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調合開始じゃ!(第4話)
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ー「毒舌ニャンドラゴラ」の処分をどうするのかー。
「まあ、可哀そうではあるが、蟲と同じで放置しておくとどうなるかわからないので、駆除することにしよう」
「ええ、可哀そうだよぉ、それは」
「毒舌ニャンドラゴラ」の処分を決定した晶に対し、早苗が抗議の声を上げた。
まあ、考えてみれば、確かに悪いことは一切していないし(少なくとも現時点においての話だが)、害蟲でもないので、駆除の対象ではないのだが・・・。
「しかしなあ、清野。こいつら放置しておいてどんな影響が出るのか・・・それに、元の素材は毒キノコだし」
調合に使われた素材が毒キノコばかりというのも見逃せない点だ。しかも、どのキノコも強力な毒性を有しており、万が一その毒が付近の生態系やコミュニティのシヴィリアンズにまで及ぶことになれば、これはさすがに看過できない事態となる。
「我輩ニョようニャ猫でも食べられませんニャー」
酒をちびちびやりながら、ミケさんが言った。なんとも呑気そうに見えるのは気のせいだろうか・・・。
どうやら、このふてぶてしいミケさんでさえ食べられないキノコばかりだったようだーちなみに、ミケさんは正確には「猫」ではなく「蟲」である。蟲も食えない毒キノコとは、ある意味恐ろしいものがある・・・。
それにしても、なんで新種のポーションを作ろうとして、意味不明な魔法植物を生み出してしまったのかーまったくもって、我がチームの魔女殿の魔力の偉大さには頭が下がる思いである。
・・・はっきり言って、頭が痛い。
「うーん、でも何とかならないのかなぁ」
早苗は、まだ諦め切れない様子だった。元々、性格が穏やかで優しい早苗だ。可能であれば、何とかしてやりたいところではあるが・・・。
まあ、こんなふざけたやつらでも、一応は命だし、無駄に奪うこともないか・・・。
晶はため息をついて、この事態を引き起こした魔女殿に問い詰める。
「おい、モリガン。仮にこいつらを退治せずに済ませるとして・・・その手段はあるのか?」
「何かに封じ込めて、その後、こやつらが迷惑をかけない場所へと移動させるしかないかのう」
「こいつらを封じ込められる魔法道具と、あとはこいつらが生息するのに適した場所の確保か」
なんだかんだで、結構面倒なことになりそうだ。そもそも、こいつらを閉じ込める魔法道具にしろ、肝心のものはアトリエの中であり、もはや事態が収まるまで回収は無理そうである。そして、そのアトリエはいまだ煙を出しまくっていた。当然ながら、一向に収まる気配はない。
さらには、こいつらが生息するのに適した場所というのも、そう簡単には思いつかなかった。そういった場所が狩りにあるとして、地面に埋めてしまうとか?ただ、引っこ抜かれないようにきわめて地中深くに埋める必要はありそうだが・・・。
「やっつけるのが一番手っ取り早いといえばそうだが・・・清野は嫌がるだろうしな」
「当然だよ!」
早苗の意向を無視してまで退治するのも気がひける。まあ、こいつらの動きを止めるくらいなら、モリガンの魔法でも何とかなりそうだし、アトリエの自動修復機能が働いて、中から魔法道具を回収できるようになるまでは何とか我慢するか・・・。
「仕方がない、モリガン。とりあえず、こいつらの動きを抑えてくれないか。それくらいなら、お前さんの魔法で楽勝だろ?」
「当然じゃな。まあ、このわしに任せておれ」
得意満面といった感じのモリガンが、「毒舌ニャンドラゴラ」の前に躍り出る。しかし、その時に「こと」が起こったー。
「まあ、可哀そうではあるが、蟲と同じで放置しておくとどうなるかわからないので、駆除することにしよう」
「ええ、可哀そうだよぉ、それは」
「毒舌ニャンドラゴラ」の処分を決定した晶に対し、早苗が抗議の声を上げた。
まあ、考えてみれば、確かに悪いことは一切していないし(少なくとも現時点においての話だが)、害蟲でもないので、駆除の対象ではないのだが・・・。
「しかしなあ、清野。こいつら放置しておいてどんな影響が出るのか・・・それに、元の素材は毒キノコだし」
調合に使われた素材が毒キノコばかりというのも見逃せない点だ。しかも、どのキノコも強力な毒性を有しており、万が一その毒が付近の生態系やコミュニティのシヴィリアンズにまで及ぶことになれば、これはさすがに看過できない事態となる。
「我輩ニョようニャ猫でも食べられませんニャー」
酒をちびちびやりながら、ミケさんが言った。なんとも呑気そうに見えるのは気のせいだろうか・・・。
どうやら、このふてぶてしいミケさんでさえ食べられないキノコばかりだったようだーちなみに、ミケさんは正確には「猫」ではなく「蟲」である。蟲も食えない毒キノコとは、ある意味恐ろしいものがある・・・。
それにしても、なんで新種のポーションを作ろうとして、意味不明な魔法植物を生み出してしまったのかーまったくもって、我がチームの魔女殿の魔力の偉大さには頭が下がる思いである。
・・・はっきり言って、頭が痛い。
「うーん、でも何とかならないのかなぁ」
早苗は、まだ諦め切れない様子だった。元々、性格が穏やかで優しい早苗だ。可能であれば、何とかしてやりたいところではあるが・・・。
まあ、こんなふざけたやつらでも、一応は命だし、無駄に奪うこともないか・・・。
晶はため息をついて、この事態を引き起こした魔女殿に問い詰める。
「おい、モリガン。仮にこいつらを退治せずに済ませるとして・・・その手段はあるのか?」
「何かに封じ込めて、その後、こやつらが迷惑をかけない場所へと移動させるしかないかのう」
「こいつらを封じ込められる魔法道具と、あとはこいつらが生息するのに適した場所の確保か」
なんだかんだで、結構面倒なことになりそうだ。そもそも、こいつらを閉じ込める魔法道具にしろ、肝心のものはアトリエの中であり、もはや事態が収まるまで回収は無理そうである。そして、そのアトリエはいまだ煙を出しまくっていた。当然ながら、一向に収まる気配はない。
さらには、こいつらが生息するのに適した場所というのも、そう簡単には思いつかなかった。そういった場所が狩りにあるとして、地面に埋めてしまうとか?ただ、引っこ抜かれないようにきわめて地中深くに埋める必要はありそうだが・・・。
「やっつけるのが一番手っ取り早いといえばそうだが・・・清野は嫌がるだろうしな」
「当然だよ!」
早苗の意向を無視してまで退治するのも気がひける。まあ、こいつらの動きを止めるくらいなら、モリガンの魔法でも何とかなりそうだし、アトリエの自動修復機能が働いて、中から魔法道具を回収できるようになるまでは何とか我慢するか・・・。
「仕方がない、モリガン。とりあえず、こいつらの動きを抑えてくれないか。それくらいなら、お前さんの魔法で楽勝だろ?」
「当然じゃな。まあ、このわしに任せておれ」
得意満面といった感じのモリガンが、「毒舌ニャンドラゴラ」の前に躍り出る。しかし、その時に「こと」が起こったー。
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