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西遊記ならぬニャイ遊記(第7話)
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「肝心なことを忘れていたが・・・」
「?なんじゃ、晶よ。藪から棒に」
ミケさんの「パワーアップ」を確認し終わってから、突然晶が話題を変えた。それに対して、怪訝そうな表情で尋ねるモリガンである。
「・・・お前のことだよ、モリガン」
「む・・・」
「今回、リリィさんに来てもらったのは、そもそもお前に原因があるだろう。忘れたのか、調合の件を」
「・・・あ・・・」
ようやく、モリガンも思い出したようだった。
そもそも、魔女組合のリリィにわざわざこちらまで来てもらったのは、モリガンの調合の腕を何とかする必要があったからだ。
このアトリエで、調合に失敗するたびに、あのベンジャミンのように迷惑を被る者がいるのは、さすがに問題である。
「お前の調合の腕前を上げない限り、また抗議が来るだろう。ミケさんだけでなく、お前ももう少し進歩しないとな」
「・・・全くその通りじゃな・・・」
返す言葉もないモリガンである。さすがに、今回の一件で自分の調合の腕前に問題があるということを自覚させられたのだろう。
「我輩、またベンジャミンに捕まるのはいやニャー」
魔道具を外し、元の姿に戻ったミケさんがガクブル状態で言った。よほど、ベンジャミンに捕まえられたのがこたえたようだった・・・。
「まあ、そういう時のためにも、ミケさんには自衛手段を身に着けてほしかったんだが・・・その件に関してはこの際保留にしておこう」
晶は、コホンと軽く咳払いすると、
「リリィさん、一度モリガンの調合の様子をご覧になっていただけませんか。まあ、失敗前提ということにはなりますが・・・」
「モリガンちゃん、そんなに調合が苦手なんですか?」
組合の人間であるとはいえ、さすがに個人の範囲でやっている調合の腕前までは把握していなかったのだろう。意外そうな顔で、リリィが逆に尋ねてきた。
晶は、多少目を泳がせつつ・・・。
「ああ、いや、まあ百聞は一見に如かずともいいますし、まずは実際にご覧になっていただければ、大体事情は分かるかと思いますよ」
口で説明するより、モリガン自身に実演させた方が説得力があるだろう。
「それじゃ、モリガン。何か調合してみてくれ」
というわけで、モリガンに調合の実演を依頼する。
「わかったのじゃ。作る物は、何でもいいのかえ?」
「かまわないよ。そもそも、まともな物ができるとも思ってないけどな」
「・・・晶よ、最近遠慮がなくなっておらんか?」
愚痴をこぼしつつも、モリガンはさっそく魔女の巨釜に向かった。
「リリィさん、いつでも外に逃げられるように、あらかじめ心の準備だけはしておいてくださいね」
小声でリリィに注意を促す。
「はあ・・・」
事情がよくわからないリリィは、生返事を返すしかなかった。
「また、ドカーンと大爆発するんだねぇ」
早苗に至っては、既に調合=爆発と思っているようだ。だが、それもあながち間違っているとも言い難い・・・。
「・・・おぬしら、好き勝手なことばかり言いおってからに・・・まあ、よい。今度は見事成功させてくれるわ!」
さすがに、ここまでコケにされたとあっては、魔女のプライドにも傷がつくというものだ。
自らの力を見せつけるべく、モリガンはさっそく、調合を開始することにしたー。
「?なんじゃ、晶よ。藪から棒に」
ミケさんの「パワーアップ」を確認し終わってから、突然晶が話題を変えた。それに対して、怪訝そうな表情で尋ねるモリガンである。
「・・・お前のことだよ、モリガン」
「む・・・」
「今回、リリィさんに来てもらったのは、そもそもお前に原因があるだろう。忘れたのか、調合の件を」
「・・・あ・・・」
ようやく、モリガンも思い出したようだった。
そもそも、魔女組合のリリィにわざわざこちらまで来てもらったのは、モリガンの調合の腕を何とかする必要があったからだ。
このアトリエで、調合に失敗するたびに、あのベンジャミンのように迷惑を被る者がいるのは、さすがに問題である。
「お前の調合の腕前を上げない限り、また抗議が来るだろう。ミケさんだけでなく、お前ももう少し進歩しないとな」
「・・・全くその通りじゃな・・・」
返す言葉もないモリガンである。さすがに、今回の一件で自分の調合の腕前に問題があるということを自覚させられたのだろう。
「我輩、またベンジャミンに捕まるのはいやニャー」
魔道具を外し、元の姿に戻ったミケさんがガクブル状態で言った。よほど、ベンジャミンに捕まえられたのがこたえたようだった・・・。
「まあ、そういう時のためにも、ミケさんには自衛手段を身に着けてほしかったんだが・・・その件に関してはこの際保留にしておこう」
晶は、コホンと軽く咳払いすると、
「リリィさん、一度モリガンの調合の様子をご覧になっていただけませんか。まあ、失敗前提ということにはなりますが・・・」
「モリガンちゃん、そんなに調合が苦手なんですか?」
組合の人間であるとはいえ、さすがに個人の範囲でやっている調合の腕前までは把握していなかったのだろう。意外そうな顔で、リリィが逆に尋ねてきた。
晶は、多少目を泳がせつつ・・・。
「ああ、いや、まあ百聞は一見に如かずともいいますし、まずは実際にご覧になっていただければ、大体事情は分かるかと思いますよ」
口で説明するより、モリガン自身に実演させた方が説得力があるだろう。
「それじゃ、モリガン。何か調合してみてくれ」
というわけで、モリガンに調合の実演を依頼する。
「わかったのじゃ。作る物は、何でもいいのかえ?」
「かまわないよ。そもそも、まともな物ができるとも思ってないけどな」
「・・・晶よ、最近遠慮がなくなっておらんか?」
愚痴をこぼしつつも、モリガンはさっそく魔女の巨釜に向かった。
「リリィさん、いつでも外に逃げられるように、あらかじめ心の準備だけはしておいてくださいね」
小声でリリィに注意を促す。
「はあ・・・」
事情がよくわからないリリィは、生返事を返すしかなかった。
「また、ドカーンと大爆発するんだねぇ」
早苗に至っては、既に調合=爆発と思っているようだ。だが、それもあながち間違っているとも言い難い・・・。
「・・・おぬしら、好き勝手なことばかり言いおってからに・・・まあ、よい。今度は見事成功させてくれるわ!」
さすがに、ここまでコケにされたとあっては、魔女のプライドにも傷がつくというものだ。
自らの力を見せつけるべく、モリガンはさっそく、調合を開始することにしたー。
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