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140『信長版西遊記・砂丘を回り込む』

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鳴かぬなら 信長転生記

140『信長版西遊記・砂丘を回り込む』信長 




 三蔵法師はただのオブジェだ。

 
 二宮忠八が工夫を重ね努力の末に作りだしたハイパー紙飛行機を馬に変えた、その余りで造ったオブジェ。多少のギミックはあるが、せいぜいゲームのNPC。盗まれて惜しいものではないが、オブジェであるとバレるのはまずい。

 三国志の中原に出て、魏王曹操を倒すまでは西遊記を続けなければならない。

「なかなか追いつかないブヒ、敵はもうじき砂丘の陰に隠れるブヒ」

「八戒、おまえが載っているからだウキ」

「これは変装ブヒ、体重は本性の市のままだブヒブヒ!」

「いや、八戒は大きいから風の抵抗が大きいッパ。少し前かがみになって風の抵抗を減らすッパ」

「了解ブヒ!」

 ムギューー

「こ、こら押すな!」

 八戒が真ん中なものだから、後の沙悟浄は平気だが、前の俺は馬の首と八戒の腹に挟まれて潰されそうだ。

「だ、だってぇ、ねえ、さっきみたいに空飛んで追いかけられないのブヒ!?」

『無茶いうな』

「なんか言った、ブヒ?」

「いや、緊箍児(きんこじ)だ、俺の頭の金輪だウキ!」

「あ、これって一言主だっけブヒ?」

『わしはコスプレの神じゃ、多少のギミックやエフェクトは付けてやるが、のべつ幕なしというわけにはいかん』

「だったら、どうするブヒ!?」

『知らん』

「俺が、下りて走るウキ!」

「「あ、そう!?」」

「素に戻って声をそろえるな! 俺は砂丘の向こう側に周る。上手くいけば挟み撃ちだウキ!」

「「じゃ、がんばって!」」

「こ、こら、放り出すなぁ!」



 ズサ、ゴロゴロゴロ……



 砂の上をしばらく転がると、きな粉餅のようになって走り出す。

 さすがは孫悟空、けっこう速い。そして、きつい(;'∀')。

 なんだか草履とりをしていたころのサルを思い出す。

 サルは、俺の行くところには必ず付き添って走らせた。いつもニコニコ俺の後ろを走っておったが、あいつもけっこうきつかったんだな。

「一言主、俺は孫悟空だ。筋斗雲とかは使えんのかウキ?」

 ………………

 そうか、一言主はコスプレ神、その名も一言、多くは喋らんというわけか。

 仕方がない、金ヶ崎の退き戦を思えば砂丘一つ回り込むのは知れたこと。

 ダダダダダダダダダダダダダ

 濛々と砂煙を上げて砂丘を回り込む。



「敵は!?」



 回り込んで鉢合わせした八戒・沙悟浄に叫ぶようにして聞く。

「砂煙が激しくてわからんブヒ!」

「足跡はハッキリしている、遠くではないッパ!」

 追うぞ!…………叫ぼうとしたら、にわかに自分たちのところだけが、薄暗くなる。

「散れ!」

 叫びながら振り返ると、山のような化物牛が飛び降りてくるところだ!

 やられた(;゚Д゚;)!

 こいつ、我々の目を賊に釘付けさせ、砂丘の上で待ち構えていたんだ!

 

 ンモオオオオオオオオオオオ!!



 いかん、今度こそ押し潰されるぞ!




☆彡 主な登場人物

織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
平手 美姫       信長のクラス担任
武田 信玄       同級生
上杉 謙信       同級生
古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
宮本 武蔵       孤高の剣聖
二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
雑賀 孫一       クラスメート
松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
今川 義元       学院生徒会長
坂本 乙女       学園生徒会長
曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚  部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主


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