テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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チーム《ユグドラシル》と教会騎士たち(第2話)

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 ゼクスとイリアは、チーム《ユグドラシル》のメンバーが泊っているベンジャミンの家へとたどり着いた。

「ごめんください」

 ゼクスが挨拶役になる。イリアは、こういうのは苦手であった。

「はーい」

 家の中から、なんと巨大な土竜が現れた。腰にはエプロンを巻いており、どうやら夕食の支度をしていたようだった。母土竜だろうか・・・。

 夕飯時に尋ねるというのも、なんだかご迷惑な気もするが、今は緊急事態なだけにやむを得なかった。

「!」

 いきなりの土竜の出現に、思わず息を呑むイリアであったが、事前に、この街にはいろいろな種族が生活していることを知っていたので、すぐにここが土竜たちの家なんだなと納得した。

「すいません、こんな遅い時間に突然・・・実は、僕たちは・・・」

 ゼクスが簡単に自分たちの身の上を説明する。とはいっても、せいぜいが教会のシスターとその親友といったくらいに留めたが・・・。

「こちらに害蟲駆除を専門にしている方々が泊っていると聞いたのですが・・・」

 実際には、夕方の時点で彼らを目撃していたのだが、とりあえず「人から聞いた」ということにしておく。

「ああ、晶さん達のことですね。お呼びしましょうか?」

「すいません、こんな遅い時間に・・・どうかよろしくお願いします」

 二人とも、晶たちとは面識がある。とはいっても、さほど親しいというわけではないし、そもそも別チームなので、ライバル関係にもあたる。

 とはいえ、今回は敵の性質上、共闘した方がいいのは確かであった。

「すいません、お待たせしました」

 家の中から、土竜の夫妻とともに、《ユグドラシル》の面々が顔を出した。

「やあ、久しぶりだね、晶たち」

「ゼクスたちか・・・数か月ぶりってところか」

 ゼクスと晶が軽く挨拶し合う。その隣では・・・、

「おお、久しいのう、イリアよ」

「ヤッホー、久しぶりだねぇ、イリアちゃん」

「ウニャー」

「お前らも元気そうじゃねえか」

 不敵な笑みを浮かべつつ、イリアは《ユグドラシル》の面々を見やる。一応ライバル関係にある以上、完全に気を許しているわけではない・・・。

「まあ、相変わらずの姦しさで安心したぜ」

 皮肉たっぷりにイリアが言う。そして、その一言に素早く反応したのは、他でもない相棒のゼクスだった。

「・・・君に姦しいなんて言われたらおしまいだな」

「うるせえ!」

 そんな二人のやり取りを見て、早苗がポツリと漏らす。

「やっぱり、ゼクス君とイリアちゃんはお似合いだねぇ~、素敵なカップルさんだ」

「はあっ!?」

 ゼクスとイリアがほぼ同時に素っ頓狂な声を上げた。不意打ちだっただけに、焦りと困惑も隠すことができないでいるようだ。

「・・・いや、僕らはただの同じチームメンバーというだけで・・・」

「あたしはシスターだぞ。シスターってのはな、みんな神様と結婚しているんだ。だから人間の男になんて靡かねえよ!」

 照れ隠しなのか、イリアは、顔を真っ赤にしながら必死に弁明する。

「それに、神様だって、あたしらみたいな超絶美少女シスター軍団と結ばれてウハウハってところだろ。まさに神様はハーレム状態じゃねえか!それだけ神様に尽くしてるってことだぜ!!某共和国の将軍様の喜〇組もマッツァオってやつだな!」

 ・・・やはり、親指を立てて「グー」のポーズを決めながら、自説をまくしたてるイリア。さらには、話題にしてはいけない国家と人物の話が出てきたような気がする・・・。

「・・・イリア、それどういう理屈だよ・・・」

 そんなイリアに対して、もはやどう突っ込んでいいのかわからないゼクスであった。この眼帯シスター殿の勝手な理屈には、毎度のことながらついていけそうもない・・・。

「うんうん、いつも通りのイリアちゃんだ」

 早苗がそんな二人の様子をみて何やら一人で納得している。

「やっぱりお二人はお似合いのカップルさんだ」

「だから、違うって!」

 ゼクスとイリアの声がハモりながら、夜の街に響いたー。
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