5 / 95
5『ドドメ色』
しおりを挟む
はるか ワケあり転校生の7カ月
05『ドドメ色!』
プレゼンに入ると、由香が言っていた部長の山田太郎先輩と、タマちゃんこと玉城恵里菜先輩が行儀よく並んでいるのが目に入った。
「「失礼します」」
と、二人そろって挨拶すると、いきなりファンファーレが鳴り響き、目の前が真っ白になった!
「まぶしい……!」
目が慣れると、スポットライトがまともに当てられたことがわかった。スポットライトが消されると、その横にニューヨークヤンキースのスタジャンを着たおにいさん……よく見るとおじさんがドヤ顔で立っていた。
「どや、これが初めて舞台に立った時の感覚や。今の二人を見た印象はどないや?」
二人の先輩に質問が向けられた。
「えーと……」
と、山田先輩。
「えと……なんか、びっくりです……」
と、タマちゃん先輩。
「どっちがや、見てたほうか? 見られてたほうか?」
「あ、両方……やと思います。なあ、由香ちゃん……あ、そちらは?」
「坂東はるか……さんやな?」
と、ヤンキース。
え、どうして……?
「乙女先生から聞いてた。たぶん転校生の子がくるて」
うーん……油断のならない学校だ。
「まあ、そこ座って。まずは自己紹介。オレはこういうもんや」
ヤンキースはホワイトボードを指さした。そこには、デカイだけでチョーヘタクソな字。
『大橋むつお』と書いてあった。
そして、山田先輩の履歴書の「書きかた見本」のような自己紹介に移った。山田先輩、いわゆる自己紹介の部分は短かった。
「趣味は、鉄道です」
で終わろうとして……。
「おお、自分はテッチャンか!?」
と、ヤンキース。そこから、山田先輩のウンチクがはじまり、調子が出てきたころに、放送部員とおぼしき女の子たちがぞろぞろ入ってきた。
しかし、今度は、ファンファーレもスポットライトもなく、自己紹介がフツーに続いた。
「人生も芝居も最初が肝心や。芝居の場合〈つかみ〉という。面接やら、見合いやったら、この〈つかみ〉の 三十秒できまりや。ここでトチったら、そのあと取り返すのにその十倍の力がいる」
「あの、一ついいですか?」
わたしは、ホンワカを忘れて挑戦的にこう言った。
「先生の自己紹介はまだのようですけど」
「そやけど、十分オレには興味持ったやろ?」
ムム……わたしは二の句がつげなかった。
「乙女先生に言われてきた放送部の子ぉが大半やと思うけど、ここは、演劇に興味があると思て、話をすすめる。演劇てなにやろ……太郎くん」
「はい……演ずることによって、人に感激をあたえる芸術……やと思います」
「乙女先生から、そうおそわったんやな」
「はい」
「大正解! ほんなら、演ずるということはどういうことや、タマちゃん?」
「ええと……また……」
タマちゃん先輩は、美しいまつげを伏せてうつむいてしまった。
「ほんなら、べつのこと聞くわ……梅干してどんなもんや?」
「え……丸くて、また、すっぱい……です」
「どんなふうに丸うて、どんなふうにすっぱい?」
「……」
「このくらいの大きさで、フニャっとしてて、赤くて……」
困っているタマちゃん先輩を助けるように、由香が引き受けた。
「うん、それから?」と、ヤンキース。
「それから……」
今度は由香がつまった。
―― 梅干しが、演劇となんの関係があるんだ!? ――
思った瞬間先生と目が合って、反射的にしゃべっていた。
「梅干しってのは、梅の実を塩漬けにしたあと天日干しにして赤ジソの葉なんかといっしょに漬け込んだ漬け物の一種で……その、えと、干したり、漬けたりの過程で、脳みそみたくシワができて、そのシワに黒っぽく変色して、縮こまった赤ジソの葉がからんで、酸っぱさは、舌の奥の両側あたりからしてきて……」
荒川の実家、三軒お隣の仲さんちのオバアチャンが、自家製の梅干しを作っていたので、わたし、歳の割にはくわしい。
