62 / 87
62『友子の倍返し!・2』
しおりを挟む
RE・友子パラドクス
62『友子の倍返し!・2』
カチャカチャカチャカチャ……
パソコンのキーを数百回押すとC国S市のパソコンのカメラに繋がった。どこやらのオフィス。複数のデスクの上にはパソコンやらモニターやらが並び、大きなガラス窓の向こうにはS市のシンボルの高層ビル群が立ち並んでいる。
カチャカチャカチャ……
さらに、数十回押すと、オフィス全てのパソコンと監視カメラと繋がって、友子のパソコンのモニターにはオフィス内の八つの映像が映し出された。
そのうちの四つには男女が抱き合っている映像が四つのアングルで映し出され、一つはローテーブルに置かれたパソコンのもので、ちょっと刺激的。
ガチャ!
音がしたかと思うと、その画面は天井と壁の一部を映した。
どうやら女の足がパソコンを蹴ってしまったようだ。
カチャカチャ
数回キーを押すと監視カメラのコントロールができるようになり、コントローラーのジョイスティックを動かして二人の姿が画面の中央に据えられた。
S市に戻った彼女は、日本での仕事がつつがなく終わったのをカレと確認して、オフィスでイチャイチャしていたのである。
「ウ、ウググググ……( ノД`)」
太田は、ただ泣きの涙であった……。
「泣いておしまいなの?」
友子は、太田の不甲斐なさに、ただただ呆れるばかりである。
「こんなのもあるのよ」
監視カメラのアーカイブの映像も、無修正で見せてやった。二人は以前から深い仲であったようだ。太田は、ただ悲しそうに悔しそうに、涙と鼻血を流すばかりであった。
「この子はS市の党幹部の娘でね、オヤジが作った会社のCEOに収まろうって思って、今度のことを計画したのよ。彼女がフィクサーであり、実行犯のボスよ。で、相手の男はね……」
映像から、男の顔のモザイクを外した。
「あ、こいつは……!?」
今度は、一郎が熱くなった。男は、新製品の情報を盗み、会社から10億の金をC国の子会社に融資させ、焦げ付かせた張本人である。
「分かったかなあ……こういう仕掛けなのよ、情けないなあ、落ち込むしか手がないのぉ? いい歳したオッサンがさ!」
「だって、姉ちゃん……」
「姉ちゃん?」
太田がビックリした。
「チ……太田さん、悪いけど、しばらく眠ってもらうわね」
一瞬で太田はソファーにひっくり返って寝息を立てだした。
「起きたら記憶はないんだろうね……」
「当たり前でしょ。一郎の会社のためなんだから、今回は特別。ほっといたら、一郎は首だろうし、会社だって損失が大きすぎて、人員整理しなくちゃならなくる」
友子は、口にケーブルをくわえると、パソコンに繋いだ。
「なに、やってんの?」
「盗まれたUSBを繋いだら、内容が書き換わるようにしてんの。五十年前のC国製のルージュになるわ」
カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ…………カチャ!
目にもとまらぬ早さで数万回キーを叩き、最後に留めのエンターキーを押した。
「これでよし!」
「十億の融資は、姉ちゃん!?」
「明日、証券市場が開いてからね。十億は、証券のカタチになってるのよ。とりあえずなんとかなったから、太田さんお願いね。じゃ、あたしクラブの稽古だから……」
制服の上着を掴むと友子は家を出た。隣家からの視線を感じるが、これはパス。
「ムハハ、そりゃ、朝から面白そうだったじゃん(* ´艸`)」
紀香が、面白そうに笑う。
「でも、流行りの倍返しにしたいわね」
「それなら、こんなアイデアがあるよ」
妙子が、一生懸命に稽古しているのに見事に付き合いながら、さらに情報交換をやった。
「……て、わけよ」
「ナルホドね!」
さすがに、稽古が止まってしまった?
