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93『売られたケンカなら買ってやる!』
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はるか ワケあり転校生の7カ月
93『売られたケンカなら買ってやる!』
いよいよ真田山学院高校の番だ。わたしたちは舞台に上がった。
二つほどチョウチン質問があったあと、ちょっと間があって、大橋先生が手を上げた。
「真田山学院高校に対する、審査員の方のコメントが、審査発表のときのそれと著しく異なります。曰く、作品に血が通っていない。曰く、行動原理や思考回路が高校生ではない。きれいに抜け落ちています。この方の評はネットに載っていましたので、トラックバックで質問したところばかりです」
先生もやるう……。
会場のみんながページをめくる音がした。わたしは、自分の顔が険しくなっていくのを隠しながら舞台を下りた。
「もう一点。この浪速高校演劇連盟のコンクールは百二校が参加し、そのうち既成作品は実質五校しかありません。著しく創作に偏っています。本選だけを例にとっても……」
先生が、あとを続けようとすると……。
「ここは先生の演説の場とちがいます。他にも発言したい生徒がいます。もうやめてください」
会場校の先生が言った。大橋先生は、一呼吸してこう言った。
「諸君、もっと本を読んでください。創作は否定はしない、しかし本を読んで勉強してからにしてほしい」
「大橋先生!」
と、R高の先生。
「もう一点。審査基準を持ってください。以上……」
会場が、静かにどよめいた。
「審査基準なかったんか」
などと、ささやく声もした。
「えー、ほかに質問のある人はいませんか……いませんか……じゃ、そこの人。学校名とお名前言うてください」
そこで初めて、自分が手をあげたことに気がついた。
「真田山学院高校の坂東はるかです(深呼吸をしたが、もう止まらない)さっき発言された先生が国語の先生でないと信じます。国語の先生なら合評会の意味をご存じないわけがないからです」
R高の先生の刺すような視線を感じた。血が頭の中で沸騰した。
「合評会とは、たがいに批評し合う場と、広辞苑にも載っています。そして批評とは、物事の善し悪しを評価し論じ合うこととあります。さっき大橋先生が言われたことは、わたしも思っていたことです。だから答えてください。それから大橋先生はこうおっしゃいました。審査基準を持ってくださいって……審査基準、無いんですか、ほんとうに?」
「それは、君なあ……!」
R高の先生が、わたしを指さした。
売られたケンカなら買ってやる! わたしはR高の先生とにらみ合った。
「はるか、やめとけ!」
座ったままの先生に腕を掴まれた……。
93『売られたケンカなら買ってやる!』
いよいよ真田山学院高校の番だ。わたしたちは舞台に上がった。
二つほどチョウチン質問があったあと、ちょっと間があって、大橋先生が手を上げた。
「真田山学院高校に対する、審査員の方のコメントが、審査発表のときのそれと著しく異なります。曰く、作品に血が通っていない。曰く、行動原理や思考回路が高校生ではない。きれいに抜け落ちています。この方の評はネットに載っていましたので、トラックバックで質問したところばかりです」
先生もやるう……。
会場のみんながページをめくる音がした。わたしは、自分の顔が険しくなっていくのを隠しながら舞台を下りた。
「もう一点。この浪速高校演劇連盟のコンクールは百二校が参加し、そのうち既成作品は実質五校しかありません。著しく創作に偏っています。本選だけを例にとっても……」
先生が、あとを続けようとすると……。
「ここは先生の演説の場とちがいます。他にも発言したい生徒がいます。もうやめてください」
会場校の先生が言った。大橋先生は、一呼吸してこう言った。
「諸君、もっと本を読んでください。創作は否定はしない、しかし本を読んで勉強してからにしてほしい」
「大橋先生!」
と、R高の先生。
「もう一点。審査基準を持ってください。以上……」
会場が、静かにどよめいた。
「審査基準なかったんか」
などと、ささやく声もした。
「えー、ほかに質問のある人はいませんか……いませんか……じゃ、そこの人。学校名とお名前言うてください」
そこで初めて、自分が手をあげたことに気がついた。
「真田山学院高校の坂東はるかです(深呼吸をしたが、もう止まらない)さっき発言された先生が国語の先生でないと信じます。国語の先生なら合評会の意味をご存じないわけがないからです」
R高の先生の刺すような視線を感じた。血が頭の中で沸騰した。
「合評会とは、たがいに批評し合う場と、広辞苑にも載っています。そして批評とは、物事の善し悪しを評価し論じ合うこととあります。さっき大橋先生が言われたことは、わたしも思っていたことです。だから答えてください。それから大橋先生はこうおっしゃいました。審査基準を持ってくださいって……審査基準、無いんですか、ほんとうに?」
「それは、君なあ……!」
R高の先生が、わたしを指さした。
売られたケンカなら買ってやる! わたしはR高の先生とにらみ合った。
「はるか、やめとけ!」
座ったままの先生に腕を掴まれた……。
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※この物語はフィクションです。作中に登場する
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※表紙の画像は友人M.H様から頂いたものを、
本人の許可を得て使用しています。
※作中の画像は、フリー画像のフォトACから選んだ
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《参考文献・資料》
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