ツイノベ置き場

椎名サクラ

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身長差30センチの先輩後輩の話

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受けは幼い頃の治療で成長障害になり160cm届かない低身長。

そんな受けに後輩ができた。

背が高すぎていつもワイシャツの裾がトラウザーズからピョコンと出てしまうのを見て「大変だなー背が高いって一概にいい事ばかりじゃないんだ」と思っていた受け。

高い場所の荷物を取るときは必ず呼ばれるし、そのたびに仕事の手を止めさせられる。

あまりに頻繁なので、気軽に呼びつける女子社員を注意すれば、影で文句を言われるようになったが気にしなかった。

そのせいかどうか、後輩は受けによく懐いた。

飲み会があれば必ず隣に座ってくるし、わからないことがあれば頼ってくる。

受けなりに可愛がった。

新しい商品開発で材料の仕入先を探しに出張することになった。

なぜか後輩もついてきた。

「先輩のやり方、勉強させてください!」

わんこのようにじゃれつくのに上司も笑って許可を出す。

これも後進教育だととても日帰りできない田舎に車で出かけた。

相手先に行き熱心に口説き落とせば、最初はうざったそうにしていたエライ人も、徐々に話を聞いてくれるようになる。

いつもこうして熱意で口説き落とす受けに、後輩はしきりに「すげーすげー」と繰り返す。

若いなーなんて笑って、二人で会社が取ってくれたホテルで祝杯を上げた。

でろんでろんに酔った受け、いつの間にか後輩に組み敷かれていた。

「先輩、好きです。俺と付き合ってください。めちゃくちゃ大事にしますから」

そのまま浴衣を剥かれてキスされて慣らされて。

体格に見合った後輩の大きなものを入れられてしまう。

流石に次の日はまともに歩くこともできない。

「なんてことをしたんた!あんな……あんな……」

言葉にならない受けに、後輩はぬいぐるみを抱くようにぎゅうぎゅう抱きしめて、「ずっと好きで我慢できませんでした、ごめんなさい」なんて素直に謝るもんだから、犬に噛まれたと思って許してしまう。

けれど週末ごとに受けの家に遊びに来ては当たり前のように抱いてくる。

狭いシングルベッドにそのまま止まっていくもんだから、受けは抱き枕のように扱われる。

こいつは何を考えてるんだ!と怒っても、「先輩嫌いにならないでください」なんて怒られた大型犬みたいな顔をするもんだからまた絆されて許してしまって同じことを繰り返す。

体のせいで結婚願望はないが、だからといって男に抱かれるのも趣味じゃないしと悶々としてたら、居酒屋で後輩が同期と喋っているのを聞いてしまう。

罰ゲームで受けはからかわれていたのだ。

何だそういうことかと笑おうとして、何故か涙が出てくる受け。

食事なんてできるはずもなくそのまま帰って泣いた。

後輩がいつものようにインターホンを鳴らしても開けてやれないくらいにショックを受ける。

ああ俺、後輩のこと好きだったんだと自覚しちゃって余計辛くて、小さい体を丸めてシングルベッドでグズグズに泣いた。

それでも月曜日はやってくる。

グズグズのまま出社したら後輩がすごく驚いて声をかけてくるが返事なんてできるはずがない。

悪いことは続いて起こるもので、取引先から戻ってきた契約書が見つからない。

たしかに週末引き出しに入れて、週明けすぐに総務に提出できるようにしたはずなのにとパニックになって探し回る。

それでも見つからなくて始末書を欠かされる羽目に。

もう嫌だと投げやりになって残業すれば、廊下のほうが騒がしい。

怒った後輩が女子社員を引っ張って上司の前に突き出した。

「受けさんの契約書、シュレッダーにかけたって言ってましたよね、どういうことですか!」

フロア内に響く声に受けもびっくりした。

「そんなこと言ってないよ、聞き間違い」

だがシュレッダーを漁った後輩の同期が破片を見つける。

流石に上司も「どういうことだ!」とお怒りモード。

女子社員は泣きながら「違います知りません」と言うが、お局様が別の女子社員を連れてきて証言させた。

後輩狙いの女子社員、親しくするために後輩を呼びつけていたのに受けが注意したことに恨みを持っていて、困らせてやろうと暴挙に出て、それを仲間内に自慢していたという。

すぐに二人は会議室に引き連れて行かれ、受けが書いていた始末書ごと持って行かれた。

「俺のせいだったんですね、すみません」

「お前が悪いわけじゃ……」

「でも週末入れてくれませんでしたよね、家に」

居留守がバレていたのかと気まずくなる。

「どうしてですか?」

きつく言われて腹がたった。

なんで怒られなきゃならないんだと居酒屋での会話を聞いたことを伝えると、何故か顔を真っ赤にする後輩。

「あれ聞いてたんですか?先輩いないと思ってすげーのろけたの」

「なんの話だ?お前たちが罰ゲームだって言ってたのを聞いたんだが」

「はい、罰ゲームです。罰ゲームで好きな人のどこが好きかを言うやつですよね」

断片しか聞いてなかった受けはびっくりした。

「罰ゲームで俺に好きって言ってたんじゃ……」

「なにいってんですか、そんな酷いことするやつだと思ってたんですか!」

怒った後輩にズルズルと連れて行かれたのは受けの家。

何故か服を脱がされ後ろを指だけでドロドロにされてしまう。

「先輩が俺に仕事教えてくれたり、しやすいように気を使ってくれたり、背が高いからって便利に使おうとしない真っ直ぐなところに惚れたんですよ!それ全部体に教え込みますね」

「指だけとかヤダッ」

「俺のを入れてほしいんですか?ねえもしかして遊ばれたって悲しくてないたんですか?ひどいな、そんなやつだって思われてたなんて」

「ごめんっ、もう許してぇ」

「じゃあ俺と付き合って。俺を先輩の彼氏にしてくださいよ」

我慢できなくてコクコク頷けば、身長差を使った体位でめちゃくちゃに泣かされてしまう。

次の日は当然起き上がれないわけで。

何故か急病にされて看病すると二人で休んてしまった。

罪悪感に落ち込む受け。

「これからは週末だけにしましょうね。だから俺に合鍵ください、先輩が困らないように」

長身の後輩はそんなことをヘラヘラ口にして変わらず受けを抱き枕みたいに抱いてはシングルベッドの半分以上を占拠するのだった。


おしまい
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