116 / 464
土竜の街は・・・?(第1話)
しおりを挟む
何とか、土竜たちの集落にたどり着いた晶たち一行。
目の前には、地下でありながら立派な門がある。
「ここがベンジャミン達が住んでいる場所か・・・ずいぶんと立派な門だな」
「そりゃあ、おいらたちの街は、この辺りでは一番大きな場所だからな。見栄えが悪いと恰好が付かないだろ」
「一番大きいって・・・ベンジャミンよ、お主らの集落以外もこの近くにあるのかえ?」
モリガンが小首をかしげながらベンジャミンに尋ねる。さすがの魔女殿も、この近辺に他の集落があるとは思わなかったようだ。
「そりゃあ、もちろんあるさ。この近くだと、北西方向に歩いて半日くらいで他の街もあるぞ」
「おお」
地下世界のことなど全く知らない晶たちにとって、他の集落の存在など考えもしなかった。ゆえに、ベンジャミンの話はかなり貴重である。
「近くの街と交易もやっているからな」
「そこら辺は、地上と同じってわけか・・・なるほどな」
晶個人としては、ぜひ行ってみたい気持ちもあるが、さすがに今はこの集落の問題に集中しなければならない。もっとも、他の街の話くらいならあとで訊いてみてもいいだろう。
「ちょっと待ってな、今門番に話を通すから」
よく見ると、ベンジャミンとは異なる種族が門の傍に構えている。少なくとも土竜ではないが・・・。
「あれは・・・前文明時代に地下に逃れた人間が変異した種族じゃな」
モリガンが小声で晶に囁いた。
浅黒い肌に、人間よりも背丈は低めだが、がっしりとした体型。髭面・・・と、まるで、彼らは・・・。
「前文明時代のおとぎ話などに出てくるドワーフってやつに似ているな」
「前文明時代にはいなかった・・・というか、前文明時代は人間オンリーじゃったからな。前文明の崩壊後、生き残った人間が、それぞれの活動地域で独自に適応していった。そこに魔力の影響が加わり、亜人種と呼ばれる種族が現れたわけじゃ。あいつらは、ドワーフに似ているから、そのままドワーフで通っておるようじゃがのう」
前文明時代において、エルフやドワーフなどはおとぎ話や神話、ファンタジーの中にしか存在しえない架空の種族だった。しかし、その前文明が突如の崩壊を迎え、その後世界各地に出現した魔力の流れの影響を色濃く受けた一部の人間たちが、それぞれ亜人種化していったという説がある。
そして、それぞれの種族は、前文明時代の神話やファンタジーをもとにして、その容姿や特徴にちなんでエルフやドワーフなどと呼ばれているのだ。中には、昆虫のような透明な翅と触覚を持つロカ族という新種の種族も存在する。
ちなみに、害蟲の上位種である亜人種型は、現文明と共に発生した蟲を起源としているので、人間起源である彼らとは全く異なる存在である。
「まあ、あやつらの種族は、もともと地下での暮らしが長いからのう。土竜たちとも仲がいいのかもしれん」
「しかし、ベンジャミンの話だと、土竜以外の連中もいそうだけどな、この街。結構大きいようだし」
おそらく、「人種のるつぼ」みたいな形で、様々な種族が混在しているのではないかと推測されるが、それは、これから実際に入ってみればわかることである。
「晶たち、門を通してくれるって」
ベンジャミンがこちらを呼んでいる。さっそく、街の中の様子を確認できるようだ。
「よ~し、早く行こうよ、晶君」
早苗が、待ちきれないといった様子で晶を促す。
「それもそうだな、よし、行くか」
晶たちは、ベンジャミンの後を追って門をくぐったー。
目の前には、地下でありながら立派な門がある。
「ここがベンジャミン達が住んでいる場所か・・・ずいぶんと立派な門だな」
「そりゃあ、おいらたちの街は、この辺りでは一番大きな場所だからな。見栄えが悪いと恰好が付かないだろ」
「一番大きいって・・・ベンジャミンよ、お主らの集落以外もこの近くにあるのかえ?」
