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書籍化記念

柾人が嫉妬をした夜は12

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 まだ自分を好きでいてくれるのが、なによりも嬉しい。

 興奮を隠せない逞しい欲望が腰の下で自分を待っているのも。

 蕾を刺激したまま、反対の手を伸ばして柾人の欲望に触れた。

「こらっ」

 笑いを含んだ叱責を無視して、先端だけを撫でていく。

 朔弥に煽られてすぐに透明な蜜が先を濡らし始めた。

「ぁぁ……まぁぉさ……すきっ」

 この行為がじゃない。この人だから自分の全部を捧げたくなるほどの愛情を注いでいるのだと伝えたい。けれどいつだって上手く伝えることができない。特にベッドの上ではいつだって翻弄されて想いの半分も伝えられずにいる。

 大きな手が太腿から腰へ、そして手の届くギリギリの胸の傍まで辿り、また下りていく。その刺激にもう我慢なんてできなかった。

 痛くてもいい、早く柾人と一つになりたい。

 ゆっくりと腰を下ろしていきり勃った欲望の先を蕾へと押し当てる。息を吐き出してゆっくりと先端を飲み込んでいく。

「あっ……ぁぁ……ぉっきい」

 いつもよりも猛っているように感じるのは久しぶりだからだろうか。

「こんなに大きくしたのは朔弥だろう」

 コクコクと何度も頷いて、また息を吐き出した。

 さっき自分が吐き出した蜜のぬめりだけを借りてゆっくりと最奥まで飲み込んでいく。潤滑剤ではないので滑りが足りず、途中でつっかえてしまう。そうなってからゆっくりと腰を上下して少しずつ、深く飲み込ませていく。

 この瞬間が好きだ。

 柾人が自分だけを見つめ、自分だけを欲してくれるから。

 二人だけの世界はいつだって色めいた愛情だけが存在していて、どんなにみっともない姿を見せても、可愛いと、愛しいと言って貰える。だから気負うことなくありのままの自分を晒せる。彼を愛して彼だけを求める自分を。

「あぁぁぁっ……やぁっ」

 ずるりと先端が感じる分身の裏側を擦ったとき、一瞬強張った後に力が抜け、自重で深く繋がった。堪らず、少量だが白濁が飛ぶ。

「可愛いね、朔弥は。ここが感じるんだろう」

 ずっと大人しくしていた柾人が下から突き上げてくる。

「だめっうごかないで! ……あぁぁぁぁ」

 朔弥の身体を知り尽くしている手は、細い腰を持ち上げ落とすと同時に下から突き上げる。しかも感じる場所を狙って。分身の裏と最奥の二カ所を一突きで刺激され、自分が悦ばせようとしていた朔弥は嬌声を放って仰け反るしかなかった。

「や……だぁしないでぇぇぇ、そこだめぇぇ」

「どうしてだい? 好きだろう朔弥は。ほら、ギュウギュウに私に絡みついて離さない」

 もっと欲しいんだろう。

 甘い囁きに頷き、震える膝に力を入れ自分から感じる場所へと欲望を擦り付けていく。

「あぁぁ、いいっきもちぃっ」
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