「なにが、ナルホド?」
「ああ、妙子の演技よ。イイ線いってたよぉ!」
「え、あ、そう(^_^;)?」
嬉しそうにはにかむ妙子。実際、妙子の芝居は良くなっていたので、あながちウソでもない。
しかし、敵もなかなかのもので、昨日の月曜で取引を操作して、証券価格を一気に20%も引き上げた。あらかじめ紀香に言われて織り込み済みの事態だったので、昨日は静観。
そして、膨らみきった証券に、不良債権を山ほど付けて証券市場に流してやった。敵が持ち出した証券は、あっと言う間に、二十億の不良債権を含んでしまい。五分で一億ずつ負債がふくらんでいった。気づいたC国の会社は、すぐに手を打とうとしたが、手続き上子会社化してあり、破綻したことにしてあるので、親会社が処理に乗り出せたころには、親会社の総資産額を超えてしまい、昼には親会社自身が破綻した。
「姉ちゃん、会社の証券が一日で倍の含み益になったよ!」
家に帰ると、一郎が喜びの余り友子にハグしてきた。
羨ましそうな隣家の視線を感じたが、まあ……いいかと放っておく。
「で、それをさっさと売って十億余計に取り戻したんでしょ。感謝しなさいよ、お姉ちゃんに」
喜ぶ弟を、半分情けなく思いながらも、笑顔だけは向けてやって自分の部屋でスマホを開く。
ムグ……!
歯ぎしりした。
今日も天気予報を外してしまい、倍返しの200円を取られた友子であった……。
☆彡 主な登場人物
鈴木 友子 30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
鈴木 一郎 友子の弟で父親
鈴木 春奈 一郎の妻
鈴木 栞 未来からやってきて友子の命を狙う友子の娘
白井 紀香 2年B組 演劇部部長 友子の宿敵
大佛 聡 クラスの委員長
王 梨香 クラスメート
長峰 純子 クラスメート
麻子 クラスメート
妙子 クラスメート 演劇部
水島 昭二 談話室の幽霊 水島結衣との二重人格 バニラエッセンズボーカル
滝川 修 城南大の学生を名乗る退役義体兵士
62『友子の倍返し!・2』
カチャカチャカチャカチャ……
パソコンのキーを数百回押すとC国S市のパソコンのカメラに繋がった。どこやらのオフィス。複数のデスクの上にはパソコンやらモニターやらが並び、大きなガラス窓の向こうにはS市のシンボルの高層ビル群が立ち並んでいる。
カチャカチャカチャ……
さらに、数十回押すと、オフィス全てのパソコンと監視カメラと繋がって、友子のパソコンのモニターにはオフィス内の八つの映像が映し出された。
そのうちの四つには男女が抱き合っている映像が四つのアングルで映し出され、一つはローテーブルに置かれたパソコンのもので、ちょっと刺激的。
ガチャ!
音がしたかと思うと、その画面は天井と壁の一部を映した。
どうやら女の足がパソコンを蹴ってしまったようだ。
カチャカチャ
数回キーを押すと監視カメラのコントロールができるようになり、コントローラーのジョイスティックを動かして二人の姿が画面の中央に据えられた。
S市に戻った彼女は、日本での仕事がつつがなく終わったのをカレと確認して、オフィスでイチャイチャしていたのである。
「ウ、ウググググ……( ノД`)」
太田は、ただ泣きの涙であった……。
「泣いておしまいなの?」
友子は、太田の不甲斐なさに、ただただ呆れるばかりである。
「こんなのもあるのよ」
監視カメラのアーカイブの映像も、無修正で見せてやった。二人は以前から深い仲であったようだ。太田は、ただ悲しそうに悔しそうに、涙と鼻血を流すばかりであった。
「この子はS市の党幹部の娘でね、オヤジが作った会社のCEOに収まろうって思って、今度のことを計画したのよ。彼女がフィクサーであり、実行犯のボスよ。で、相手の男はね……」
映像から、男の顔のモザイクを外した。
「あ、こいつは……!?」
今度は、一郎が熱くなった。男は、新製品の情報を盗み、会社から10億の金をC国の子会社に融資させ、焦げ付かせた張本人である。
「分かったかなあ……こういう仕掛けなのよ、情けないなあ、落ち込むしか手がないのぉ? いい歳したオッサンがさ!」
「だって、姉ちゃん……」
「姉ちゃん?」
太田がビックリした。
「チ……太田さん、悪いけど、しばらく眠ってもらうわね」
一瞬で太田はソファーにひっくり返って寝息を立てだした。
「起きたら記憶はないんだろうね……」
「当たり前でしょ。一郎の会社のためなんだから、今回は特別。ほっといたら、一郎は首だろうし、会社だって損失が大きすぎて、人員整理しなくちゃならなくる」
友子は、口にケーブルをくわえると、パソコンに繋いだ。
「なに、やってんの?」
「盗まれたUSBを繋いだら、内容が書き換わるようにしてんの。五十年前のC国製のルージュになるわ」
カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ…………カチャ!