モリガンが小首をかしげながらベンジャミンに尋ねる。さすがの魔女殿も、この近辺に他の集落があるとは思わなかったようだ。
「そりゃあ、もちろんあるさ。この近くだと、北西方向に歩いて半日くらいで他の街もあるぞ」
「おお」
地下世界のことなど全く知らない晶たちにとって、他の集落の存在など考えもしなかった。ゆえに、ベンジャミンの話はかなり貴重である。
「近くの街と交易もやっているからな」
「そこら辺は、地上と同じってわけか・・・なるほどな」
晶個人としては、ぜひ行ってみたい気持ちもあるが、さすがに今はこの集落の問題に集中しなければならない。もっとも、他の街の話くらいならあとで訊いてみてもいいだろう。
「ちょっと待ってな、今門番に話を通すから」
よく見ると、ベンジャミンとは異なる種族が門の傍に構えている。少なくとも土竜ではないが・・・。
「あれは・・・前文明時代に地下に逃れた人間が変異した種族じゃな」
モリガンが小声で晶に囁いた。
浅黒い肌に、人間よりも背丈は低めだが、がっしりとした体型。髭面・・・と、まるで、彼らは・・・。
「前文明時代のおとぎ話などに出てくるドワーフってやつに似ているな」
「前文明時代にはいなかった・・・というか、前文明時代は人間オンリーじゃったからな。前文明の崩壊後、生き残った人間が、それぞれの活動地域で独自に適応していった。そこに魔力の影響が加わり、亜人種と呼ばれる種族が現れたわけじゃ。あいつらは、ドワーフに似ているから、そのままドワーフで通っておるようじゃがのう」
前文明時代において、エルフやドワーフなどはおとぎ話や神話、ファンタジーの中にしか存在しえない架空の種族だった。しかし、その前文明が突如の崩壊を迎え、その後世界各地に出現した魔力の流れの影響を色濃く受けた一部の人間たちが、それぞれ亜人種化していったという説がある。
そして、それぞれの種族は、前文明時代の神話やファンタジーをもとにして、その容姿や特徴にちなんでエルフやドワーフなどと呼ばれているのだ。中には、昆虫のような透明な翅と触覚を持つロカ族という新種の種族も存在する。
ちなみに、害蟲の上位種である亜人種型は、現文明と共に発生した蟲を起源としているので、人間起源である彼らとは全く異なる存在である。
「まあ、あやつらの種族は、もともと地下での暮らしが長いからのう。土竜たちとも仲がいいのかもしれん」
「しかし、ベンジャミンの話だと、土竜以外の連中もいそうだけどな、この街。結構大きいようだし」
おそらく、「人種のるつぼ」みたいな形で、様々な種族が混在しているのではないかと推測されるが、それは、これから実際に入ってみればわかることである。
「晶たち、門を通してくれるって」
ベンジャミンがこちらを呼んでいる。さっそく、街の中の様子を確認できるようだ。
「よ~し、早く行こうよ、晶君」
早苗が、待ちきれないといった様子で晶を促す。
「それもそうだな、よし、行くか」
晶たちは、ベンジャミンの後を追って門をくぐったー。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
スキル【合成】が楽しすぎて最初の村から出られない
紅柄ねこ(Bengara Neko)
ファンタジー
15歳ですべての者に授けられる【スキル】、それはこの世界で生活する為に必要なものであった。
世界は魔物が多く闊歩しており、それによって多くの命が奪われていたのだ。
ある者は強力な剣技を。またある者は有用な生産スキルを得て、生活のためにそれらを使いこなしていたのだった。
エメル村で生まれた少年『セン』もまた、15歳になり、スキルを授かった。
冒険者を夢見つつも、まだ村を出るには早いかと、センは村の周囲で採取依頼をこなしていた。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる