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本編69
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「これでよしっ! 今度こそはちゃんと準備で来たぞ」
静かになった竜の館で、ソーマはゆっくりと身体を休めた後、旅支度を始めた。干し肉をたっぷりと作り、果物も乾燥させそれっぽいものを作り上げると、すべてを鞄の中に入れた。
目標:脱童貞!
やはり二世続けて童貞なんて嫌だ。
前世はニートだったから仕方ないかもしれないが、今回は引き籠もりでもなんでもない、健全な成人男性(竜族だけど)なのだから、やはり本懐は遂げたい。
王都にいなくても、旅をしている間にそういう女の子に出会うかもしれない。できればボンギュッボンの綺麗なお姉さんで、上手にリードしてくれる人が希望だが、もうそんなことは言っていられない。少しでも自分を気に入ってくれる女の子なら、誰でもウェルカムだ。ルンルン気分で旅支度を終え、ソーマはまた竜の姿に変化した。王都まで行かず二つ手前の山で下りよう。そこから人間の姿で旅をすれば誰にも見つからないだろう。
前回のような愚は犯さず、時間をかけて旅の経路も頭に叩き入れた。完璧だ。後は神頼みしながら歩き続けるだけ。
「さてと、行こうかな」
見つからないように、夜の内に出発だ。
星の位置を頼りながら王都近辺へと向かう。さすがに丑三つ時の飛行は誰にも見つかることはないし、騒がれないまま随分と進むことができる。
「王都の近くまで行けば、村も街も多いはずだよね」
古い地図には記載されていない街もたくさんあるだろう。それを期待してゆったりと夜間飛行を楽しむ。さすがにこの世界ではネオンを楽しむことはできないが、代わりに空に散らばった星々が美しく世界を飾っている。ゆったりと飛んでいればそれも楽しめる……はずだったが、さすがに見飽きた。
「もうそろそろいいかな……あの森のあたりだったら誰にも見つからないね」
ゆっくりと降下して森の中に身をひそめる。
周囲を見渡し、人がいないことを確認して姿を戻した。
「ふぅ、これで大丈夫だ。まだ体力も残っているし、ゆっくりと森を抜けよう……もう少し森の出口よりに降りればよかったな」
適当に降り立ったのでどっちに進めばいいかがわからなくなる。
「でももうすぐ日の出だし、なんとかなるか」
獣が出ても、ソーマは襲われないらしいので、のんびりと森を抜けていく。獣道を彷徨いながらようやく道に出れたのは昼になってからだった。
「……調子に乗りすぎた……さすがに飲まず食わずで歩き回りすぎた……」
せめて水だけでもどこかで調達しなければ……早く村を探そう。初日からふらふらになりながら、旅慣れていないソーマは皮を探して回った。
だが、勝手がわからないせいで、どこにもない。
「どうしよう……すぐに見つかると思ったから水筒なんて用意してなかったよ」
考えれば、ソーマにはサバイバル経験なんて皆無だった。前世も今生も、ぬくぬくと生きているだけだったのだ。ニートにサバイバル知識などあるはずもなければ、竜になるまで……なってからも行動範囲が狭いソーマが、一人で王都に向かうなど無謀なのであった。
「これでよしっ! 今度こそはちゃんと準備で来たぞ」
静かになった竜の館で、ソーマはゆっくりと身体を休めた後、旅支度を始めた。干し肉をたっぷりと作り、果物も乾燥させそれっぽいものを作り上げると、すべてを鞄の中に入れた。
目標:脱童貞!
やはり二世続けて童貞なんて嫌だ。
前世はニートだったから仕方ないかもしれないが、今回は引き籠もりでもなんでもない、健全な成人男性(竜族だけど)なのだから、やはり本懐は遂げたい。
王都にいなくても、旅をしている間にそういう女の子に出会うかもしれない。できればボンギュッボンの綺麗なお姉さんで、上手にリードしてくれる人が希望だが、もうそんなことは言っていられない。少しでも自分を気に入ってくれる女の子なら、誰でもウェルカムだ。ルンルン気分で旅支度を終え、ソーマはまた竜の姿に変化した。王都まで行かず二つ手前の山で下りよう。そこから人間の姿で旅をすれば誰にも見つからないだろう。
前回のような愚は犯さず、時間をかけて旅の経路も頭に叩き入れた。完璧だ。後は神頼みしながら歩き続けるだけ。
「さてと、行こうかな」
見つからないように、夜の内に出発だ。
星の位置を頼りながら王都近辺へと向かう。さすがに丑三つ時の飛行は誰にも見つかることはないし、騒がれないまま随分と進むことができる。
「王都の近くまで行けば、村も街も多いはずだよね」
古い地図には記載されていない街もたくさんあるだろう。それを期待してゆったりと夜間飛行を楽しむ。さすがにこの世界ではネオンを楽しむことはできないが、代わりに空に散らばった星々が美しく世界を飾っている。ゆったりと飛んでいればそれも楽しめる……はずだったが、さすがに見飽きた。
「もうそろそろいいかな……あの森のあたりだったら誰にも見つからないね」
ゆっくりと降下して森の中に身をひそめる。
周囲を見渡し、人がいないことを確認して姿を戻した。
「ふぅ、これで大丈夫だ。まだ体力も残っているし、ゆっくりと森を抜けよう……もう少し森の出口よりに降りればよかったな」
適当に降り立ったのでどっちに進めばいいかがわからなくなる。
「でももうすぐ日の出だし、なんとかなるか」
獣が出ても、ソーマは襲われないらしいので、のんびりと森を抜けていく。獣道を彷徨いながらようやく道に出れたのは昼になってからだった。
「……調子に乗りすぎた……さすがに飲まず食わずで歩き回りすぎた……」
せめて水だけでもどこかで調達しなければ……早く村を探そう。初日からふらふらになりながら、旅慣れていないソーマは皮を探して回った。
だが、勝手がわからないせいで、どこにもない。
「どうしよう……すぐに見つかると思ったから水筒なんて用意してなかったよ」
考えれば、ソーマにはサバイバル経験なんて皆無だった。前世も今生も、ぬくぬくと生きているだけだったのだ。ニートにサバイバル知識などあるはずもなければ、竜になるまで……なってからも行動範囲が狭いソーマが、一人で王都に向かうなど無謀なのであった。
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