139 / 464
チーム《ユグドラシル》と教会騎士たち(第3話)
しおりを挟む
「気を取り直して・・・本題に入ろう」
こほんと咳ばらいをしながら、ゼクスは今日の出来事を《ユグドラシル》の面々に伝えた。公園から少し先の林の中で、魔物と遭遇したこと。さらには、その魔物がどうやら「蟲憑き」によって操られている可能性があるということー。
「なるほど、蟲憑きなら、確かにオレたちが適任だな」
魔物の相手は教会側でも何とかなるが、蟲が関係してくるとなると、やはり自分たちの出番だろう。
そして、おそらくだがその「蟲憑き」は、ベンジャミンの話の中にも出ていた「人間の姿をした怪しげな奴」といったところか。
「オレたちも、そいつには思い当たるふしがあるな・・・」
「そうじゃな、そいつがベンジャミンの言っていたやつで間違いないじゃろう」
さっそく、モリガンが使い魔を生み出す。魔物の様子はゼクスの使役するFOが監視しているが、一応モリガンも使い魔に様子を探らせてみることにした。
「行ってくるのじゃ」
可愛らしい単眼の蝙蝠使い魔が、ぱたぱたと夜の街を飛び回る。その動きだけを見ればまさに蝙蝠である。この使い魔は、対象の魔力の波動に反応するように手を加えてあるので、目標に向かって迷うことなく飛んでいくことができた。
「しっかし、それにしてもお前ら教会側の連中もこの地下世界に来ているとは思わなかったな・・・まあ、事情は詮索するつもりはないが・・・」
他チームの行動に関してあれこれと詮索すべきではないだろう。今回は、とりあえずこれから共闘することになるとはいえ、基本的にはすべての他チームとライバル関係にあるというのを忘れてはならない。
「まあ、僕らにもいろいろあるのさ・・・君たちこそ、こんな地下世界くんだりまで来ているとは思わなかったよ」
「はん、神様の教えを広めるのに、大樹も地下もあるかってんだ」
「・・・」
この眼帯シスター殿は、今の今まで布教活動らしいことは行ったことはなかった。それどころか、何かにつけて周囲のチンピラどもを怒鳴るわボコるわで、およそ一般的な「聖職者」のイメージとは全くそぐわない行いばかりしている。
これでシスターを名乗るのだから、世の中本当に不思議なものである・・・。
「お前さんが教えを広めるのか?わしには到底信じられんぞ」
「んだと、このロリ魔女!てめえにはこのあたしのありがたい説教が必要そうだな」
「誰がロリ魔女か!毎度毎度屁理屈ばかり並べる生臭シスターが!!」
「てめえ、やんのかこらぁ!!」
眼帯シスター殿とお騒がせ魔女殿が不毛な言い争いを始める。どちらともチームの「問題児」でもあり、顔を合わせるたびに何かとケンカばかりしていた・・・。
まあ、一種の「同族嫌悪」と言えなくもない。
「お前ら、その辺にしとけ。そろそろ蟲憑きを倒しに行くぞ」
これ以上彼女たちに付き合っていては時間の無駄である。
「そうじゃな、相手が移動しないうちに何とかせねば」
「ちっ、まあ逃げられでもしたら面倒だしな」
モリガンもイリアも、一時休戦し、敵を倒すべくみんなと目的地へと向かったー。
こほんと咳ばらいをしながら、ゼクスは今日の出来事を《ユグドラシル》の面々に伝えた。公園から少し先の林の中で、魔物と遭遇したこと。さらには、その魔物がどうやら「蟲憑き」によって操られている可能性があるということー。
「なるほど、蟲憑きなら、確かにオレたちが適任だな」
魔物の相手は教会側でも何とかなるが、蟲が関係してくるとなると、やはり自分たちの出番だろう。
そして、おそらくだがその「蟲憑き」は、ベンジャミンの話の中にも出ていた「人間の姿をした怪しげな奴」といったところか。
「オレたちも、そいつには思い当たるふしがあるな・・・」
「そうじゃな、そいつがベンジャミンの言っていたやつで間違いないじゃろう」
さっそく、モリガンが使い魔を生み出す。魔物の様子はゼクスの使役するFOが監視しているが、一応モリガンも使い魔に様子を探らせてみることにした。
「行ってくるのじゃ」
可愛らしい単眼の蝙蝠使い魔が、ぱたぱたと夜の街を飛び回る。その動きだけを見ればまさに蝙蝠である。この使い魔は、対象の魔力の波動に反応するように手を加えてあるので、目標に向かって迷うことなく飛んでいくことができた。