目にもとまらぬ早さで数万回キーを叩き、最後に留めのエンターキーを押した。
「これでよし!」
「十億の融資は、姉ちゃん!?」
「明日、証券市場が開いてからね。十億は、証券のカタチになってるのよ。とりあえずなんとかなったから、太田さんお願いね。じゃ、あたしクラブの稽古だから……」
制服の上着を掴むと友子は家を出た。隣家からの視線を感じるが、これはパス。
「ムハハ、そりゃ、朝から面白そうだったじゃん(* ´艸`)」
紀香が、面白そうに笑う。
「でも、流行りの倍返しにしたいわね」
「それなら、こんなアイデアがあるよ」
妙子が、一生懸命に稽古しているのに見事に付き合いながら、さらに情報交換をやった。
「……て、わけよ」
「ナルホドね!」
さすがに、稽古が止まってしまった?
「なにが、ナルホド?」
「ああ、妙子の演技よ。イイ線いってたよぉ!」
「え、あ、そう(^_^;)?」
嬉しそうにはにかむ妙子。実際、妙子の芝居は良くなっていたので、あながちウソでもない。
しかし、敵もなかなかのもので、昨日の月曜で取引を操作して、証券価格を一気に20%も引き上げた。あらかじめ紀香に言われて織り込み済みの事態だったので、昨日は静観。
そして、膨らみきった証券に、不良債権を山ほど付けて証券市場に流してやった。敵が持ち出した証券は、あっと言う間に、二十億の不良債権を含んでしまい。五分で一億ずつ負債がふくらんでいった。気づいたC国の会社は、すぐに手を打とうとしたが、手続き上子会社化してあり、破綻したことにしてあるので、親会社が処理に乗り出せたころには、親会社の総資産額を超えてしまい、昼には親会社自身が破綻した。
「姉ちゃん、会社の証券が一日で倍の含み益になったよ!」
家に帰ると、一郎が喜びの余り友子にハグしてきた。
羨ましそうな隣家の視線を感じたが、まあ……いいかと放っておく。
「で、それをさっさと売って十億余計に取り戻したんでしょ。感謝しなさいよ、お姉ちゃんに」
喜ぶ弟を、半分情けなく思いながらも、笑顔だけは向けてやって自分の部屋でスマホを開く。
ムグ……!
歯ぎしりした。
今日も天気予報を外してしまい、倍返しの200円を取られた友子であった……。
☆彡 主な登場人物
鈴木 友子 30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
鈴木 一郎 友子の弟で父親
鈴木 春奈 一郎の妻
鈴木 栞 未来からやってきて友子の命を狙う友子の娘
白井 紀香 2年B組 演劇部部長 友子の宿敵
大佛 聡 クラスの委員長
王 梨香 クラスメート
長峰 純子 クラスメート
麻子 クラスメート
妙子 クラスメート 演劇部
水島 昭二 談話室の幽霊 水島結衣との二重人格 バニラエッセンズボーカル
滝川 修 城南大の学生を名乗る退役義体兵士
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
宇宙戦艦三笠
武者走走九郎or大橋むつお
SF
ブンケン(横須賀文化研究部)は廃部と決定され、部室を軽音に明け渡すことになった。
黎明の横須賀港には静かに記念艦三笠が鎮座している。
奇跡の三毛猫が現れ、ブンケンと三笠の物語が始まろうとしている。
くノ一その一今のうち
武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
お祖母ちゃんと二人暮らし、高校三年の風間その。
特に美人でも無ければ可愛くも無く、勉強も出来なければ体育とかの運動もからっきし。
三年の秋になっても進路も決まらないどころか、赤点四つで卒業さえ危ぶまれる。
手遅れ懇談のあと、凹んで帰宅途中、思ってもない事件が起こってしまう。
その事件を契機として、そのは、新しい自分に目覚め、令和の現代にくノ一忍者としての人生が始まってしまった!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
鉄錆の女王機兵
荻原数馬
SF
戦車と一体化した四肢無き女王と、荒野に生きる鉄騎士の物語。
荒廃した世界。
暴走したDNA、ミュータントの跳梁跋扈する荒野。
恐るべき異形の化け物の前に、命は無残に散る。
ミュータントに攫われた少女は
闇の中で、赤く光る無数の目に囲まれ
絶望の中で食われ死ぬ定めにあった。
奇跡か、あるいはさらなる絶望の罠か。
死に場所を求めた男によって助け出されたが
美しき四肢は無残に食いちぎられた後である。
慈悲無き世界で二人に迫る、甘美なる死の誘惑。
その先に求めた生、災厄の箱に残ったものは
戦車と一体化し、戦い続ける宿命。
愛だけが、か細い未来を照らし出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる