはいっても、それは獲物を前にした猟犬の如く、危険さに満ちた微笑みであった。気が付いた者は、おそらく背筋がゾクリとするような・・・怖い微笑み。
和泉鏡香とはまた違った怖さと残酷さを含み、さらには彼女特有の無邪気さもブレンドされた笑いー。
だからこそ、彼女にこの場を任せることができる。
「ああ、わかった」
晶がその場を早苗に譲る。
「ここは任せる、清野」
「うん」
早苗が前に進み出たー。
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