「しっかし、それにしてもお前ら教会側の連中もこの地下世界に来ているとは思わなかったな・・・まあ、事情は詮索するつもりはないが・・・」
他チームの行動に関してあれこれと詮索すべきではないだろう。今回は、とりあえずこれから共闘することになるとはいえ、基本的にはすべての他チームとライバル関係にあるというのを忘れてはならない。
「まあ、僕らにもいろいろあるのさ・・・君たちこそ、こんな地下世界くんだりまで来ているとは思わなかったよ」
「はん、神様の教えを広めるのに、大樹も地下もあるかってんだ」
「・・・」
この眼帯シスター殿は、今の今まで布教活動らしいことは行ったことはなかった。それどころか、何かにつけて周囲のチンピラどもを怒鳴るわボコるわで、およそ一般的な「聖職者」のイメージとは全くそぐわない行いばかりしている。
これでシスターを名乗るのだから、世の中本当に不思議なものである・・・。
「お前さんが教えを広めるのか?わしには到底信じられんぞ」
「んだと、このロリ魔女!てめえにはこのあたしのありがたい説教が必要そうだな」
「誰がロリ魔女か!毎度毎度屁理屈ばかり並べる生臭シスターが!!」
「てめえ、やんのかこらぁ!!」
眼帯シスター殿とお騒がせ魔女殿が不毛な言い争いを始める。どちらともチームの「問題児」でもあり、顔を合わせるたびに何かとケンカばかりしていた・・・。
まあ、一種の「同族嫌悪」と言えなくもない。
「お前ら、その辺にしとけ。そろそろ蟲憑きを倒しに行くぞ」
これ以上彼女たちに付き合っていては時間の無駄である。
「そうじゃな、相手が移動しないうちに何とかせねば」
「ちっ、まあ逃げられでもしたら面倒だしな」
モリガンもイリアも、一時休戦し、敵を倒すべくみんなと目的地へと向かったー。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
異世界ライフの楽しみ方
呑兵衛和尚
ファンタジー
それはよくあるファンタジー小説みたいな出来事だった。
ラノベ好きの調理師である俺【水無瀬真央《ミナセ・マオ》】と、同じく友人の接骨医にしてボディビルダーの【三三矢善《サミヤ・ゼン》】は、この信じられない現実に戸惑っていた。
俺たち二人は、創造神とかいう神様に選ばれて異世界に転生することになってしまったのだが、神様が言うには、本当なら選ばれて転生するのは俺か善のどちらか一人だけだったらしい。
ちょっとした神様の手違いで、俺たち二人が同時に異世界に転生してしまった。
しかもだ、一人で転生するところが二人になったので、加護は半分ずつってどういうことだよ!!
神様との交渉の結果、それほど強くないチートスキルを俺たちは授かった。
ネットゲームで使っていた自分のキャラクターのデータを神様が読み取り、それを異世界でも使えるようにしてくれたらしい。
『オンラインゲームのアバターに変化する能力』
『どんな敵でも、そこそこなんとか勝てる能力』
アバター変更後のスキルとかも使えるので、それなりには異世界でも通用しそうではある。
ということで、俺達は神様から与えられた【魂の修練】というものを終わらせなくてはならない。
終わったら元の世界、元の時間に帰れるということだが。
それだけを告げて神様はスッと消えてしまった。
「神様、【魂の修練】って一体何?」
そう聞きたかったが、俺達の転生は開始された。
しかも一緒に落ちた相棒は、まったく別の場所に落ちてしまったらしい。
おいおい、これからどうなるんだ俺達。
スキル【合成】が楽しすぎて最初の村から出られない
紅柄ねこ(Bengara Neko)
ファンタジー
15歳ですべての者に授けられる【スキル】、それはこの世界で生活する為に必要なものであった。
世界は魔物が多く闊歩しており、それによって多くの命が奪われていたのだ。
ある者は強力な剣技を。またある者は有用な生産スキルを得て、生活のためにそれらを使いこなしていたのだった。
エメル村で生まれた少年『セン』もまた、15歳になり、スキルを授かった。
冒険者を夢見つつも、まだ村を出るには早いかと、センは村の周囲で採取依頼をこなしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる