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ユグドラシルの双子の主・和泉奏多(第7話)
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ーー吾妻晶視点ーー
奏多さんが、何かに思い至ったようだ。それが現状の突破口につながることを祈るばかりである。
無数の文字がバラバラに展開し、オレたちに襲い掛かる。何とか、相手の攻撃を回避しつつ、
「これは・・・力を出し惜しみしている場合ではないか」
オレは、自分の笛に魔力を込め始めた。この笛に正式名称はないが、一応「魔笛」とシンプルに呼んでいる。その名の通り、持ち主の魔力を増幅させ、また、必要に応じて魔力を物質化することも可能な魔導アイテムの一つだ。オレの結界術も、実はこの魔笛により増幅されている。こいつはブースターの役割も持って有しているのだ。
「魔笛解放」
オレの言葉に応じて、魔笛が輝きを帯びた。そして・・・魔笛の端から魔力が物質化されることでつくられた刃が出現した。
「晶君、君も戦うつもりか」
オレは、自らの魔笛を振りかざしながら、
「奏多さん、オレもある程度は戦えます。ただ、この剣でどこまで対抗できるか・・・」
実際、オレも戦闘経験はある。さすがにこのレベルのやつを相手にしたことはないが、ある程度レベルの低いやつらであれば、オレ一人で今まで対処してきた。この辺り一帯を蟲から守ってきたのも、実はオレだったりする。
この剣は、相手の魔力の供給を断つ効果もある。ゆえに、本体さえ斬ることができれば文字「達」を無力化することも可能のはずだ。
だが、今回の相手は、そもそも「核」を捉えることができない。奏多さんでも捉えられないのに、オレが確認できるわけがない。となると、この剣をもってしても、せいぜいが襲い来る文字を斬るくらいしかできないだろう。そして、いくら斬ったところで、また複写されれば結局は同じことの繰り返しとなってしまう。
弱点のわからない相手というのがいかに脅威であるのかということを改めて思い知らされた気分だった。
「多分、こいつらは斬っても駄目ですね。また複写されます。あくまでも、こちらに飛び掛ってきたやつを斬り払うくらいしか効果がなさそうですね・・・」
自分でいうのもなんだが、それくらいしかこの魔笛の使い道はないだろう。あとは、さらに結界を強化して閉じ込める・・・といっても、もうあれ以上の強度は保てない。結局は、このまま放置していても、結界を壊され、蟲に脱出を許してしまうことになる・・・。
と、その時だった。今までバラバラに動いていた文字の群れが、また集合化して、一つの形を作り始めた。
これは・・・剣か?
なんと、文字による巨大な剣が現れたのだった。オレの魔笛の能力をまねたのだろうか。そして、他の文字が巨大な人の形をとる。これではまるで、剣を持った巨人ではないかー
「オレの魔笛の能力をまねたのでしょうか。こいつも剣で勝負するつもりかな」
「そうらしいね。ただ、あっちは変幻自在な分、かなり厄介だよ」
奏多さんの言う通り、あちらは文字の集合体なので、状況次第でいくらでも姿を変えられる。それはすなわち、「ただの斬り合いで済むはずがない」ということを意味していた。
「相手の弱点さえわかれば、オレのこの剣で一撃で仕留めてやるんですが・・・」
「晶君、一つ、確認したいことがあるんだけど」
「?」
奏多さんが、何かに気が付いたというのは先ほども感じていたが、それが現状を打開するカギとなりえるのだろうか。例えば、相手の弱点につながる何か、とか。
少なくとも、現状ではオレの手に負えない。奏多さんに何か考えがあるのであれば、彼にかけるしかないだろう。
「本体からの魔力の供給を断つ方法があるかもしれない」
それは願ったり叶ったりだ。
「相手の「核」の魔力供給を断つことができれば勝機はあります。その、確認したいこととは?」
「実は・・・」
オレは奏多さんの話に耳を傾けることにしたー
奏多さんが、何かに思い至ったようだ。それが現状の突破口につながることを祈るばかりである。
無数の文字がバラバラに展開し、オレたちに襲い掛かる。何とか、相手の攻撃を回避しつつ、
「これは・・・力を出し惜しみしている場合ではないか」
オレは、自分の笛に魔力を込め始めた。この笛に正式名称はないが、一応「魔笛」とシンプルに呼んでいる。その名の通り、持ち主の魔力を増幅させ、また、必要に応じて魔力を物質化することも可能な魔導アイテムの一つだ。オレの結界術も、実はこの魔笛により増幅されている。こいつはブースターの役割も持って有しているのだ。
「魔笛解放」
オレの言葉に応じて、魔笛が輝きを帯びた。そして・・・魔笛の端から魔力が物質化されることでつくられた刃が出現した。
「晶君、君も戦うつもりか」
オレは、自らの魔笛を振りかざしながら、
「奏多さん、オレもある程度は戦えます。ただ、この剣でどこまで対抗できるか・・・」
実際、オレも戦闘経験はある。さすがにこのレベルのやつを相手にしたことはないが、ある程度レベルの低いやつらであれば、オレ一人で今まで対処してきた。この辺り一帯を蟲から守ってきたのも、実はオレだったりする。
この剣は、相手の魔力の供給を断つ効果もある。ゆえに、本体さえ斬ることができれば文字「達」を無力化することも可能のはずだ。
だが、今回の相手は、そもそも「核」を捉えることができない。奏多さんでも捉えられないのに、オレが確認できるわけがない。となると、この剣をもってしても、せいぜいが襲い来る文字を斬るくらいしかできないだろう。そして、いくら斬ったところで、また複写されれば結局は同じことの繰り返しとなってしまう。
弱点のわからない相手というのがいかに脅威であるのかということを改めて思い知らされた気分だった。
「多分、こいつらは斬っても駄目ですね。また複写されます。あくまでも、こちらに飛び掛ってきたやつを斬り払うくらいしか効果がなさそうですね・・・」
自分でいうのもなんだが、それくらいしかこの魔笛の使い道はないだろう。あとは、さらに結界を強化して閉じ込める・・・といっても、もうあれ以上の強度は保てない。結局は、このまま放置していても、結界を壊され、蟲に脱出を許してしまうことになる・・・。
と、その時だった。今までバラバラに動いていた文字の群れが、また集合化して、一つの形を作り始めた。
これは・・・剣か?
なんと、文字による巨大な剣が現れたのだった。オレの魔笛の能力をまねたのだろうか。そして、他の文字が巨大な人の形をとる。これではまるで、剣を持った巨人ではないかー
「オレの魔笛の能力をまねたのでしょうか。こいつも剣で勝負するつもりかな」
「そうらしいね。ただ、あっちは変幻自在な分、かなり厄介だよ」
奏多さんの言う通り、あちらは文字の集合体なので、状況次第でいくらでも姿を変えられる。それはすなわち、「ただの斬り合いで済むはずがない」ということを意味していた。
「相手の弱点さえわかれば、オレのこの剣で一撃で仕留めてやるんですが・・・」
「晶君、一つ、確認したいことがあるんだけど」
「?」
奏多さんが、何かに気が付いたというのは先ほども感じていたが、それが現状を打開するカギとなりえるのだろうか。例えば、相手の弱点につながる何か、とか。
少なくとも、現状ではオレの手に負えない。奏多さんに何か考えがあるのであれば、彼にかけるしかないだろう。
「本体からの魔力の供給を断つ方法があるかもしれない」
それは願ったり叶ったりだ。
「相手の「核」の魔力供給を断つことができれば勝機はあります。その、確認したいこととは?」
「実は・・・」
オレは奏多さんの話に耳を傾けることにしたー
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