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書籍化記念
柾人が嫉妬をした夜は4
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だが柾人が望んでいるのはそれではない。
「私が、朔弥を守りたいんだ、私の手で……。君を邪な目で見る男にこれ以上近づけるわけにはいかない」
「……まだあのことを気にしているんですか? もう自分の身を守れないほど子供じゃありませんよ」
出会ってから五年、朔弥ももう立派な社会人だ。週に一度、道場に通い護身術を習っていて、『あの頃』と違うのは柾人が一番近くで見て知っている。それでも自分の手で朔弥を守りたい。
「君に出会ったときからずっと、私は朔弥を守りたいと思っているんだ」
淋しそうにバーカウンターに腰掛けていたあの頃から。
ちっとも振り向いてくれない恋人に縋るような目を向け、僅かでも気に掛けてくれないだろうかと、悲しい色をその顔に宿していた頃から。
思い出して、今の朔弥の顔が見たくなった。
自制が効いた恋人は仕事中では絶対にアルコールを口にしない。どんなに勧められても呑めないの一点張りで決して口にはしない。今日もどれほど相手先に勧められても、ソフトドリンクを目の前に置いていたのを思い出す。
細い頤を摘まみ、顔を上向かせる。
眼鏡に隠された大きな目が優しい笑みにアーチ型になり、柾人をじっと見つめ返す。付き合い始めた頃と変わらぬ愛らしさに、自然と唇を寄せてしまう。
赤味の強い薄い唇を塞ぐと、心の苛立ちをそのままに舌を潜り込ませた。
「ん……」
鼻を抜ける甘い音に勢いづく。
近頃は忙しすぎて、軽いキスばかりだ。
同じ家にいても、二人とも仕事を持ち帰り寝る時間を惜しむようにパソコンに向かうので、恋人としての時間を過ごせずにいた。甘い唇を味わえば、触れられなかった反動のように貪らずにはいられない。
舌をねじり込ませ、甘露のような舌を舐り続ける。
「ぁ……んんっ、まぁぉさ……」
呼吸の合間に零れた蕩けた声を吸い上げ、何も言えないように深く重なる。上顎を、頬の内側を舌で擽り、震える細い腰をきつく抱きしめる。
鼻を抜けた甘えるような音に気持ちが上昇するのを感じ、細い指が柾人の背中に回れば愛おしさが急加速する。どれだけ貪っても足りない。もっともっとと舌を巡らせ口内を貪れば、腕の中の愛しい身体は数度震え、クタリと力を失った。
「……はげし……すぎます」
「すまない。けれど、足りないんだ朔弥が」
やはりこの子を家に閉じ込めておけば良かった。愛しいからこそ、他の男に触れられるのは許せない。彼がどう思っていても、恋人として唯一の家族として共にいる柾人は容認できない。
「私が、朔弥を守りたいんだ、私の手で……。君を邪な目で見る男にこれ以上近づけるわけにはいかない」
「……まだあのことを気にしているんですか? もう自分の身を守れないほど子供じゃありませんよ」
出会ってから五年、朔弥ももう立派な社会人だ。週に一度、道場に通い護身術を習っていて、『あの頃』と違うのは柾人が一番近くで見て知っている。それでも自分の手で朔弥を守りたい。
「君に出会ったときからずっと、私は朔弥を守りたいと思っているんだ」
淋しそうにバーカウンターに腰掛けていたあの頃から。
ちっとも振り向いてくれない恋人に縋るような目を向け、僅かでも気に掛けてくれないだろうかと、悲しい色をその顔に宿していた頃から。
思い出して、今の朔弥の顔が見たくなった。
自制が効いた恋人は仕事中では絶対にアルコールを口にしない。どんなに勧められても呑めないの一点張りで決して口にはしない。今日もどれほど相手先に勧められても、ソフトドリンクを目の前に置いていたのを思い出す。
細い頤を摘まみ、顔を上向かせる。
眼鏡に隠された大きな目が優しい笑みにアーチ型になり、柾人をじっと見つめ返す。付き合い始めた頃と変わらぬ愛らしさに、自然と唇を寄せてしまう。
赤味の強い薄い唇を塞ぐと、心の苛立ちをそのままに舌を潜り込ませた。
「ん……」
鼻を抜ける甘い音に勢いづく。
近頃は忙しすぎて、軽いキスばかりだ。
同じ家にいても、二人とも仕事を持ち帰り寝る時間を惜しむようにパソコンに向かうので、恋人としての時間を過ごせずにいた。甘い唇を味わえば、触れられなかった反動のように貪らずにはいられない。
舌をねじり込ませ、甘露のような舌を舐り続ける。
「ぁ……んんっ、まぁぉさ……」
呼吸の合間に零れた蕩けた声を吸い上げ、何も言えないように深く重なる。上顎を、頬の内側を舌で擽り、震える細い腰をきつく抱きしめる。
鼻を抜けた甘えるような音に気持ちが上昇するのを感じ、細い指が柾人の背中に回れば愛おしさが急加速する。どれだけ貪っても足りない。もっともっとと舌を巡らせ口内を貪れば、腕の中の愛しい身体は数度震え、クタリと力を失った。
「……はげし……すぎます」
「すまない。けれど、足りないんだ朔弥が」
やはりこの子を家に閉じ込めておけば良かった。愛しいからこそ、他の男に触れられるのは許せない。彼がどう思っていても、恋人として唯一の家族として共にいる柾人は容認できない。
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