「それで色は……」
「色は?」
「……ドドメ色!」
すっかり酸っぱくなった口から、つばきと共にドドメ色が飛び出し、みんながどっと笑った……またやらかした。
「どや、みんなの頭の中に梅干しがうかんできて、口の中にツバ湧いてきたやろ?」
言われてみればそのとおり……。
「これが芝居や。イメージ創って感じること。ほんなら、観てる人にも伝わる」
なるほど……チラッと見渡すと、半分くらいの子たちが同じ顔つきになっていた。
「つぎ、左右の人差し指と親指をひっつけて目ぇの前にもってくる」
「ん……?」
「ほんで、右手に糸。左手に針を持ってると思いなさい。左利きのもんは、その逆……そうそう、目の焦点を合わせたら、そんな気が……」
……してきた。
「そしたら、その針の穴に糸を通す」
おお……糸が通った! 部屋のみんなから、軽いどよめきがおこった。
「ようし、ほんならグランドにいくぞ。三分後、朝礼台前集合!」
三分後、朝礼台の前に集合すると、ヤンキースは妙なことを始めた。なんだか、左手に持ったようすで……って、なんにも持ってないんだけど。右手で、左の「なにか」から端っこを取り出して、山田先輩とタマちゃん先輩に持たせた。二人とも「?」である。
「ええか、それは、縄跳びの縄。さあ、二人で回して!」
「はい……」
二人は長さ五メートルくらいの(見えない)縄を回し始めた。
「縄が地面を叩くときにはちょっと力を入れて!」
なんということ、みんなが見えない縄の回転を見てるじゃないの!
「さあ、残りのもんは、順番に入っていけ!」
「大縄跳びや!」
由香が最初に飛び込むと、みんな次々にロープの回転の中に飛び込んでいった。
六番目に飛び込んだ子がタイミングを外すと、みんなから「あーあ……」というため息がもれ、縄が停まった。
「惜しい、引っかけてしもたなあ。もっかいやるぞ!」
もうみんな喜々として、この見えない縄跳びに集中しはじめた。
十分ほどして、気がつくと、グラウンドで練習をしていた、野球部やサッカー部、陸上部の子たちが、ポカーンとして私たちを見ている!
「ああ、おもしろかった!」
みんなうっすらと汗をかいていた。
ヤンキースはまるで本物の縄をまとめるように巻いていくと、ごていねいに朝礼台の上に置いた。
「さあ、これで君らは、〈梅干し〉と〈針に糸を通す〉と〈大縄跳び〉の芝居ができるようになった。今日はここまで」
解散するとヤンキースが寄ってきた。
「ドドメ色なんて、よう知ってたなあ(・∀・)ニヤニヤ」
「あ、あれは(;゜Д゜)」
・
仲鉄鋼のお婆ちゃんがね……。
「アハハ、そういうギャップは大好きや!」
わたしの説明も聞かずに行ってしまった……。
※・この話に出てくる個人、法人、団体名は全てフィクションです。
05『ドドメ色!』
プレゼンに入ると、由香が言っていた部長の山田太郎先輩と、タマちゃんこと玉城恵里菜先輩が行儀よく並んでいるのが目に入った。
「「失礼します」」
と、二人そろって挨拶すると、いきなりファンファーレが鳴り響き、目の前が真っ白になった!
「まぶしい……!」
目が慣れると、スポットライトがまともに当てられたことがわかった。スポットライトが消されると、その横にニューヨークヤンキースのスタジャンを着たおにいさん……よく見るとおじさんがドヤ顔で立っていた。
「どや、これが初めて舞台に立った時の感覚や。今の二人を見た印象はどないや?」
二人の先輩に質問が向けられた。
「えーと……」
と、山田先輩。
「えと……なんか、びっくりです……」
と、タマちゃん先輩。
「どっちがや、見てたほうか? 見られてたほうか?」
「あ、両方……やと思います。なあ、由香ちゃん……あ、そちらは?」
「坂東はるか……さんやな?」
と、ヤンキース。
え、どうして……?
「乙女先生から聞いてた。たぶん転校生の子がくるて」
うーん……油断のならない学校だ。
「まあ、そこ座って。まずは自己紹介。オレはこういうもんや」
ヤンキースはホワイトボードを指さした。そこには、デカイだけでチョーヘタクソな字。
『大橋むつお』と書いてあった。
そして、山田先輩の履歴書の「書きかた見本」のような自己紹介に移った。山田先輩、いわゆる自己紹介の部分は短かった。
「趣味は、鉄道です」
で終わろうとして……。
「おお、自分はテッチャンか!?」
と、ヤンキース。そこから、山田先輩のウンチクがはじまり、調子が出てきたころに、放送部員とおぼしき女の子たちがぞろぞろ入ってきた。
しかし、今度は、ファンファーレもスポットライトもなく、自己紹介がフツーに続いた。
「人生も芝居も最初が肝心や。芝居の場合〈つかみ〉という。面接やら、見合いやったら、この〈つかみ〉の 三十秒できまりや。ここでトチったら、そのあと取り返すのにその十倍の力がいる」
「あの、一ついいですか?」
わたしは、ホンワカを忘れて挑戦的にこう言った。
「先生の自己紹介はまだのようですけど」
「そやけど、十分オレには興味持ったやろ?」
ムム……わたしは二の句がつげなかった。
「乙女先生に言われてきた放送部の子ぉが大半やと思うけど、ここは、演劇に興味があると思て、話をすすめる。演劇てなにやろ……太郎くん」
「はい……演ずることによって、人に感激をあたえる芸術……やと思います」
「乙女先生から、そうおそわったんやな」
「はい」
「大正解! ほんなら、演ずるということはどういうことや、タマちゃん?」
「ええと……また……」
タマちゃん先輩は、美しいまつげを伏せてうつむいてしまった。
「ほんなら、べつのこと聞くわ……梅干してどんなもんや?」
「え……丸くて、また、すっぱい……です」
「どんなふうに丸うて、どんなふうにすっぱい?」
「……」
「このくらいの大きさで、フニャっとしてて、赤くて……」
困っているタマちゃん先輩を助けるように、由香が引き受けた。
「うん、それから?」と、ヤンキース。
「それから……」
今度は由香がつまった。
―― 梅干しが、演劇となんの関係があるんだ!? ――
思った瞬間先生と目が合って、反射的にしゃべっていた。
「梅干しってのは、梅の実を塩漬けにしたあと天日干しにして赤ジソの葉なんかといっしょに漬け込んだ漬け物の一種で……その、えと、干したり、漬けたりの過程で、脳みそみたくシワができて、そのシワに黒っぽく変色して、縮こまった赤ジソの葉がからんで、酸っぱさは、舌の奥の両側あたりからしてきて……」
荒川の実家、三軒お隣の仲さんちのオバアチャンが、自家製の梅干しを作っていたので、わたし、歳の割にはくわしい。
「それで色は……」
「色は?」
「……ドドメ色!」
すっかり酸っぱくなった口から、つばきと共にドドメ色が飛び出し、みんながどっと笑った……またやらかした。
「どや、みんなの頭の中に梅干しがうかんできて、口の中にツバ湧いてきたやろ?」
言われてみればそのとおり……。
「これが芝居や。イメージ創って感じること。ほんなら、観てる人にも伝わる」
なるほど……チラッと見渡すと、半分くらいの子たちが同じ顔つきになっていた。
「つぎ、左右の人差し指と親指をひっつけて目ぇの前にもってくる」
「ん……?」
「ほんで、右手に糸。左手に針を持ってると思いなさい。左利きのもんは、その逆……そうそう、目の焦点を合わせたら、そんな気が……」
……してきた。
「そしたら、その針の穴に糸を通す」
おお……糸が通った! 部屋のみんなから、軽いどよめきがおこった。
「ようし、ほんならグランドにいくぞ。三分後、朝礼台前集合!」
三分後、朝礼台の前に集合すると、ヤンキースは妙なことを始めた。なんだか、左手に持ったようすで……って、なんにも持ってないんだけど。右手で、左の「なにか」から端っこを取り出して、山田先輩とタマちゃん先輩に持たせた。二人とも「?」である。
「ええか、それは、縄跳びの縄。さあ、二人で回して!」
「はい……」
二人は長さ五メートルくらいの(見えない)縄を回し始めた。
「縄が地面を叩くときにはちょっと力を入れて!」
なんということ、みんなが見えない縄の回転を見てるじゃないの!
「さあ、残りのもんは、順番に入っていけ!」
「大縄跳びや!」
由香が最初に飛び込むと、みんな次々にロープの回転の中に飛び込んでいった。
六番目に飛び込んだ子がタイミングを外すと、みんなから「あーあ……」というため息がもれ、縄が停まった。
「惜しい、引っかけてしもたなあ。もっかいやるぞ!」
もうみんな喜々として、この見えない縄跳びに集中しはじめた。
十分ほどして、気がつくと、グラウンドで練習をしていた、野球部やサッカー部、陸上部の子たちが、ポカーンとして私たちを見ている!
「ああ、おもしろかった!」
みんなうっすらと汗をかいていた。
ヤンキースはまるで本物の縄をまとめるように巻いていくと、ごていねいに朝礼台の上に置いた。
「さあ、これで君らは、〈梅干し〉と〈針に糸を通す〉と〈大縄跳び〉の芝居ができるようになった。今日はここまで」
解散するとヤンキースが寄ってきた。
「ドドメ色なんて、よう知ってたなあ(・∀・)ニヤニヤ」
「あ、あれは(;゜Д゜)」
・
仲鉄鋼のお婆ちゃんがね……。
「アハハ、そういうギャップは大好きや!」
わたしの説明も聞かずに行ってしまった……。
※・この話に出てくる個人、法人、団体名は全てフィクションです。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)
武者走走九郎or大橋むつお
ライト文芸
神楽坂高校の俺は、ある日学食に飯を食いに行こうとしたら、数学の堂本が一年の女子をいたぶっているところに出くわしてしまう。数学の堂本は俺にω(オメガ)ってあだ名を付けた意地悪教師だ。
ωってのは、俺の口が、いつもωみたいに口元が笑っているように見えるから付けたんだってさ。
いたぶられてる女子はΣ(シグマ)って堂本に呼ばれてる。顔つきっていうか、口元がΣみたいに不足そうに尖がってるかららしいが、ω同様、ひどい呼び方だ。
俺は、思わず堂本とΣの間に飛び込んでしまった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
神様のボートの上で
shiori
ライト文芸
”私の身体をあなたに託しました。あなたの思うように好きに生きてください”
(紹介文)
男子生徒から女生徒に入れ替わった男と、女生徒から猫に入れ替わった二人が中心に繰り広げるちょっと刺激的なサスペンス&ラブロマンス!
(あらすじ)
ごく平凡な男子学生である新島俊貴はとある昼休みに女子生徒とぶつかって身体が入れ替わってしまう
ぶつかった女子生徒、進藤ちづるに入れ替わってしまった新島俊貴は夢にまで見た女性の身体になり替わりつつも、次々と事件に巻き込まれていく
進藤ちづるの親友である”佐伯裕子”
クラス委員長の”山口未明”
クラスメイトであり新聞部に所属する”秋葉士郎”
自分の正体を隠しながら進藤ちづるに成り代わって彼らと慌ただしい日々を過ごしていく新島俊貴は本当の自分の机に進藤ちづるからと思われるメッセージを発見する。
そこには”私の身体をあなたに託しました。どうかあなたの思うように好きに生きてください”と書かれていた
”この入れ替わりは彼女が自発的に行ったこと?”
”だとすればその目的とは一体何なのか?”
多くの謎に頭を悩ませる新島俊貴の元に一匹の猫がやってくる、言葉をしゃべる摩訶不思議な猫、その正体はなんと自分と入れ替わったはずの進藤ちづるだった
日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~
海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。
そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。
そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。
三度目の庄司
西原衣都
ライト文芸
庄司有希の家族は複雑だ。
小学校に入学する前、両親が離婚した。
中学校に入学する前、両親が再婚した。
両親は別れたりくっついたりしている。同じ相手と再婚したのだ。
名字が大西から庄司に変わるのは二回目だ。
有希が高校三年生時、両親の関係が再びあやしくなってきた。もしかしたら、また大西になって、また庄司になるかもしれない。うんざりした有希はそんな両親に抗議すべく家出を決行した。
健全な家出だ。そこでよく知ってるのに、知らない男の子と一夏を過ごすことになった。有希はその子と話すうち、この境遇をどうでもよくなってしまった。彼も同じ境遇を引き受けた子供だったから。
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
古屋さんバイト辞めるって
四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。
読んでくださりありがとうございました。
「古屋さんバイト辞めるって」
おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。
学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。
バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……
こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか?
表紙の画像はフリー素材サイトの
https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。
冬の水葬
束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。
凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。
高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。
美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた――
けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。
ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる